このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

一勝地

(有)渕田酒造本店 熊本県球磨郡球磨村

(2009.05.15)

九州から蒸気機関車の煙が消えてもう何年たっただろうか・・・。

民営化とともに九州鉄道の顔として島内各地を走り抜けた“ハチロク”こと58654号機が現役を離れたのが2005年の8月であった。九州からは蒸気機関車の煙、ドラフトの音が消えてしまうかと思えた。だが、民営会社の英断により大がかりな修復工事がなされることとなり、この2009年4月にこの機関車の復活が果たされる。

前回は主たる活躍の場は阿蘇山カルデラを突っ切る豊肥本線であった。立野の急峻を上る道のりは思った以上に負担だったのだろう。現役の頃もこの区間は9600やC58が奮戦をしていた区間である。大正生まれの58654号機は台枠に歪みを生じ、一時引退を余儀なくされる。晩年はディーゼル機関車の補助が必須の運転状況が痛々しかった。

日本鉄道史における肥薩線の蒸気機関車の活躍の晩年は八代から人吉までの川線に限って言えばC57が主力であった。それ以前は汎用の利く8620形蒸気機関車が幅を利かせていたと記憶しているが、肥薩線へのパシフィック機の転入によって湯前線へと封じ込められていたと思う。ことことこと・・・と市房の山々を背負いながら短編成の列車が走る。ほんの30年とちょっと前まではその様な鉄道風景が当たり前であった。当然ながら今では想像も出来ないのであるが・・・。

さて、今日の肥薩線である。

急行はすでに無く、ローカル線の主力もキハ58からキハ40系列やキハ31に移り変わっている。花と言えば人吉を目指す赤いディーゼル特急か。4月からはこれに黒い客車を牽引するハチロクが加わる。そのSL列車“SL人吉号”が停車するのがこの焼酎の蔵元、渕田酒造本店にほど近い一勝地駅だ。

一勝地駅は縁起の良い駅名として有名だが、残念ながら経産省が指定した我が国の近代化に貢献した“南九州近代化産業遺産群”の選定からは漏れている。だが、ゆったりとした構内を持つ非常に趣のある駅だ。その駅から球磨村の温泉施設である“ 一勝地温泉 かわせみ ”に向かって歩けば渕田酒造本店にぶつかる。銘酒“園乃泉”ののれんが掛けられた蔵の建物も歴史が長く、瓦には苔が生え、P箱が積み上げられた店先は風格がある。先日、別の列車を撮影しにこの駅界隈をロケハンした際には米を蒸す蒸気がモクモク・・・とあがっていました。

この焼酎は樽による長期貯蔵ということで、香りの高さ、飲みやすさにまず気がつく。ただそこはさすが球磨焼酎と言いますか、樽貯蔵とは言いつつもベースである米焼酎の主張があって、一つのアクセントを感じさせます。
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