このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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仲間酒造所 沖縄県石垣市
(2006.06.21)
Miyanotsuru
石垣島を中心とする八重山群島は西の果て。
石垣島の風景を初めて見たのは椎名誠監督作品の『うみ そら さんごのいいつたえ』に出てくる白保の海だった。青い空、そして透き通るような海。暴力的にも覚える日差しは、自然と人工物の区別無く風景にメリハリを与え、その中を子供達が駆け抜けていた。そのような映像を見ながら、運動音痴の癖して「いつかこの海に潜ってやるのだ・・・。」なんて考えていた。
結局、生来の金欠と消極性がたたって、スキューバなどはすることもなく今に至るわけであるが、(仕事とはいえ)憧れであったこの地を践むことができたのが無性にうれしかった。そんな2006年の3月下旬。
私が行った石垣島を始め、黒島、小浜島、西表島、与那国島・・・とこれら八重山の島々では肉用牛の飼養が盛んであることを知る人はそう多くはないだろう。陸地面積などそう広くない地域であるのに、900戸の農家で23,000頭の和牛繁殖牛が飼養され、地域の農業産出額の半分を占めるほど。飼養規模はまちまちだが、大きいところになると法人化に取り組んで100頭規模の大規模経営を展開していたりもする。なぜ、八重山で今日のような肉用牛の一大産地が形成されたかと言えば、背景には本土復帰前後から進められてきた永年牧草地の整備があったからである。草地整備には、固い岩盤状のサンゴ由来の土壌を粉砕しながら周囲の土や植物を土中に鋤込んでいく特殊な作業機械が用いられる(この機械。未だ草地造成が続く黒島で見ることができた)。この草地をいくつか組み合わせて、上手く回転させながら周年放牧を行うことによって、飼料代や管理の省力化が可能となっているのだ。
専門的に見ればこのようなつまらない見方をしてしまうのだが、(石垣北部で見かける)眼下に美しいリーフを見ながら放牧地に寝転んでいる牛の姿というのも、観光客にとってはたまらなく旅情を感じるものだと個人的には思う。
蔵のある宮良集落と言えば上記の白保地区にも近い。だが、なぜ牛の話に行ってしまったかというと、宮良集落にある八重山そば屋に入った際、和牛農家のおっちゃんに蔵の所在を聞いたからなのだ。民家の庭先にあるお店で大音量のバラエティー番組を見ながら、しばしの“ゆんたく”。そのような中食べるそばはとてもうまかった。
ラベルの鶴もかわいらしいこの“宮之鶴”であるが、香りは甘く、そして高い。飲んでみるとやや強い甘みが口の中で染み渡るようにのびるのだが、しつこさはあまり感じられない。
飲み飽きすることのない酒についつい盃を重ねてしまう。
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