このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

【いよいよ等級決定】

共進会3日目の10月13日。

いよいよ、各審査区分において、前日までの比較審査の結果をふまえながら、等級の決定が行われる。このコンテンツの冒頭において、『上位入賞がそのまま農家の名誉や、産地の名声を高める事になる』と紹介したが、まさに決戦の時が訪れたのだ。

まずは第1区。各県でこれからの活躍が期待される種牡牛の優劣を決めていく。

この区の優等首席は鹿児島県有牛である“宮貞福”号。優等2席も鹿児島県の(有)上別府種畜場の所有する“大仙21”号であったが、いずれも(前期の通り)名種牡牛である平茂勝号の血をひいている。遠目から見ていても、体格も立派で、外貌も素晴らしい。これは他の区の出品牛にも共通する事だが、「さすが平茂勝だなぁ・・・。見栄えがする。」と思わざるを得なかった。

宮崎からは日向国の産子である“奥日向”号が出品。鹿児島県からの2頭に次ぐ優等3席に選出されている。

ちなみに、この項のtop画像は兵庫県の北部農業技術センターが出品した“芳悠土井”号。見事、鹿児島、宮崎、大分に次ぐ、本州勢で最も良い優等5席に選出された。
続いて、第2区の等級決定が行われる。

第2区の比較審査については共進会の初日に見る事が出来なかった。第2区は14〜17ヶ月齢の若い繁殖雌牛候補の比較を行う区である。

全国から出品された33頭が審査会場にずらりと並ぶ。その中で、2頭の牛がずば抜けてよく見えた。
宮崎県から出品の“かみさつき”号、“あけみ55号”の2頭であった。

この2頭は審査が始まって早々に、優等賞以上のラインへと引き出される。それと同時に、会場内の宮崎組から拍手と歓声が上がる。

遠目に見ても、輪郭が鮮明であり、体ののび、中躯のボリュームも十二分の2頭である。

審査が行われる長い時間、他県から出品された牛がチャカチャカ・・・と時間の経過と共に落ち着かなくなる中、この2頭はほとんど動く事もなかった。この事は宮崎県から出品された全ての牛について言える事だった。

牛も長い時間立っていると、段々と疲れてきて足や背中などに“緩み”が出てくる。宮崎が代表牛選定の場よりこの点を審査基準に置いていた事は知っていたが、ここまで違いが出るとは思わなかった。

等級決定に戻るが、この2頭が優等賞のラインに引き出されてからが圧巻だった。この2頭の後に続く牛がなかなか決まらないのである。

審査員が会場を何度も往復し、そのまま十数分が経つ。会場のどこそこでどよめきが起こり、やっと鹿児島県からの出品牛が3番手に上がった。そのまま、入れ替えが起こらずに序列が決定する。



個人的にはこの第2区が今回の鳥取全共を総括するのでは無かったかと思うのだ。鳥取県畜産課のページ等で今回の結果を入手する事が出来るのだが、それらを元に各区の優等首席から優等3席までをまとめてみたので、 こちら をご覧頂きたい。

9つの審査区分のうち、7つの区で宮崎県が優等首席に選出されているのがおわかり頂けようか。その結果、第4区と第8区において、本大会最大の賞である種畜、肉畜の2つの「名誉賞」を独占する結果となった。週が明けて、農業新聞をはじめ、地元紙面においてその躍進が伝えられたところである。宮崎牛は名実ともに『日本一』となったのだ。

等級決定の様子は、帰りの飛行機の時間の関係でこの2区までしか見る事が出来なかった。ただ、復路。駅や空港で会った宮崎県組から結果を耳にする度に、第2区の審査の光景がより強く印象づけられていったのである。



今回の全共は非常に良い勉強になったと思う。このような機会でもなければ、全国の和牛を見る事は叶わない。宮崎県畜産の底力を肌身で感じる事ができ、そして会場の空気を吸う事ができたのが幸せだった。

地元紙面を見ていると、その全共効果が子牛市場に現れているという。だが、このような状況を非常に嬉しく思う反面、多少の不安を覚えたのは言うまでもない。

というのも、5年後の全共は長崎県で開催される。当然ながら、長崎県内のどこで開催されるかはこれからなのだが、一方でその長崎全共に向けた各県の取り組みは始まっているだろう。今回の全共は宮崎県は追う立場であった。それが追われる立場になってしまった。

当然ながら、宮崎県も今回の結果に慢心などせず、更なる対策を打っていくだろう。

私としては、今回の全共の結果による地元の浮揚と、これからの5年間で宮崎の和牛がどのように進化していくのか楽しみであるのだ。
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