このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

by 編集部





このところ、なにかと忙しくて出席できなかったのですが、久しぶりに「釣り問題研究会」に出席してきました。
今回は「東京湾におけるスズキ釣りの歴史と未来」がテーマ。

●『東京湾における漁業と遊漁によるスズキ資源利用の歴史と現状』
 本間俊輔(東京海洋大学OB)

●『釣り人による標識放流−タグ&リリース−を通した東京湾のスズキとの関わり』
 若林 務(NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会)

●『スズキ釣りを通した新たな試み〜「運河祭り」と水辺の開放』
 榎本 茂(ラパラフィールドテスター・NPO法人海塾代表)

釣り問題研究会は、釣人と漁業従事者(漁師)の関係、そして釣り場のある地元との関わりが取り上げられることも多く、
今回も参考にしたい内容でした。
特に榎本氏のお話は、本当に興味深く、驚かされました。

毎回、釣り問題研究会が行われる「東京海洋大学」は、東京都港区芝浦というところにあります。
近年、新幹線の駅として再開発が行われた「品川駅」や、ちょっとおしゃれなビジネス街「天王洲アイル」などと隣接しており、
もはや死語ですが「ウォーターフロント」といわれていた、近代的な埋め立て地です。
以前、筆者もこのあたりに勤務していたことがあり、なじみのある場所です。
埋立地ですからいたるところに運河があって、時折潮の香りも感じられますが、
交通量も多く、羽田空港へ向かうモノレールが走り、釣りとは無縁の場所だと思っておりました。
が、榎本氏によればここ芝浦は、スズキやクロダイの生息数はハンパではなく、
これほど豊かな釣り場は全国的に見ても有数であるとの事でした。
ラパラのフィールドテスターである榎本氏は水中撮影をしながらの釣行が多く、実際に映し出された映像にまったく驚いてしまいました。



かつて、通勤で毎朝渡っていた橋の下に、これほどのスズキやクロダイがいたのかと思うと、実にサプライズでした!
この大都会の中にある豊かな自然は、榎本氏主宰のNPO法人「海塾」の様々な働きかけによるところが大きいのです。
芝浦運河祭り 」を開催し、その中のイベントで「シーバス釣り大会」も行われ、
優勝者には、東京都知事や港区長から表彰され、かつていたるところにあった「釣り禁止」の立て看板を撤去させるまでになったそうです。

しかし、榎本氏は「芝浦でシーバスを釣らせてくれ!」と訴えてきたわけではありません。
芝浦の運河の水をキレイにしたい。水辺に生物が生息する豊かな町にしたい。
都会の子供たちに、水辺の生き物たちとふれあいさせたい。
といった訴えが行政を動かし、マスコミを動かし、市民を動かしたわけです。
牡蠣による水の自然浄化。カニが棲みやすい「カニ護岸」の設置。運河でのカヌー教室の開催などを行い、
結果的に、自分たちの釣り場を豊かにし、大手を振って釣りができる環境を作ることが出来たのです。
気の遠くなるような試みですが、釣人でなくても水辺があれば、そこに魚が泳いでいて欲しいと思うはず!
なにも棲めない湖よりは、外来魚でも魚が棲める環境の方がいいと思うんですけどねぇ。
いやー!ホントに勉強になりました。


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第8回釣り問題研究会
「東京湾におけるスズキ釣りの歴史と未来」

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