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◇◆◇天使考◇◆◇
第1回萌えとハマリの狭間はヒット萌えキャラの彼に照準をあててお送りいたします。
◇山内練(やまうち・れん)◇
柴田よしき著『RIKO』シリーズ『聖母の深き淵』『月神の浅き夢』/角川書店
探偵花咲シリーズ『フォー・ディア・ライフ』『フォー・ユア・プレジャー』/講談社
そして現在カドカワミステリにて連載中の『聖なる黒夜』に登場する美貌のやくざ。
ちなみに「天使」の通称は作中、麻生が山内をそう表現した(正しくはノロケた)ところから。
◇Special Presents◇
練&麻生S・S『蝶の夢』文・佐伯蒼生/絵・碓氷静
《山内廉解体新書》
◇容姿……山内(以下、天使と記述)の外見については『〜ライフ』『〜プレジャー』出演の花咲氏(以下、園長と記述)がいちばん詳しく述べているような気がする。
園長曰く、天使の美貌はいわゆる女性的な美しさではなく、男性というのを充分意識させる容貌であるらしい。びっくりするほど美人の母親に似すぎた息子、というのが適切な表現のようだ。そして憎たらしいほど足が長い(笑)。身長は推測するに170センチ台でそれほど高くなく、細身。
色素が薄く、髪はロン毛。後ろでひとつに束ねていたりする。
この外見で下品にげらげら笑ったり、現在はべらんめぇ口調の東京弁(しかもかなり言葉遣いが荒い(笑))をしゃべっているが、若い頃は関西弁だったというから驚きだ。
◇嗜好……服装のセンスは極めて良い。職業柄、スーツ姿が多いようだが、ネクタイは嫌いなのか締めていない記述が多い。『〜プレジャー』では珍しいジーンズ姿の天使が拝める。
『月神〜』で内山の自宅に入った村上緑子(以下、リコと記述)によると、インテリアのセンスもかなり良いらしい。そしてそのセンスはどうやら遺伝?なぜなら小物屋を開いている彼の姉も素晴らしいセンスの持ち主なのだ。
ゲイの象徴であるかのように右の耳にピアスを空けている。プラチナのリング状のピアスをしていることが多い。
胸に蝶の入れ墨を彫っているが、いわゆるやくざ系の彫り物ではなくタトゥのようなもののようだ。
愛煙家で煙草はメンソール。喫煙家でない管理人には銘柄特定は未だできず(汗)緑のラインが入ったメンソール煙草……
夜恐怖症(ナイト・フォビア)をごまかすため、多量の酒を浴びるように呑み、結果アルコール中毒の一歩手前。酒はどうやらバーボンがお好みのよう。
愛車は白のランボルギーニ・カウンタック。いわゆるスーパーカー系の車を愛車にしているとは、以外と無邪気だ(暴言か)。安易にフェラーリとかでない辺りが碓氷@管理人的にはツボ。ちなみにカウンタックとは妙に平べったい外車で、園長が遊園地の乗り物を連想するのも頷ける、ガルウィング(ドアが上にスライドして開く)のクルマである。
◇略歴……滋賀県出身。京都の高校を出て上京、東工大の大学院まで進んだ秀才。情報工学を専攻していたようだ。出身地から、若い頃の関西弁は京弁に近いはんなりしたものだったと推測できる。
大学院在学中に強姦未遂、暴行傷害容疑で逮捕される。このとき天使を検挙したのが運命の恋人・麻生刑事。しかしこれはどうやら冤罪だったようで、以後、天使の人生は180度方向を変えることになる。
ちょっといわくありげな実刑判決を受け、受刑中にゲイに目覚めるのだが、ここで重大な疑問がわく。天使は刑務所で先輩方にさんざん可愛がられるまで女性経験がなかったという事実だ。
当時、天使の年齢は26歳。彼ほどの美貌の持ち主なら、誘いをかけてくる女の1ダースや2ダースはいたはずだ。なのにこの歳まで童○だったのはなぜなのか?
