このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

フローター&フライで
      スモールマウスを釣ろう!


by 小口黒鱒専門西洋毛鈎釣職人 本郷たけし




はじめに

最近、非常に注目されているフライでスモールマウス。
岩井先生や本山プロの紹介で、ようやく脚光を浴びるようになってきました。
フライでスモールマウスのパイオニアだった故テツ西山氏も、きっと天国で喜んでいると思います。(涙;
先に行われた、JBTOP50の野尻湖戦でもフライの様な虫パターンルアーが非常に有効でしたよね。
夏場のスモールマウスを攻略する上では、フライの釣りの存在を無視できない様になってきました。

フライでバスは、バス釣りの中でも非常にマイナーな釣りの一つで、
ポイントでやっている方を見かけることは、ほとんど無いと思います。
さらに、フライでスモールマウスとなると、やっている方はおろか、もうほとんど情報が無いですよね。

そこで、フライでバス暦10年以上、フライでスモールマウスを狙って3年目の私ですが、
皆さんにフライでスモールマウスの釣りを紹介したいと思います。
(フライでバスのテクニックは、全て、故テツ西山氏の著書とビデオで勉強しました。
興味のある方は、是非ご覧になって下さいね。)


フローター&フライでスモールマウスの魅力

私は、10年以上、フローター&フライでバスを狙ってきました。
日本最大のメジャーレイクとして有名な琵琶湖、日本一ハイプレッシャーなメジャーレイク河口湖や
マッディレイクの代表格の霞ヶ浦など、フローターとフライロッドを担いで全国を釣り歩きました。
そして、4年前、仙台に戻ってきて、待望の【フローター&フライで55cmランカーラージ】をゲットします。

次なるターゲットは、裏磐梯のスモールマウス。
10年間夢にまで見たスモールマウスを狙う時がいよいよやってきました。
しかし、これがなかなか手強い相手なんですよね。
裏磐梯の湖は、終始強い風が吹いていて天候が荒れる事が多く、フライ向きのポイントとは言えません。
キャストがままならないので、ポイントに着いてから強風の為、何度となくフライの釣りを断念しました。
なかなか満足な釣りが出来ない中、ようやくフライロッドにスモールマウスが掛かった時、
これまで体験したことが無い鋭い突っ込みに、驚きと共に感動を覚えました。
「世の中にこんな物凄い突っ込みをする奴がいるなんてっ!!」
「この物凄い突っ込みは、30cmクラスのブルーギル以上だっ!!」


皆さんは、ブルーギルを馬鹿にしますが、30cmクラスにもなると、
これはこれは、物凄いファイトをする魚なんですよね。
(霞や琵琶湖ともなると見たことも無い巨大なブルーギルが生息しています。)
ブルーギルは、フライの釣りの好ターゲットと言っておきましょう。
そのブルーギルの鋭い突っ込みを遥かに上回る物凄い突っ込みをする魚がスモールマウスなのです。
フライロッドで釣って面白くないはずがありません。

フライロッドでスモールマウスを掛けると、ルアーロッドよりも3倍は、楽しめると思います。(笑)
スモールマウスは、ラージマウスの3倍は引くという話がありますから、
ルアーでラージマウスをやっている方が、フライでスモールマウスの釣りを
始めたら、3×3で、9倍は楽しめるかもしれませんよ。(爆笑!!)




タックル

フライでスモールマウスを100%楽しむ為には、どんなタックルが必要になってくるか紹介しましょう。

〈フローター〉 
  初心者には、U型のフローターが乗りやすくてオススメ。




〈ロッド&リール〉 
  ファーストテーパーの#6・9ftのロッドと20LBのバッキングラインを
  100m巻いて、WF−6−Fのラインが収まるリール。



〈ライン〉
  20LBのバッキングライン100m
  WF−6−F ウェイトフォワード6番のフローティングライン
  3X・9ftのリーダー
  3Xのティペット1m      


〈フライ〉
  ポッパー(フックサイズ#4〜#8)
  ウーリーバガー(フックサイズ#10前後)

  

まずは、フローター。

なぜフローターなのか?
フライでスモールマウスを釣るのに、ボートで釣ってもいいじゃないかと、いう方もいるでしょう。
ボートで釣っても何の問題も無いというか、フローターよりも多分釣れると思います。
がしかし、100%フライでスモールマウスの釣りを楽しむ為には、フローターが必要なんですよね。

フライの釣りは、ルアー釣りに比べると、10倍は手間ひまが掛かる釣りです。
手間が掛かる釣りだからこそ、釣った時の感動は一入。
その手間が掛かる釣りに、さらに手間ひまを掛けてしまうのです。(笑)
ポイントへ移動するのは、人力。
キャストするのにも苦労します。
さらに、ファイトでもう一苦労。
そして、ランディング〜。

