このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
小口黒鱒専門西洋毛鈎釣職人 by本郷 たけし
今から4,5年前の長雨が続いた7月の桧原湖での出来事です。
毎年、この時期は、水温が20℃を越えて適水温になり、スポーニングから回復したスモールも出てきて、
フライへの反応が良くなる時期でした。
楽しみにしていた【フライでスモールマウス】の季節の始まりって感じでした。(笑)
今日も沢山釣るぞ〜♪っと気合が入っていたのですが、夏場だというのに、やけに水の色が悪いではありませんか。
そして、フライをポイントへ打ち込んで行っても一向にバイトがありませんでした。
結局、物凄く反応が悪くて、釣果は僅かに1本のみでした。(涙)
いつものなら、2,30本出てもおかしくない時期にですよ。
これが、私が記憶している、真夏の季節外れのターンオーバーの始まりだったと思います。
それから以降、極端にフライへの反応が悪くなって行きます。
坊主・撃沈釣行は、数知れず。1,2本釣り上げるのがやっという状態でした。(涙)
次のシーズンの夏も同じ状態の日が続き、これがターンオーバーだということが分かりました。
真夏にターンオーバーって、皆さん、信じられますか??
経験したことが無い方は、信じられないことだと思います。
そして、この真夏の季節外れのターンオーバーが、慢性的に現れるようになり、
イージーに釣れていたはずの桧原湖が、超ハイレベルに難しい湖と変化して行ったのです。
この頃から、フライタックルの他に、ルアー用のタックルもお守り代わりに用意するようになるんですが、
そのルアータックルでも苦戦してしまいました。坊主・撃沈釣行を何度経験したことでしょう。(涙)
比較的に桧原湖へ通っている私で、やっとこすっとこ釣っているって感じでしたから、
毎年、6月、7月のいい時期を楽しみに釣行している方には、とても難しい桧原湖になってしまったと思います。
それと時期を同じくして、慢性的に水が悪い影響でしょうか、ウィードの発育も悪くなっていきました。
盛期には、水面まで伸びていたウィードも、50cm、いや2,30cmにしか成長しない所も出てきました。
ウェードエリアは、スモールのエサ場となるだけでなく、真夏の貴重な酸素供給源ともなっておりました。
ウィードエリアが悪くなり、スモールの付き場所も変わっていったように思います。
そして、真夏の異常な高水温。
これにやられるスモールも出てくるようにもなり、耐えられなくなって死んでしまうスモールも数多く見られるようにもなりましたよね。
スモールの魅力は、何といっても爆発力だと思いますが、その爆発力も段々と失われていった様にも思いました。
慢性的なターンオーバー、そして、高水温で、何だかスモールが弱ってきているんじゃないかと思うようにもなりました。
さらに、30UPアベレージだったサイズも、中々30UPを釣るのが難しくなって行きます。
そして、とうとう、今年の春、スポーニング場所に、スモールがやってこないという異常事態になりました。
スポーニングの主役となる、30UPクラスの親スモールが極端に少ない状態になりました。
去年あたりから、釣れてくるサイズが金太郎飴の様に20cm前後で、中々30UPが交じらないので、
おかしいなとは、思っていたんですよね。
今年の春になっても、状況は、変わらず、夏になり、秋になっても、釣れてくるサイズは、
圧倒的に20cm前後が多く、これは、桧原湖がどうにかなってしまったのではないとかと 思うようになりました。
春時期のネスト打ち、スポーニング期間のトーナメント開催、
それに追い討ちをかけるように、近年慢性的な『真夏の季節外れのターンオーバー』と異常な高水温です。
スモールがおかしくならないのがおかしいくらいの状況だったと言えるかもしれませんね。
一概にスポーニング期間中のトーナメント開催だけが原因だとは思っていません。
トータルに考えて、桧原湖のスモールを取り巻く状況が、環境、気候を含めて、
昔とは大きく変わってしまったからではないかと思っています。
スモールも、人的プレッシャー、自然からのプレッシャーで、かなり弱ってきているように思いました。
まずは、スポーニングの主役となる親スモールを増やすこと、安心して産卵できる産卵場所を確保することが
急務なってきているように思います。
多くの湖では、魚資源の保護の為、禁漁区を設定しているところが多いです。
よく桧原湖と比べられる野尻湖は、既に、禁漁区を導入しており、スモールだけではなく、多くの魚のサンクチュアリとなっています。
桧原湖も釣って釣りまくる時代から、スモールを保護しなければならない時期に入ってきたのだと思います。
早急に何らかの手を打たないと、桧原湖が終わってしまいそうです。
【桧原が檜原であるべき姿】に戻って欲しいと、ただただ願うばかりです。
小口黒鱒専門西洋毛鈎釣職人 by本郷 たけし
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