このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

第9回釣り問題研究会

『霞ヶ浦への関わり方』水口憲哉(釣り問題研究会)
『霞ヶ浦の人・水・魚 ー漁業の変遷からー』工藤貴史(東京海洋大学)
『霞ヶ浦の遊漁制度への新たな取組み』横山鉄夫(ワールドバスソサエティー )
『釣り人にとっての環境問題』吉田幸二(NPO法人水辺基盤協会)




さて、今回の釣り問題研究会のテーマは霞ヶ浦。
パネラーはWBS会長 横山鉄夫さん、NPO法人水辺基盤協会 初代WBS会長 吉田幸二さん
と、くれば当然バスフィッシングについての内容です。おそらく、これまでの釣り問題研究会で一番参加者が多かったのではないでしょうか。
それだけ、バスフィッシングについては関心が高く、また問題も多いと言えるでしょう。


  

まず水口先生、工藤先生による、霞ヶ浦の歴史や環境、漁業の変遷が報告されました。
ご存知の方も多いと思いますが、霞ヶ浦はかつて汽水(淡水と海水が混ざっている水域)であったのですが、
治水(水害、塩害を予防する)、利水(水を農業や工業に利用する)のため、
逆水門(満潮時、海水流入を防ぐ)が作られ、淡水化されました。
しかし、これにより水の出入りがなくなり、大量のアオコが発生するようになり、魚が棲めない湖になりかけてしまいました。
漁業も汽水の時代には、ワカサギやシラウオがメインで、淡水になってからはテナガエビやハゼへと変わって行き、
90年代に入ると、バスがキロ400〜500円で芦ノ湖、河口湖に出荷されるようになっていきました。

といったわけで、霞ヶ浦は人工的に作られた環境であり、生息する生物も時とともに変わっているわけで、
バスは害魚どころか益魚だったのです。事実、公式に行われている外来魚駆除は、レンギョ、キャットフィッシュが中心で
バスが駆除の対象になったことはないのだそうです。
現在では、外来生物法により、バスの漁業はできなくなったわけですが、もはや駆除するほどいないのが現状で、
霞ヶ浦においてはバス問題は、バスが問題ではなく、バスアングラーが問題だったということになるのではないでしょうか?
つまり、漁業従事者と釣り人とのトラブル、ゴミや違法駐車、騒音など近隣住民とのトラブルがバス問題なわけです。

以上を踏まえて、横山さん、吉田さんの活動内容をお聞きすると、非常にわかりやすいと思います。




『霞ヶ浦の遊漁制度への新たな取組み』横山鉄夫

横山さんが推奨しているのは、「茨城県内共通雑魚入漁券」の購入です。
これは新たに発行されるようになったもので、通常、入漁券は漁協毎に発行されるものですが、これは茨城県内全域で有効。
ただし、アユ、イワナ、ヤマメは除くとなっています。
ちょっと皮肉ですが、霞ヶ浦本湖は海面扱いなので、入漁料は不要です。しかし近年、各流入河川で釣りをすることも多いので、
これを持っていれば、漁業従事者と対等とは言わないけれど、ある程度権利を主張できるわけです。
そもそもバスを釣るのに入漁券がいるのか?という議論はあるのですが、目的はいらぬトラブルを未然に防ぐこと。
そしてもう一つ、
「バスフィッシングは道具をそろえれば気軽に始められるが、それゆえルールやマナーに対する認識が浅い。
この入漁券を買うことによって、釣り人であることを自覚し、無法な釣り人を排除することにもつながる。」

大抵、屋外で行う遊びやスポーツは、なんらかのライセンス(許可)や、お金を払って場所を借りる必要がある。
スキューバダイビングをするのもライセンスは必要だし、野球するにもグランドを借りなければならない。
釣りも同様に好き勝手にやっていいものではない。入漁料は取られるものではなく、払うもの。
とういことを認識してほしいと言うことでしょう。
かなりバスアングラー側から歩み寄るかたちの提案ですが、現実的かつ効果的な取り組みだと思われます。
さて、この入漁券を購入すると、各漁協に配分されるのですが、一部は外来魚駆除にも使われるわけで、
なんともやるせない矛盾があることも事実です。
ちなみにWBSの選手の方々は、この年券(¥4000)を購入しているそうです。




『釣り人にとっての環境問題』 吉田幸二

続いて、吉田幸二さんの講義内容ですが、「霞ヶ浦防塵挺身隊」によるゴミ拾いの映像が公開されました。
それは、危険を伴う壮絶なゴミ拾いでした。これがボランティアか!?と思われるようなものでしたが、
むしろ仕事としては到底できないようにも思われます。しかも、53PickUp同様、参加費(¥500)が必要になります。
これほど社会的に貢献する「良いこと」をするのにも、お金は必要になるのです。
当初、土浦市が集めたゴミの処理を無料で引き受けてくれる方向だったのですが、
水中から引き上げたゴミは市の管轄外となり、土浦市民の税金を使うことができない。
そこで、ゴミを集めたら最後の最後まで面倒みよう!ということになり、処理費用も自分たちでまかなうことになったのでした。
入漁料を払いたがらない釣り人と、お金払ってゴミ拾いをする釣り人。なんか、ものすごいギャップを感じます。

毎回、大量のゴミが集められるのですが、釣り人が出したと思われるゴミは全体の1割にも満たないそうです。
釣り人が自分のケツを拭いているのではないのです。

吉田幸二さんの講義内容は「 水辺基盤協会 」のWebにも公開されていますので、ご覧ください。



さて、
釣り人にとってなによりも心強い味方は、釣り場に住む方々の理解だと思います。
お二方の講義を拝聴して、改めてそう感じました。
バスフィッシングは、バス釣りをしない方々から、あまりいい印象を持たれていないのが現状です。
これは、一部の意図的なプロパガンダによるところも大きいのですが、
我々バスアングラー自身にも原因があるわけで、以上のような地道な活動によって少しづつ理解を得ていく必要があるのでしょう。


話はガラッと変わりますが、WBSといえば、今年第一回桧原湖オープンを開催しましたね。
横山会長に伺ってみたのですが、来年も開催されるようです。
いずれWBSのトーナメントレイクとして、シリーズ化させたいとの意向があるようです。
トーナメント以外にも、これだけの活動をされているWBSですから、
地域住民、一般のアングラーに配慮した大会にしていただければと考えます。
が、正直なところ、これ以上プロトーナメントが行われると・・・
ま、見守りましょう!


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