このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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(有)高嶺酒造所 沖縄県石垣市
(2006.06.19)
まったく西南の島々というのは罪な物で、たった2泊3日の日程だったにもかかわらず、八重山の風土に直に触れた私はしっかりと“沖縄病”にかかって帰ってきてしまった。手当たり次第に沖縄の物を買いあさるという重病にまでは経済力というブレンボも顔負けの超ブレーキシステムが作動しているために発展には至っていないが、それでいても、本屋などにいった時には何かしらのかの島々に関係する本を開いていたりする。
到着当日には夜半にスコールに降られるなど、あまり天気が良いとは言えなかった。ただ、滞在の中日には終日、強い日差しと青空が広がり、放牧されている牛を求めてたどり着いた石垣島の北端の平久保崎灯台からはリーフに打ち寄せる波を見ることができた。黒島の東筋(あがりすじ)集落に近い北神山御嶽ではクワズイモとパパイヤの茂る森の中をひらりひらりと飛ぶオオゴマダラの姿を見たし、朱色の赤瓦が葺かれた家々が並ぶ路地ではどこからともなく、三線の音色が耳に入ってくる。ざわざわと渡る風に揺れるサトウキビ。石垣島の製糖工場の煙突からはもくもくもく・・・と白い蒸気が空に向かってはき出されていた。
泡盛“於茂登”を造る蔵元は石垣島の西部にある観光名所“川平湾”のほとり。土産物屋と溶け込むように集落の風景と同化している。私が平久保崎灯台から川平湾に到着したのはもう夕方の遅い時間帯。観光客にも公開しているという蔵の作業場は見ることができなかった。1升瓶にもシールが貼られている“伝承”の地釜蒸留。どのような物か見てみたかったのだが・・・。
夕闇の迫る川平湾であったが、観光絵はがきでお馴染みの風景は変わることが無く、浮かび上がるような白い砂浜に透明な波が静かに押し寄せいていた。学生だかOLだかは分からなかったが、若い女性2人が靴を脱いで無邪気な声をあげている。それを見ながら波打ち際を歩くのは釣り竿を持った地元の青年達。観光ボートにはちゃぷちゃぷと小さな波が語りかける。その時、私は「ここは(宮崎と)同じ国なのだな・・・。」というちょっとしたカルチャーショックに浸っていた。
石垣市内に戻り、公設市場のある商店街に近い小さな酒屋で買ったのは“於茂登”の2合瓶だった。1瓶たったの350円足らずであるが、30度をストレートで飲んだ時、ほんわかとした穀物香と主張を持った甘みがじんわりと口の中に広がっていく。
いずれの島酒を飲んだときもそうであるが、思うのはまたあの島に渡ることができるかなぁ・・・ということ。
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