それまでの天使は「内気で優しいいじめられっこ」だったという姉の話から、地味でおとなしいガリ勉くんな青春を送り、美貌を分厚い眼鏡とダサい服装でカムフラージュ(謎)していたため、周囲が彼の美しさに気づかなかったという推測ができる。
もしくは、自覚のないゲイで、言い寄る女性をことごとくちぎっては投げちぎっては投げ(違)してあしらってきたのか。
とにかく、最初の逮捕で実刑判決がおり、それを苦にした兄・宗(政治家を目指していた)が都内のホテルで首吊り自殺。それを知った天使は以後、留置場で幾度か自殺を試みている。
2年弱で仮釈放になった天使はグレ街道まっしぐら(笑)刑務所で覚えたテクニックを武器にゲイとオカマのたまり場・新宿2丁目で華々しくデビュー。なんでもアリのヤバイ秘密クラブで働いていたこともあるらしい。
その後、やくざの大物である韮崎氏に拾われ、愛人に。春日組組長が死亡して代替わりしたとき、韮崎の遺言で春日組若頭に就任。時間関係の前後は不明だが、現在刊行されている最新刊での肩書き、表向きはイースト興業の社長、裏向きは春日組の若頭という地位を確立。
バブル期に土地転がしたり、別名義で経済評論の本まで出版していたりと裏表ともに精力的な活動をしている。
あまり考えたくはないことだが、『〜ライフ』『〜プレジャー』の時点で天使の年齢はすでに30代後半なのだ……(これは天使ファンの間では禁句なのだろうか?)
◇ココロとカラダ……さて、論旨はちょっとヤバイ方面に及びます(笑)まず、山内練という男にこうも巷の腐女子…イヤ、婦女子が惹かれるのは美しい容姿はもちろん、彼の持つ二面性、そして危うい精神バランスのせいだろう。
冤罪という悲劇が彼を襲うまでは、内気でおとなしい、優しい青年だった練。現在の、狡猾で残忍で淫乱な彼と、どちらが本性なのか。
ひとえに彼が壊れてしまったのは実刑判決がおりた直後の兄の自殺、刑務所での同姓からの強姦、なによりも彼が逮捕されたときに家族の誰ひとりとして練の無実を信じなかったという論じるには材料の足らない謎によると思われる。
家族の疑惑は現在では判断材料が少なく、わかることが少ないため置いておくとして、服役中夜毎先輩方に可愛がられたのはよほどこたえたらしい。以後、彼は夜が怖い……ナイト・フォビアに苦しめられている。彼は恐怖をごまかすために様々なものに逃避する。酒、クスリ、セックス。アルコール中毒なのは言うに及ばず、多情症なのもナイト・フォビアが原因のひとつらしい。クスリに関しては、天使は「頭がいい」ので自分に厳しく摂取量を制限しているようだ。精神分析医にかかっていたこともあるようだが、おそらく治療の過程で触れられたくない過去に及ぶのを避けて通うのをやめたのではないかと思われる。
ただ、彼の躰は以上の理由からすでにぼろぼろで、周囲からもあれじゃ長生きしないだろうななどと言われている。
現在では完全にゲイを自認している天使だが、体面上の理由から女と寝ることも少なくないようだ。ただ、女性相手のセックスでは満足感は得られないらしく、彼が真性のゲイであることを証明している。付け加えるならば、天使は完全な「受け」で、最中の声はまるで女性のようであるらしい(リコ談)
天使を誤認逮捕(推定)した麻生と、どうして恋愛関係におちいったのか、というのも最大の謎のひとつである。が、これに関しては柴田氏は追々明かしていくと明言している。現在カドカワミステリで連載中の『聖なる黒夜』で明かされるのだろうか。
「悪魔は昔、天使だった」つまり、天使でないと悪魔にはなれないのだ。人間は誰しも凶暴性や残忍さを持ち合わせているものだが、それが表にあらわれるきっかけを充分に彼は持っている。
そして、ときに激情して周囲が止めなければ相手を殺してしまうのではないかというほどの暴力性を示すところからも、すでに精神のバランスがかなり危ういということが伺えるだろう。
(おそらく本命と思われる)麻生への愛も、憎しみと表裏一体でこのふたりに訪れる未来は悲劇的結末を予感せずにはいられない。
なによりも気がかりなのは、彼が救われる日は来るのだろうか、ということだ。
きっと彼は神など信じてはいない。それどころかそんなものがいるのなら憎んですらいるだろう。だが、それでも神がいるのならどうか彼に幸福な死を。それだけを願ってやまない。
(C)2001’2.3 碓氷静
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