このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

明月
25°
明石酒造(株) 宮崎県えびの市

(2006.09.01)
都城盆地から見る霧島の峰は台形の上に紡錘型の高千穂峰が乗っかった感じで、雄大な男性的な山に思える。霞や霧の中から立ち上がる様な山容はまさしく“霧の中の島”であって、暫し足を止めてその風景を眺めたくなってくる。

一方、その反対側の小林・えびの盆地から見ると、パノラミックな姿を拝むことができるのだが、以前も何かで書いたとおり、私はこっち側の姿の方が好きなのだ。単純に、肥薩線の大畑〜真幸越えで“見慣れている”というのもあるが、それ以上に、横たわった姿が何ともゆるりとしていて、落ち着いて山を見ることができるというのが大きいのかも知れない。

その、割と西寄りに蔵元 明石酒造 はあるのだが、蔵の前を通ったことがある人はご存じのことと思われるが、結構工場はでっかい。種田山頭火をイメージしたTV-CMからすると、もっと「昔ながらの・・・」と蔵のたたずまいを想像してしまうのである。蔵の近くにあるJRえびの駅が、先日お亡くなりになった黒木和雄監督作品の『 美しい夏キリシマ 』の舞台にもなった風情ある木造駅であるということもなおさらそのイメージをふくらませていると言える。映画の中では終戦直後のえびのの風景がつづられているのだが、駅のホームからは同蔵の銀色の貯蔵タンクがそびえる様子が見える。その近代的な工場の外観は「
さすが!宮崎焼酎の“西の要”!!」などと感嘆してしまうのである。

余談ではあるが、道沿いには製品販売専用の事務所が構えてあるので、アポ無しの訪問者にとっては嬉しいことこれ以上無し・・・だ(爆)。

さて、やっと西諸県郡の美しいラベルの焼酎を紹介できるのだ。

銘柄の由来であるが、蔵のホームページに因れば、『人々の心が満月のように、まぁるく明るく円満に、そして平和に』という願いが込められているという。その金色の月をフレーミングで浮かび上がらせているのが蔵からすぐ真上に広がっている“えびの高原のアカマツ林”のぶっとい幹なのだ。

米焼酎をブレンドしているということで、香り、風味豊かに、そして飲み口はすっきりと仕上がっていると思う。宮崎標準形の20度よりもアルコール度数が5度高い分、甘みの主張が強いようである。生、お湯割り、ロックといろいろ試してみたが、飲み方を選ばない焼酎ではなかろうか。学生のころから好きな銘柄であるが、やっぱり美味いですわ!

最後にちょっとご紹介なのであるが、蔵の近くには、焼酎を供えると願いを一つだけ叶えてくれるという「焼酎の神様」で有名な“金松法然さま”がある。明石酒造にも同銘の芋焼酎があるが、このお堂の真ん前にある商店にたくさん並んでいるのはやはり“明月”。神様も納得の酒なのですね。
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