このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  もう少しでとんだお笑い者になるところを、危機一発で脱出しました。

「ト調とイ調」

 私が小学校3年生、9歳の時の信じられないような出来事です。
音楽の時間が嫌いになっていた私は冷や汗の出る思いをしました。ある日の音楽の授業中、先生から「ト調の次は何調ですか?」と質問されてしまいました。音階は「ハニホヘトイロハ」となっているので、答えは「イ調」です。その正解を黒板の前に出てチョークで書かないといけません。

 私は不安な気持で黒板の前に立ち、どうやらイロハ順になっているようだな…と思いを巡らせ「イロハニホヘト…チリヌルヲ…ワカヨタレソ…」と小さく口ずさみながら、なんと「チ調」と書いてしまったのです。直後、教室内はシーンと静まり返った事を覚えています。背中いっぱいに異様な沈黙を感じました。恐るおそる後ろを振り返ってみますと、不思議そうな顔をしたり首をかしげたりしている級友たちの姿が見えます。(やはりまちがえたのか…)私はあせっていました。

 その時、どこからか誰からか“天の声”とも思える言葉が発せられました。「字〜、まちご〜ちょんじゃろう?」「横の棒がいらんのじゃろうが…」すると、あちこちから「あっ、ほうか…」 「ほうじゃ!ほうじゃ!」などの声が上がり、すぐさま私は冷静に「チ」の文字の横の棒を消し去り席へ戻りました。ほどなく先生の「正解です。イ調ですね」との声が教室内に響き渡っていました。

 子供の頃、私はカタカナの「チ」の文字を書くと漢字の「千」という字になってしまうクセがありました。しかし、これが幸いしました。横の棒をとると、まさにカタカナの「イ」になります。まさか「チ調」なぞと書かれているものとは誰にも思われず、これを理解するべく努力をしてもらった結果、私は字の書き方をまちがえたのだろうという風に解釈されました。あの窮地に陥った局面、トンデモない回答から正解へと導いてくれた“天の声”の発信者に感謝いたします。
「無罪放免、ありがとう!」

 


 

  よくぞここまで、私の話を聞いていただきましてありがとうございました。
  このまま年を重ねていくと、忘れてしまいそうなので思い出しながら綴って見ました。

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