このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

無月『夢』
櫻の郷醸造(名) 宮崎県南那珂郡北郷町

(2005.06.23)
押入からゴソゴソと引っ張り出した南那珂の焼酎。ラベルはぐるっと瓶を1周回っていて、有る箇所には瓶詰めの日付が書いてある。もう相当前に買ったのだが、ずっとしまいっぱなしになっていたもの。

この“
無月”には麦、米の焼酎がある。芋焼酎の『』に対して米焼酎は『』、麦焼酎は『』という愛称が与えられている。銘柄で統一されたパッケージが印象的で、一目見ただけで何処の焼酎か一目で分かる。そのような印象をこの焼酎を買った時には感じた物だった。

蔵元は北郷町にある。中心部を広渡川が流れるが、この川沿いの水田の中に蔵は建っている。周囲は鰐塚の山系にかこまれた美しい田園地帯で、早春には大々的に河川敷で野焼きが行われる。ひらけている場所であるし、とても大きな貯蔵棟が目印であるからすぐにおわかりいただけるかと。この広渡川の支流の一つに猪八重川という川がある。ちょうどホテル北郷フェニックスのすぐ下で広渡川に合流するのだが、この支流の源流部にはいくつかの滝が存在する。通称“猪八重渓谷”で、植物学的には1800種の苔類が群生する“苔類の宝庫”として知られている。

大学の頃、サークルの先輩、同期の3名で一度この猪八重渓谷へ北郷駅から徒歩で目指したことがあった。駅から渓谷の入り口まで片道でくたくたになるほど歩き、そこからさらに滝のある地点まで遊歩道を小一時間・・・。初夏の南国宮崎の気候は半端ではなく、そして蒸し暑い・・・。所々で立ち止まって木の梢を仰ぎ、これでもかというくらい歩いた先に急に目に飛び込んできた滝の風景、そしてその水の音は格別以外の何物でもなかった。おのおのが撮影をこなし再度駅まで歩いて戻るのであるが、その帰り道はこの撮影を提案した同期に向かってずっと愚痴っていた。今思うと貴重な体験であったし、良い思い出となっている。

話は戻るが、南郷町の 井上酒造 のグループ会社であるこの
櫻の郷醸造では中国から貯蔵用の大きなカメを輸入し、製造した焼酎を長期貯蔵している。昔はラベルに『製造元:井上酒造、販売元:櫻の郷醸造』とあり、井上酒造で製造した焼酎を貯蔵した上で販売という形態を取っていたと思われるが、今は櫻の郷酒造で焼酎の製造も行っていると思う。最近は“焼酎道場”という体験施設を設けて一般にも公開しているそうだし、最近の 宮崎日日新聞 で『自分の好きな味わいの焼酎を造ることができる』と焼酎のブレンド体験について紹介されていて話題の絶えない蔵だ。

“無月”そのものは酒屋の店頭で見かけることは稀だが、シェラトンや空港などのみやげ屋では定番銘柄であったりする。4合瓶がディスプレイした時に見栄えがするからだろうか。

今私が飲んでいるのはちょっと前の製品であり、現行の物と比較することは難しいだろう。ただ、香りは甘くしっかりとしているが、味わいはやわらかでとても美味しい。
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