このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

ひとり歩き
古澤醸造(名) 宮崎市日南市

(2005.11.09)
香り華やかなこの焼酎はジョイホワイトで仕込んだもの。

今や焼酎が好きな人にとっては常識とも言えるフレーズを冒頭に並べてみたのだが、オレンジピールで香り付けされた上品なチョコを一瞬思わせるような華やかな香りと、口の中ですーっと消えるような爽やかさが特徴だろうか。そうはといっても古澤さんの焼酎の色合いは薄れることがない。

私がこの焼酎を知ったのは平成10年に成実堂出版から発行された焼酎ムック。当時は先頃の異常とも言える焼酎ブームがその胎動を始めた頃であったが、ムックの中で紹介される焼酎も、まだまだ昔ながらのラベルデザインが主流を占めていたように思える。それらの中で“
ひとり歩き”のあっさりとして、しとやかな女性を思わせるラベルにはとても好感が持てた。

それからしばらくしてこの銘柄を購入したのだが、その風味に驚愕すると共に宮崎焼酎の奥深さを知ったことが思い出される。

原料となっているそのジョイホワイトであるが、都城市にある現“九州沖縄農業研究センター”において作出。初の焼酎原料用の甘藷として平成6年に品種登録されている。でんぷんも豊富に含まれ、条溝と呼ばれる芋の表面を走る溝もない(加工しやすいということです)。それ以上に特徴とも言えるのが糖化酵素を持たないこと。そのため調理しても甘くなることもなく、食用には向かない。本当に甘くないのか一度は食べてみたい、経験してみたいと思っているのだが、特殊な甘藷であるだけに手に入らないのですよね。

その後、同市の“ さいしょ酒店 ”の税所隆史さんと、日南市大堂津にある古い焼酎蔵“ 古澤醸造 ”とのコラボレーションによって同甘藷製の焼酎として生まれたのは皆さんも良く知るところ。

この銘柄が生まれる時に酒銘に込められた願い。

「新しい南九州の焼酎として歩んでほしい。」

確立された今日の地位を考えますと、宮崎県人の一人として誇らしいです。
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