このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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蔵はこの後、別の来客を控えているということであったので、遅くならないうちに『現場』を見せていただくこととなった。
「狭かけど、まぁどうぞ。」と寿福さんが案内してくださったが、ちょうど造りも一段落した時であったのか、仕込みのタンクやカメが並ぶスペースはひっそりとしている。「ここが・・・。」と説明をしてくださるが、高い天井に寿福さんの通った声も吸い込まれていった。蔵全体がどこかぴんと張りつめていて、空気に透明感がある。そのような印象を持った。
こばやしさん:「原料と麹の割合はどれくらいですか?」
寿福さん:「うちは原料2、麹1の割合でやっとります。米が20kg
なら麹が10kgって感じ。」
こばやしさんが造りの詳しいところを聞かれていたが、この一言で「はっ!!」となった。
こばやしさん:「それにしても清潔ですよね。こんな蔵元そうそうないよ。」
そうなのであった。さっきから感じていた透明感はこれに由来するのだ。コンクリートの床も光沢があり、また仕込みに使用する道具も整然と並べられている。
寿福さん:「普通にお湯で拭きあげよるだけですばい。当たり前の事。」
とおっしゃるが、いえいえ本当に清潔感にあふれていました。
よく雑誌等で寿福酒造場が紹介される時に、『女性らしい細やかな感性と心配り』と紹介される。
良く知られたところでは蔵中にあふれた花であるが、先ほどの奥座敷のディスプレイ一つとってもそうであったし、見渡せば『もてなし』の心があふれていた。
寿福さんのお言葉を借りれば普段からやっている『当たり前の事』なのであろうが、私を含めての飲み手が蔵を実際に見せていただいたときの演出というか、イメージ作りというか、まぁそういったことが嫌みのない形で心深く刻み込まれてしまうのだ。
柱にかけられた古い時計にしても、大きな数字のカレンダーにしても、“懐古趣味”な私としてはたまらなくおいしいのである。
蔵によってそれぞれ独特な空気はあるが、何とも懐の深さを感じたのが寿福酒造場であった。
蒸留器を見せていただく。
小型の蒸留器が蔵の一番奥で「どでん」と置かれていたが、きらきらと銀色に輝いてその存在を主張していた。
話によるともう長らく使っているらしかったが、「割と新しいのでは?」と思わせるほど。手入れが行き届いている証拠だ。
蒸留した焼酎を受けるホーローのタンク群。
30分ほど作業場を見せて戴いたが、もう少し寿福さんのお話を聞いていたかった。蔵を立ち去る際に「またきんしゃい。」と見送ってくださったのだが、この蔵を訪れた皆さんが一発で寿福絹子さんのファンになってしまうのも分かる気がする。
何から何まで圧倒されてしまった数時間であったが、帰宅後、在庫管理があるにもかかわらず無理を言って分けていたいた“武者返し(35度)を飲みながら、その包むようにやわらかな口当たりと、長く続く余韻に考えてしまった。
最後になりましたが、参加されたこばやしさん、大佐先生。お疲れさまでした。寿福さんにおかれましては何から何までお世話になりまして、ただただお礼を申し上げるばかりであります。
う〜ん・・・。またお伺いしたいぞ。
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