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森伊蔵
(有)森伊蔵酒造 鹿児島県垂水市

(2004.08.02)
かつて大隅半島にもレールが延びていた。今のJR日南線の終着駅である志布志駅から南、鹿屋から大隅高須で北へぐるっとまわり、桜島と錦江湾を見ながら北上する。そして太古、大きな火山活動の名残である“姶良カルデラ”の淵にしがみつくように進んで、大隅半島の付け根、国分に滑り込むのである。この鉄道線を国鉄大隅線と言い、国鉄がJRへと変わる直前の昭和62年3月13日に廃止、バス転換された。

その鉄道が走った同じ風景を見ながら、錦江湾沿いの牛根深という地区で焼酎を造る蔵がある。眼前に広がる光景を冠した“錦江”がかつての主力銘柄であったが、昭和63年より4代目の名を冠した焼酎が出る。その後は皆さんのご存じの通りでして、『幻』の代名詞として焼酎界では別格の存在なんだって(爆)。

ネットオークションでは何万もの値段が付いているけれども、たかが嗜好品にそこまでの金を出すわけがない。それにしても『幻』ってなんね?まったく買えんっつうわけでは無いっちゃろ?焼酎飲み始めてから何年もである。そういった現状をパソコンのモニターを眺めながら、ずーっと疑問に思っていたのである。ある晩、焼酎を飲んだ酔いに任せて抽選にエントリーしてしまった。本当に買えない物なのだろうか?そんならいっちょ試してみるか・・・と言った具合である。酔いが回っているから、回線が混んでいようが関係ない。小一時間ほどかけまくって、2回線分のエントリーを完了した(爆)。

翌月、電話確認を入れるとあっさりと1回線分が当たっている・・・。
なぁんだ、幻じゃないやん。ちゃんと買えるやん。そげんメディアがいうごとありがたがる物でもないやん。はずれていたらどうなったか知らないけれども、この時点で単に送料まで入れれば3500円もする高い焼酎でしかなくなったのであった。

酒はワイワイガヤガヤと飲むものである。特に焼酎はこの傾向が強いと思われる。独り占めするというのもなんだかみみっちいので、みんなで飲むこととした。ちょうど 横浜焼酎委員会 のなかむらさんが近く宮崎に来られるという。その歓迎会の席でご披露となったのであった。その場では焼酎らしく普通の扱いをされたのである。

肝心のお味でありますが、先日書きました通り、非常に大隅らしい控えめの焼酎だと思います。全体的に延びというか、余韻は少ない焼酎だった。非常にさっぱりと感じたのだが、お湯割りにすると生で味わうことのできたすーっと消えていく甘さが感じられないのである。確かに(生で飲んだときには)美味い焼酎と思ったが、飲みやすい焼酎にありがちな「弱い」という印象を持つにとどまってしまった。

私なら生で飲みます。
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