しかし、その先には、今まで感じたことが無い、もう凄い感動が待っています。
苦労して苦労してゲット!したスモールマウスだからこそ、
この魚の本当の素晴らしさを100%体感できるんですよね。
フローターは、フライでスモールマウスを釣る上では、
無くてはならないアイテムの一つと言っていいと思います。
そんなマニアックな釣りだからこそ、一度入るとなかなか抜け出せないんですよね。(笑)





次に、ロッド&リール。

裏磐梯の湖は、強い風が吹いている事が多いので、
本来ならば#8以上のタックルが必要となってくるのですが、フローターで操作しやすいタックルとなると、
ファーストテーパーの#6タックルが非常に扱いやすくていいと思います。
ある程度のロングキャストもできますし、スモールマウスに対してのパワーも十分にあります。
長さに関しては、9フィートでないとちょっと苦労するかもしれません。
バス用のフライロッドに、フラデバシリーズというフローター専用のロッドがあります。
このシリーズのロッドは、6フィート前後となっており、取り回しが良く、
バスバグテーパーという特殊なフライラインと組み合わせる事により、
短い距離をテンポ良く釣っていくには非常に都合の良いロッドなのですが、
フライ熟練者の上級者向き仕様となっています。
それよりも少し長い7フィートとか8フィートとかのロッドだと、取り回しもよく
非常に扱いやすいのですが、それでも、フローター上でキャストしなければならないので、
フォルスキャスト時に水面を叩いてしまい、スモールマウスを脅かしてしまいます。
9フィートあると、ラインループを高ポジションにキープできるので、水面を叩くことが少なくなくなり、
キャストティングもスムーズに行えます。
とは言っても、フローター上でキャストするのはかなり難易度が高いので、
トラブルを防止する為には、陸上かウェーディングでの練習を十分に行い、
きちんとキャストが出来るようになってからフローターでキャストすることをオススメします。

  

リールは、20lbのバッキングラインが100m巻けて、
その上にWFの#6のフローティングラインを巻けるキャパシティのあるリールが必要です。
この仕様だと、ちょっと前に流行った『フライでコイ』なんかにも対応できますし、
海外でのレインボウトラウトフィッシングに対応できますので、フライでスモールマウスをきっかけに、
いろいろなフライの釣りを楽しむことができると思います。
今流行の管理釣り場の釣りにも十分対応できます。


その次に、ライン。

フライラインには、システムがあります。

リール⇒
20LBバッキングライン100m + フライラインWF-6-F + リーダー3X・9ft + ティペット3X・1m
⇒ フライ

こんな感じになります。
リールからフライに行くまでに、4種類のラインを使わなくてはいけません。
バッキングラインは、フライラインがリールから出てしまった場合のバックアップと、
フライラインに巻き癖が付かないよう防止する為の下巻きラインのことです。
フライラインは、何種類も種類があるのですが、盛期スモールマウスを狙うなら
WF(ウェイト・フォワード)の#6(6番)のF(フローティング)ラインだけで、十分楽しむことが出来ます。
リーダーは、テーパーの付いた透明なラインですが、フライをターンさせる重要なラインで、
その先にティペットという先糸を結束し、フライを結びます。
3Xという表示は、ラインの強さを表す記号で、約8LBの強さです。
太いんじゃないの?と思う方もいるかもしれませんね。
でも、万が一のランカースモールにも対応するとなると、最低でもこの位のライン強度は必要です。
カバーの無いオープンウォーターなら4X(6LB)まで落としても大丈夫ですが、
ウィードエリアを釣るとなると、やはり、3X(8LB)以上の強さは必要だと思います。
ラインの太さによるバイトへの影響ですが、
盛期のスモールマウスなら水面のラインに対して、それほどセレクティブではありません。
0X(14LB)のティペットも問題にしないことから、考えなくていいと思います。
夢のモンスタースモールゲット!!を考えている方は、ラインに妥協せず、
太目のラインを使う事をオススメします。(私は、通常0Xを使用しています。)

最後に、フライ。

水面に浮くフライとして『ポッパー』、水に沈むフライとして『ウーリーバガー』の
二つを挙げたいと思います。

『ポッパー』は、ルアーにもありますが、昔からあるフライで、小粒なボディからは想像がつかないくらい
集魚効果の高いフライの一つです。
桧原湖の様なカバーの少ないオープンウォーターで、スモールマウスを狙うなら
どんなフライを使いますか?と聞かれれば、迷わずポッパーを挙げますね。
ハング下などのピンポイントから水深のあるオープンウォーターまで、ポイントを選ばず、
どんな場所からもスモールマウスを引き出してくれます。
それほど、スモールマウスに実績のある優秀なフライなのです。
使い方はルアーとまるっきり一緒で、着水後のポーズを長め目にとり、アクションとポーズを繰り返します。
着水後の一発目のアクション後に出る事が多いので、十分注意して下さい。
雨の日や活性が高い時は、高速ポッピングが非常に有効です。



