このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
小玉醸造(名) 宮崎県日南市
(2009.11.08)
宮崎県は肉用牛の飼養頭数全国3位という“養牛”の県(ちなみに、豚もブロイラーも全国トップクラスですし、農産物も知名度の高い物も多く、まさに“農業県”です。ただ、ここでは“養牛”ということでご容赦下さい)である。
乳肥(ホルスタインの雄を肥育した物)、F1(ホルスタイン×和牛)・・・等々、いくつかブランドはあるが、その頂点は「県内で生産肥育された黒毛和牛の肉で、日本食肉格付協会が定める肉質等級A4以上のもの」と厳しく規定される『
宮崎牛
』ってな事はご存じの通りですね。大相撲の表彰式での優勝力士に手渡されるトロフィーや東国原知事のPR効果で全国的にも知名度の高い銘柄牛だと思う。
さて、宮崎牛という銘柄についてだが、宮崎県内で生産される黒毛和牛の全てが宮崎牛として売られている訳ではない。上記の品種、等級での差別化というわけではなく、県内には単独農協がいくつかあり、それぞれで秀逸な銘柄牛を生産している。宮崎牛との関係については、それが統一ブランドとしての存在・・・という感じでは無かろうか。
これとは別に農家個人がブランドを立ち上げるケースもある。中には農協の生産組織に属さずに、市場に勝負を挑んでいる篤農家と言われる農場もあるのだ。
その代表格が今や全国的な知名度を誇るようになった“
尾崎牛
”であり、その代表がこの焼酎の銘柄にもなっている尾崎宗春代表取締役会長だ。学生の頃、学科の研修で一度農場にお邪魔したことがあるが、とにかくパワフルな方であったと記憶している。渡米など波瀾万丈な人生を送られている方であるが、それについては別のところで触れられていると思うので割愛させていただく。
南九州は畜産の集積した地帯であるから、発生する糞尿についてはキチンとたい肥に調整してやり、ほ場(つまりは畑)にきちんと還元してやる必要がある。でないと、そこら中が畜産たい肥だらけになってしまうのは想像に難くないだろう。たい肥の調整と言っても単にたい肥舎にたい積(宮崎の言葉で“こづむ”と言います”させておけばいいわけではなく、定期的にショベルローダーや攪拌機で空気を送り込まなければならない。燃料や労力といったコストはかかるけれども、これをやらないと分解微生物が働かず、結果としてたい肥は未熟な状態となってしまうのだ。未熟のたい肥を与えるとどうなるか。水分含量が高いので取り扱いに苦労するだけでなく、分解も中途の状態である。多用すれば窒素過多など、土壌に悪い影響を及ぼす。養分も過ぎたれば“毒”。発芽不良や植物体への硝酸態窒素の過剰蓄積といった害の要因となる。一方、キチンと調整してやったたい肥は未熟に対して完熟たい肥と呼ばれ、農家や家庭菜園・・・と何かと引き合いが強い。完熟たい肥を施用した野菜は味が濃い・・・といわれるのだが、あれはどうしてだろうか・・・。ミネラルなどの微量成分が良い方向に働いているでしょうか。う〜ん・・・。勉強不足だ。
どうしてたい肥の話を持ち出したかというと、畜産農家も頑張っているのだということを発言したい・・・という部分も確かにある。だがそれ以上にこの“
尾崎宗春
”という
小玉醸造さん
がコガネセンガンで仕込んだ焼酎に深く関係しているからなのだ。
この芋らしいふくらみを感じさせながら、スッキリした輪郭の甘さを感じる繊細な味わいは“らしい”味わいなのだが、この焼酎は尾崎畜産で生産されたたい肥を用い、田野町の農業生産法人(宮崎ベジタブルファームという会社なのだが、ここも建設業から農業に参入するなど県内でも先進的な取り組みで知名度が高いです)が生産したコガネセンガンを仕込みに用いている。特殊な栽培がなされたかんしょを使用した焼酎なので、それなりの希少性、価格は覚悟しなければならないようです。
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