このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
(資)後藤酒造場 福岡県八女郡黒木町
(2005.10.22)
名著『
山里の酒
』においても紹介されている黒木町の
後藤酒造場
の麦焼酎。蔵は清酒焼酎の兼業蔵で、代表銘柄には清酒『
藤娘
』、この『
黒木大藤
』に加えて焼酎『
藤の露
』がある。
黒木町といえば同書にもあるように市街地の一番奥にある素盞鳴神社の境内にある“黒木の大藤”でありましょう(あ、あと黒木瞳が同町出身でした)。応永2年(1394年)、後醍醐天皇の皇子・懐良(かねなが)親王が植えたという伝承があるそうで、樹齢は推定600年。私自身はこの焼酎のラベルに描かれた紫の花房が下がる光景を見たことがないのであるが、ググって見ると確かに美しいですね。花がもっとも見頃の4月末から5月にかけては“黒木大藤まつり”が開催されるとか。
神社の前を走る国道の上までも覆うこの藤の木だが、この焼酎に藤の花から採取した酵母を使用している以上に蔵元との関係は深い。神社の隣に蔵を構えていることも大きいと思うが、昔、樹勢衰えることなく広がり続ける大藤のために自社の敷地を寄進したこともあったそうだ(上記『山里の酒』より)。
この焼酎は蔵の真向かいにある酒店で購入した物である。平成15年早春のことなのでもう2年半くらいだ。店の中はちょっと薄暗く、目の前の蔵元の銘柄のほとんどが並んでいたと記憶している。米と麦の2種類ある『黒木大藤』の内、どちらにしようか迷ったがその年度の福岡県酒造組合が主催した
イベント
で飲んだ印象から麦を選ぶことにした。
常圧蒸留で4〜5年貯蔵。落ち着きがあってそして深い味わいだ。ほろ苦甘さがじんわりと舌の上に広がっていく。これが1000円程度で買えてしまうのだから非常にパフォーマンスは高い。ストレートやロックで戴いていたが、本当に飽きの来ない美味い酒だと思う。
・・・実は、この焼酎はある事件のせいで非常に強い印象を持った銘柄でもある。
黒木町に行ったのも
九州焼酎探検隊
の
猛牛師
との粕取り焼酎探査の途中であったのだが、町内に到達する直前に筑後平野を一望すべく三納連山の鷹取山へと車を向けた。山頂からの眺めは素晴らしく、筑後平野は若麦色に染まっている。ただ、季節は春なのに山頂には雪が結構残っていた。ここからが事件の始まりである。浮羽の方へ下りようとかんかけ峠への下り路に入った。カーブを抜けた途端、真っ青になる。コンクリート舗装のか細い路は完全に凍結しており、その中に車は突っ込んでしまったのだ。ガードレールにけん引ロープをくくりつけて、これ以上坂を下りないように固定し、法面から枯れススキの束を集めたり、木の枝を集めたり・・・。そうやって何とか後進させて最悪の状況からは抜け出した。
今では本当に良い思い出である。
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