このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

蔵の風景
焼酎を造る現場、焼酎工場へはなかなか足を踏み入れる機会はないと思う。実際にこんなサイトを運営して偉そうにしている私も実際に現場を見せていただいたのは10蔵ほど。その程度なのである。

ただ、そのようにわずかな訪問回数であるが、許していただける範囲で写真を撮影しながら気が付くこともある。焼酎蔵なのだから当然ながら焼酎を造るための道具にたいていの人は目が釘付け。それは蒸留器、林立するホーロータンク、地中に埋まったカメかも知れない。だが、私なんぞは良い被写体は無いものか、良いアングルはないものか・・・とカメラを持ってうろうろしている。そうやって目に入ってきたのは機器の整備作業(メンテナンス)のための工具類や古い建物の壁を縦横に走り回る電線などだ。
そういった我々消費者が見ることのできない部分で焼酎づくりを支えている道具なんかが気になって仕方がない。薄暗い蔵の中を目を凝らしながら歩くといろいろな物が話しかけてくる。ぼーっと切れかかった蛍光灯に浮かび上がったホースや、照明のスイッチ、柱・・・。一つ一つがプロの道具としての鋭利さを持ち合わせている一方で、何処か温かくて人間くさい。いつだったか、コンクリートの床に大昔、蔵に出入りしていた職人さんが刻んだ文字を見たことがあったが、そのような物を見て「いいなぁ・・・。」と本当に心がふるえたのだった。私は蔵の中を歩きながら、時に足を止め「このパイプは何処に繋がっているのだろう?」、「じゃあ、この不思議な形状をした物は何に使用するのだろうか?」と考えつつカメラをかまえている。我ながら忙しい。蔵にお邪魔している最中、私は撮影アングルを考えながら話を聞いたりしている事も多く、右の耳から左の耳へお話しが筒抜けということも時にはあったり・・・。すみません。

こうやって興味のままカメラを向ける対象は大抵が固有の存在感を持っている。一つ一つ捉えても単写真として十分な位なのだが、これらを一つのフレームの中に当てはめていって、一つの蔵元の風景を記録していく作業が楽しいのだ。

上の画像は大きなホーロータンクの並ぶある蔵の風景。ブレだけでなく、撮影者の腕で露出を間違ってしまい、床板のディティールがつぶれてしまった・・・。精進あるのみですね。
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(05.03.04)

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