水面に出ない状況では如何するか?
その時は、『ウーリーバガー』を使ったルースニングの釣りを展開します。
『ウーリーバガー』は、管理釣り場などの放流のニジマスなどに非常に効果的なフライなのですが、
ラージマウスを含めたバス類にも非常に実績のあるフライです。
ルースニングとは、マーカー(浮き)を使ったフライの浮き釣りの事で、
フライ初心者の方にもアタリが取りやすい釣りのことです。
しかし、スモールマウスに対しては、最強の釣りの一つと言ってもいいと思います。
サイズを選ばなければ、1日100本の釣りも可能と言っていいでしょう。
釣り方は、非常に簡単で、水面下を「ボワーッ。」と漂わせるだけいいです。
活性が高ければ着水後すぐにマーカーにアタリが出ます。
アタリが出なければ、ゆっくりと引いてやるか、しばらくステイさせるとバイトがあると思います。
この釣りは、本当は、シークレットなのですが、公開しちゃいました。(苦笑)
でも、爆釣カラーは、秘密です。(笑)



他、フライに関しては、ラージマウス用のフライで問題ないのですが、
大物のラージマウス用のバスバグは、ちょっと大きいかもしれません。
(ランカースモールを釣りたい!という方は、使ってみて下さい。笑。)
20cmクラスのスモールマウスにも対応するとなると、
ブルーギル用のフックサイズ#8辺りのポッパーが丁度いい感じですね。
数釣りをしたい場合は、私は、好んでこのブルーギル用のポッパーを使っています。
あと、トラウトフライで有名なエルクヘアカディス、
昆虫を意識している時のマドラーミノーなんかも非常に有効なフライですね。

フローターの釣りのメリット・デメリット

フローターの最大の魅力は、体の半分が水に浸かっているので、
水と一体になれるというか、自然と一体になれる事です。
大自然の中で、バスという名のかけがいのない生物を相手に、
狩を楽しむ原始人になった感じというと分かりやすいでしょうか。
(かえって分かりにくいかな?笑。)
つまり、自然を肌で感じながら釣りが出来るということです。
季節の移り変わりを直に感じる事ができますし(水に浸かってますからね。笑。)、
さらに、目線がボート釣りよりも下がりますので、バスとのファイトを思う存分楽しめる点にあります。
目の前でバスがジャンプした時の迫力は、言葉にいい現せないくらい感動もんですよ。



フローターの最大のメリットは、スモールマウスとの距離を縮められるということでしょう。
自然と一体になれることで、上級者ともなると忍者みたいに自分自身の気配を消すことができます。
ボートの釣りだと、エンジン音やエレキの振動などで、バスを脅かしてしまいますが、
フローターなら何だこれは?みたいに、逆にフローターに近づいてきます。
大げさな話をすれば、自分の足と足の間を何の違和感も無く鯉が泳いでいくとう感じでしょうか。
(ホントの話らしい。笑。)
スモールマウスとの距離を縮める事も可能なんですよね。
ポイントにぐっと近づけるメリットについては、皆さんのご承知の通りです。



次に、楽に風上にポジションを取れるという事でしょうか。
ボートだと風上にポジションを取り、風下を攻めるとなると、
体をひねって釣らなくてはならないのでかなりシンドイと思います。
フローターなら、風に背を向けて、風の当たっているポイントを楽に攻めることが可能で、
ポジションのステイも簡単です。
スモールマウスの釣りにおいて、風が当たっているポイントを攻める事の重要性は、
皆さんのご存知の通りですよね。

しかし、デメリットもあります。
人力ですので機動力が無いという事。
つまり、あるポイントがダメだった場合、次のポイントへ移動するという事が
簡単には行えない点にあります。
事前にポイントを絞らなければならないといけないので、ポイント選びが非常に重要になってきます。
事前情報が全くないと、坊主という事も珍しくはありません。

そして、最大のデメリットは、風に弱いという事です。
ある程度の風に対しては有利に働きますが、強い風に対しては全くと言っていいほど歯が立ちません。
強風が吹くとあっという間に沖に流されてしまいます。
さらに、空気を注入している浮き袋を使用しているので、パンクの恐れがあるという点です。
状況判断を誤ると、人命にかかわる重大事故につながりますので、
サブフローテーション使用はもちろんですが、ライフジャケットも必ず着用して下さい。

最後に

物凄く簡単に【フローター&フライでスモールマウスを釣ろう!!】を紹介しました。
本山プロ、岩井先生によって、スモールマウスの釣り、フライでスモールマウスに関して、
かなりの部分が解明されてきました。
しかし、スモールマウスは、日本では歴史がまだまだ浅く、解明されていない点が沢山あります。
自分自身がスモールマウスを釣ることによって、その生態の謎を解明していくのも
この釣りの楽しみの一つだと思います。
私も皆さんと一緒に、スモールマウスというかけがえのない貴重な魚をもっと勉強し、
これからも楽しく安全にスモールマウスフィッシングを楽しんで行きたいと思っています。
そして、これからも裏磐梯の自然とスモールマウスをみんなで守って行きましょう!!





特集INDEXへ戻る





このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください