このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

'08【白麹】
(有)渡邊酒造場 宮崎県宮崎市田野町

(2009.03.03)
宮崎でも冬ともなれば雪が降ります。平野部に雪が降ればそれこそ大事件ですが、山間部では年に1、2度は雪が積もるのですよね。

そういえば、今年に入って早々の寒波襲来では霧島の峰々が真っ白に雪化粧している様子を都城市内からも見ることができました。都城盆地の冬が寒いのは盆地であることと、北西にある霧島連山からの山風・・・のせいだったりするのでしょう。冬期に山を駆け下りてくるように吹く風を“○○おろし”と言いますが、都城盆地の北東には鰐塚山系がそびえております。渡邊酒造場のある田野町にはこの鰐塚山系からの“鰐塚おろし”が吹き付けることもあり、同町特産の寒干し大根のための巨大な櫓が孟宗竹で晩秋に組まれます。

・・・このような書き出しでレビューを書こうと考えていたのだが、日頃の行いが悪いためだろう。年末からずっとドタバタ・・・が続いている。やっと3月になり、ちょっと時間もとれるようになってきたので、(時期を完全に外してしまったのだが)拙い文章におつきあいいただければと思う。当然ながら、とっくの昔に瓶は空っぽです(自爆)。

この銘柄については、既に数多のサイト、Blogにて紹介されているとおり、久々に白麹で仕込まれた物。黒麹で仕込まれた物も並行して発売されたのであるが、白いラベルのアクセントが気になってこちらを手に取った。毎年毎年で造りが味わいに差が出てくるというのも季節限定酒の楽しみであり、また麹の差がどのように味わいに現れてくるかを比較して見るのもおもしろいのだが、家計との相談となりました。

都城の冬の夜は体の芯から冷える。特に今年は暖冬とは言われているものの、上記のように何度か雪が舞ったと記憶している。そのようなわけで、お湯割りをメイン、ちょっと時間があるときは千代香で燗をつけてやって・・・と楽しんだわけだが、甘藷の香りがより強く、お湯割りや燗では甘みがのびるように口の中に広がっていく焼酎。長く続く甘い余韻、そして蔵特有の香ばしい香り。飲み飽きがしない。

この銘柄については、避けられない話題がある。

この“大地の夢”については、初年度のみが白麹で仕込まれ、その後は黒麹のものが酒店の棚や飲食店の卓上に彩りを添えていた。

だが、本年は二本立てである。その詳細は瓶にかけられたリーフレットをご覧いただきたいが、渡邊幸一朗専務曰く、「じいちゃんから課せられた卒業試験」とのこと。じいちゃんとは蔵の2代目である渡邊一男氏である。2008年1月。甘藷の苗床の準備をしている際に一声、「(蔵の主力である)コガネセンガンを減らしても、ダイチノユメの作付けを倍に!」とおっしゃったのだという。そうして、気温が高まるとともに芋の苗が畑の土へ、蔓はぐんぐんと広がり・・・。

その“2代目”は2008年7月に亡くなられた。それまでは祖父、父母、幸一朗専務と蔵の3代の手による萬年焼酎の味わいであったが、その後は“4代目”渡邊幸一郎専務が造りの全ての工程において主導をとる。だから、「卒業試験」。

・・・大根櫓もぼちぼと片付け。宮崎平野では早期水稲の植え付けの準備が始まるのだな。蔵も甘藷の苗の準備で忙しい頃かもしれない。
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