このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
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21度
本坊酒造(株)小林工場 宮崎県小林市
(2004.09.18)
西諸県郡は小林市の古くからの銘柄である。小林市の中心部に在所を構える飲食店をはじめ、高原町などでも緑色のこの“黒こうじ 大淀”の看板を見ることができる。そういえば宮崎市の住吉地区にもこの銘柄の看板を掲げた店があった事を思い出した。もともとは白麹仕込みの“大淀”から派生した銘柄だろうが、いつの間にか兄貴分のレギュラー“大淀”が銘柄整理にあって消滅。今では宮崎の本坊酒造の血筋を護る唯一の銘柄となっている。ラベルは元々“真っ黒”な地に白色の文字が入ったものであったが、小林市の活性化の為だろう。“星空の下、コスモスの園を舞う蛍”という絵柄を近年採用。これに霧島の豊富な地下水を加えた『花(Hana)、星(Hoshi)、蛍(Hotaru)とうまい水(H2O)小林』と観光キャッチフレーズらしい文句をラベルに入れている。このようなことから、“大淀 3H2O”と紹介されることも多い。
大学卒業後、1年間研究生として宮崎に残った際にコンビニの深夜バイトに入ったことがある。そのコンビニにはこの“黒こうじ 大淀”の1.8リットルパックが置いてあって、極めて稀にではあるが飲み会で飲む分に・・・と学生が買っていく事があった。その学生、飲んでみてどの様な感想を持ったであろうか。当時というか現在もだろうが、宮崎大学の学生には圧倒的に霧島の5合パック(もしくは人数の関係で1.8リットルパック)がよく売れることを付け加えておく。
宮崎大学のある宮崎市木花だけでなく、近年は県内のほぼ全域で“霧島”が占有銘柄となっているが、本坊酒造の工場があるこの小林市でもやはり“霧島”が強いようだ。私自身、西隣のえびの市に工場を構える明石酒造の“明月”が幅を利かせていると思っていたのだが、実際によく売れるのは“霧島”なのだという。酒屋で聞いてビックリしてしまった。
このような状況で販売が思わしくないのであろうか。小林市内であっても、この“黒こうじ 大淀”を見つけることは難しくなってきている。時折、金色ラベルの25度の物を見かけるが、こっちは更にマイナーである。気にかかるのは、同じ本坊酒造が黒麹で仕込んだ鹿児島製の焼酎“黒麹 桜島”が酒屋の棚を飾り始めていることだ。“黒こうじ 大淀”はこれから先どうなってしまうのだろうか。西諸県からまた一つ銘柄が無くなってしまうのだろうか。非常に気になって仕方がない。
封を切ったが、香りは高く、この時点で“非常にいい感じの焼酎”とわかる。生では宮崎焼酎では異質とも言える“どっしりと鈍くさい”系の味わいである。この製品の特徴としては、一般的に20度という宮崎の焼酎の中でも1度だけ微妙に度数が高いことであり、この点も含めて宮崎でも奇異な焼酎といえるだろう。余り薄くなりすぎないようにお湯で割ってみたが、甘さが良く伸びるのである。しっかりとした風味に「こりゃいけるや。」とついつい飲み過ぎてしまった。ロックは試さなかったけれども、お湯割りについて、これは非常におすすめと言えます。
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