このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

「由布岳」
(株)小野酒造 大分県大分郡庄内町
(2003.03.07)
庄内町は大分県から30分ほど。大分県の中心部に位置し、全山原生林に覆われる“黒岳”など140.29平方キロメートルの町面積の85%を山林が占め、天然記念物イヌワシの生息が認めれらるなど自然豊かな町である。

町内を流れる大分川等数本の河川が形成した河岸段丘は肥沃で水利に恵まれ、米所として知られているだけでなく、特産の庄内梨の収穫期には国道210号線沿いに露店が建ち並ぶ。その他、町内の12の座で継承されている“庄内神楽”の積極的な保存に町を挙げて取り組んでいる。

町内には蔵元が2つあり、うち1つがこの“
由布岳”を造る(株)小野酒造である。大分県の他の酒造業と同じように清酒と焼酎の兼業蔵。100年以上もの歴史を持ち、「日本の名水100選」に選ばれた黒岳山麓の“男池”の湧水を使用して仕込む“銀蝶”は平成11年度の全国清酒鑑評会で金賞を取るなど、良く名の知られた蔵元のようだ。

酒銘は町の西側に遠くそびえる“豊後富士”。方角から行って朝日に染まる姿なのだろう。オレンジ色の暖かいデザインだ。その由布岳をバックに麦の穂が揺れており、「麦焼酎やけん!!」としっかりと主張している(そうでなくても『むぎ焼酎』ってデカデカと表示があるんですけどね・・・。)

なおこの“由布岳”には、緑のラベルのマイルドバージョンがあります。

一つラベルを見ていて気になったのは蔵元の住所。大分県酒造組合のHPによれば、表記の『庄内町大字大竜ウソノヲ2700番地』は清酒“ぶんご梅”を造っている“ぶんご梅酒類”さんの所在だ。しかし町のHPでは『蔵元は“小野酒造”さんと“麻生本店”さんの2つ』とあり、よく観察してみると住所の下に『研南工場』とありました。おそらくは“ぶんご梅”さんに何らかの事情が生じ、小野酒造が工場を引き継いだのではないだろうか・・・と勝手に想像してみる。

肝心の味であるが、『減圧焼酎をメインにソフトな仕上がり』と言うだけあって、あっさりとしている。この辺りはナショナルブランドに追随しているというか、典型的な大分焼酎だ。ロックやお湯割りにすると甘味が立ってくるのでそれなりに飲めるのだが、もう少し個性が欲しいところである。

生で飲んだ場合、少しアルコールの刺激がツンと来るので、これはロックかお湯割りをすすめます。
《追補》
先日、蔵元のある大分郡庄内町の酒屋を覗いた際、棚に『ぶんご梅』と『銀蝶』が仲良く並んでいた。疑問に思っていた住所のことを店の女将さんに尋ねたのだが、上記のように“小野酒造”さんが“ぶんご梅”さんの工場を引き継いだのではなく、2社の協業化といった感じなのだとか。

つまりは造りを共同化し、地元向けに“小野酒造”の社名で“銀蝶”を。大分税務所管内に“ぶんご梅酒類”の銘柄“ぶんご梅”を流通させているらしいのだ。造りが同一と言うこともあり、味の方は差がないらしいのだが、その店では“ぶんご梅”の方が200円ほど低い価格で販売されていた。

ただ、この協業化についてだが、小野酒造場の子会社のような物かも知れないし、一層の探求が必要のようだ。“ぶんご梅”さんの代表名が麻生姓と言うのも気になる。

庄内町を訪れる機会があれば、再度聞いてみたいと思う。

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