このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

カリ〜
春 雨
宮里酒造所 沖縄県那覇市

(2004.04.18)
3月末。東京へ行った際に“ プロショップ 酒のこばやし ”さんを強襲して抱えてきた1本。恥ずかしいけれど、わたくし。これを飲むまでまともに“泡盛”を購入したり、飲んだりという経験がなかった。右手に握った真っ赤なラベルの若い泡盛を精算することで、遙か南の島の文化への“はじめのいーっぽ!”となったのである。

その後、羽田空港において搭乗手続きをあたふたと済ませ、タラップからボーイングへと乗り込んだ。気流で揺れる機内。足下でチャップンと音を立てる瓶の音を聞きながら、「生で飲もうか。それともロックか・・・。」などと妄想にふけっていたのだった(ムフフ・・・)。今思えば、その音は忠告だったのだ。帰宅後、荷物をほどくと甘〜い香りが・・・。この“春雨”。キャップがプラ製であったために、気圧の変化に耐えられずに内容液が漏れていたのである。破損というわけではなかったけれど、何mlとはいえ、もったいないことをした。しまったなぁ・・・。

蔵元“宮里酒造所”の創業は昭和21年。まだ沖縄戦で受けた傷もなまめかしい頃である。そんな荒廃した町を見た先代が名付けたのが“
春雨”という美しい名前。どこか忘れたけれども、あるページで「戦争によって全てを失ったけれども、季節だけはずっと止まらずに流れている。そのような中で、春という季節に希望を、そして降る雨に恵みを感じた。」という蔵元の話を紹介したものがあった。この銘柄の名前には、沖縄の復興と繁栄への願いが込められているとのこと。

創業当時の建物で仕込みを続けられているとのことだが、金羊社が出版する 日本随一の焼酎雑誌『焼酎楽園』 の第10号においても詳しく紹介されているので、詳しくはそちらを御覧になってください。

さてさて、せっかくの30度の酒である。ここはクイッと生で行くことにする。パッと華やかにアルコールがはじけると、香ばしさと甘さが口に広がる。とろっとした感触がしばらく余韻に残るのは懐が深い証拠。『
古くも 香り高く 強くも まろやかに からくも あまい酒“春雨”』とは巧い表現である。 こりゃ初っぱなからえらいものを飲んでしまったなぁ・・・という感想でした。うまいぞ、うん。ロックにしても味は締まるようだが、生と同じように楽しむことが出来るのも嬉しい。

泡盛は面白いと思わせる体験でした。
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