このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

手づくり
八重桜
25°
古澤醸造(名)/宮崎県日南市大堂津

(04.05.27)
「蔵の前を通ってみようかな。」とちょっと寄り道をすると、ちょうど甘藷を受け入れている最中だった。やや日も西に傾き、路地にオレンジがかった光が差し込む2002年8月のお盆のこと。“八重桜”のロゴの入った倉庫の前、芋で満載のフレコンをトラックが下す。その建物の奥で手伝いのおばちゃんが芋の処理を行っていた。 蔵の周辺では地元のじいちゃん達が縁側に腰掛けて話をしている。日南特有の透明感のある空に真っ白な土蔵の建物という、真っ当な晩夏の風景。

今では隣町の減圧芋焼酎“爽 飫肥杉”や同じ日南市の“松の露”が猛威を奮う日南エリアであるが、隣町の南郷町でも“八重桜”の看板を見ることができることから昔は結構広範囲で飲まれていたようだ。蔵の近所の家の周囲に置かれたP箱には茶ラベルの“八重桜”が無造作にさしてあり、こういった日常からもしっかりと昔からの愛飲者は存在していることがうかがい知れる。

後日、ギラギラの太陽光線の中、カメラを持って蔵の周囲を歩いたことがあった(アポを取っていないので訪問はしていない)が、日傘を差したおばちゃんが一人歩く他は音のない風景。反射する光に、その土蔵の白壁に目がくらんだことを覚えている。日南の空は相変わらずで、ただただ抜けるように青かった。

妻の実家が県最南端の串間市にあり、道中いくつかの焼酎蔵が点在する国道220号線を南下することとなるのだが、日南市大堂津は御近所に私が知っているだけでも4つの蔵元があった地区である。現役蔵は2つあり、そのうちの1つが“古澤醸造”。

日南の銘酎」と名高い“八重桜”。この瓶も思えば大学の卒論発表の“Present for 自分”として購入した物だから、随分と保管していたことになる。言っちゃえば“一壺春”瓶自家貯蔵バージョン。味が変わっていないか気になってはいたが、ところがどっこい、味はしっかりと“八重桜”していた。ちなみに度数違いの20度もあったりする。知っていたかな?

スカッとした香りと非常に取っ付きやすい飲み口が特徴だと思うのだが、じんわり広がってくる甘みに結構懐の深さを感じさせるのである。お湯割りが美味かった。
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