このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

爽
飫肥杉
井上酒造(株) 宮崎県南那珂郡南郷町

(07.05.09)
蔵元である 井上酒造 は国道220号線沿いにあるから、この国道利用者ならたいていの人が知っているだろう。大きなタンクと、門前に並べられた焼酎のカメが目印。周辺には17世紀に当時の飫肥藩主が鵜戸神宮の祭神を勧進した榎原神社があって、県の文化財である本殿や楼門、特徴的な鐘楼など、うっそうとした緑色の空間の中に朱塗りの建物が立ち並ぶ様子が印象的である。

19世紀初頭に建てられた楼門の柱には地元名産の飫肥杉が使用されているという。樹脂分を多く含むため腐りにくく、かつては造船材料として非常に重宝されたという。近くにこの材の集積港として有名であった油津港があるが、今も残っている木造三階建ての商店、煉瓦倉庫・・・といった堀川沿いの風景に当時の繁栄を思わなくもない。鋼製の船舶が主流となった今の世の中、飫肥杉はその特性を活かして建築材としても秀逸で、木材産出量が全国トップクラスの地位にある宮崎県林業を後押しする原動力となっている。

井上酒造の敷地内には榎原神社の名を冠した名水“榎原湧水”がこんこんと湧き出ているという。その名水で仕込まれた“
飫肥杉”は(銘柄ごとの販売数量なんて全く把握していないことを付け加えておくが・・・)宮崎焼酎における減圧蒸留芋焼酎のトップブランド。地元はさておいて、私の周囲では芋臭い焼酎が苦手な人が好んで飲んでいるようだ。

芋臭いとか芋臭くないとか・・・。

先の焼酎ブームで個性ある銘柄が広く受け入れられるようになった今でも、そのような銘柄の紹介をしている焼酎本を見かけることがある。アプローチの仕方は人それぞれであるので、飲みやすい焼酎を愛飲している人を批判する気は毛頭無い。

焼酎生産県である宮崎や鹿児島においても、芋臭い焼酎を敬遠するような風潮はあるのだが、上記のような意味合いとはちょいと異なる気もする。「芋臭くない焼酎」が「飲みやすい焼酎」として認識されていることは同じだと思われるが、浮ついた感じはない。焼酎が毎日飲む“日常酒”であること、地元の食材や味覚との関係、(飲み手の)世代交代・・・と、きちんと地に足が付いた状態で自然と発せられる言葉であるからと思う。

瓶にキャップ(5合瓶)と、ブランドカラーの緑色を全身にまとったこの焼酎をロックで飲んでいるが、この銘柄については、どこかすぅーっと感じる甘みが特徴であると思う。香りについては意外と甘藷っぽさを感じる方。この「意外」というのは、私の減圧蒸留に対する偏見だろうか。

この日はコンビニで売っている宮崎産黒豚入りの魚肉ソーセージにあわせてみた。何というか、ぱくぱくぱく・・・とこういうお手軽さな美味さが好きなあたくしだったりする(爆)。

そういえば、この銘柄も学生時代によく世話になったにゃぁ。
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