このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
柳田酒造(名) 宮崎県都城市
(2007.07.08)
これまで意識していなかったのだが、どうも樽貯蔵の焼酎というのを避けてきたなぁ・・・と考え込んでしまった。
商品の性格上、少々高めの値段設定で普段飲みには手がでない・・・というのが最大の理由であるが、どうも、樽に貯蔵する事で酒の個性というか、風味が横並びに感じられてしまうことも一つの理由であったように思う。実際に飲んでみれば、原料や蒸留方法、蔵ごとの個性というものが現れるので、つまらない思いこみに縛られて身動きがとれなくなっていただけのようだ。
樽貯蔵の効用として、どのような物が考えられるだろうか。樽由来の香り、味わい、そして何より商品としての付加価値の付与。淡くきらきらと金色に輝く液体は高級感を連想させ、商品としての魅力を高める事に成功した。また、樽貯蔵の焼酎についてよく評される『洋酒のような・・・』という表現があるが、飲み手が持っていたこれまでの“焼酎に対しての概念”ってな物を覆した・・・というのは大きかったと思う。
造り手、飲み手の双方にとって、大きな影響を及ぼした事は今更言うほどの事ではないだろう。
・・・まぁ、このようなわたくしであったので、「これは反省せねばならない・・・。」と思い、都城駅前にある
松石酒店
で購入してきたのが、
柳田酒造
さんのこの麦焼酎だ。
この酒店さんは、行かれた方ならご存知と思われるが、地元都城でも取り扱われている銘柄が多いことで有名である。また、商品開発についても積極的に展開されており、同じ柳田酒造さんとのコラボレーションである“
べいすん
”を飲まれた方もいらっしゃるのではないだろうか。ちなみに、この“べいすん”。英語で言うところの“Basin”だそうで、その意味はくぼ地、盆地であるという。柳田酒造さんは、都城盆地の地下水である霧島裂罅水(れっかすい)を仕込水に使用しているが、焼酎が“造られる土地”と切っても切れない関係にあることを表している良い名前であると思う。
・・・。前置きが長くなってしまったが、この銘柄は常圧の麦焼酎をホワイトオークのシェリー樽で貯蔵させた物である。甘ったるくもなく、麦焼酎の“ソレ”にちょっとひねりを利かせたようなが苦みがピリリと風味を占めるのであるが、なにより思ったのが原酒の個性が活きていることなのだ。
それは封を切った時に立ち上るぷわわ・・・んと膨らみを持った香りであるし、樽由来の華やかさの奥に潜んだ香ばしさ・・・ってなヤツである。度数は28度とちょっと高めで、危険な香りがするわけであるが、このような特徴を感じたいのであれば、ちびりちびり・・・とストレートで味わってみたい。
なお、酒銘に冠せられた“剛”であるが、これと対極をなすように“
柔の猿団子
”という銘柄もある。こちらは、リムザンオークのブランデー樽で貯蔵されたもので、どのような対比を見せるのか気になるところだ。
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