このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

 ♪あし〜た はまべ〜を ♪さま〜よえ〜ば ♪むか〜しのこと〜ぞ ♪しの〜ばれる

「浜辺のうた」

 私が8歳、小学校2年生の時の出来事です。その年、学年行事で近くの海へ野外学習に行く事がありました。貸切バスにゆられていっとき、大きな海とひろい浜辺に着きました。(そこが長郷海岸だったと知ったのは後の事です)子供たちはここで貝殻や海草を集めたり、海に住む生き物を観察する事で自然を学ぶというものです。

 干潮時の浜辺は、ほんとに色々な生き物でいっぱいでした。ヤドカリにヒトデにシオマネキ…、ワカメにアオサ…。晴れ上がった青い空と海を前に心は躍り、私は同じクラスのさん(仮名)と、あれやこれやと談笑しながら楽しいひとときを過ごしていました。近くで向き合ったまま観察?を続けていたのです。この直後、惨劇が…。

 “ガツン!”大きな鈍い音と同時に彼女はその場にうずくまってしまいました。頭を覆った手の指の間から、みるみるうちに血がこぼれてきます。あふれる鮮血!泣き叫ぶさん!急を聞いて駆け付ける先生たち!アッという間に周りに人垣が重なり、飛び交う怒号の中で、彼女は抱きかかえられ運ばれて行きました。悪ガキどもがふざけて投げ合った石が彼女の前頭部を直撃したものでした。

 数日後、彼女は学校へ帰ってきました。“が来ちょるど”の声に、私も急いで教室へ駆けつけました。教室へ入るや思わず息を呑んだ覚えがあります。頭を包帯でぐるぐる巻きにされた痛々しい姿に圧倒されて声もかけられませんでした。でも、片方だけのぞいていた眼ははにかんで笑っていたような…。“心配かけてゴメンネ”と語っているような…。それとも“アンタ、運がよかったね”だったのかも…。ほんとにわずかなタイミングの差で私があの姿になっていたのかも知れません。時おり長郷海岸の側を通る事もありますが、いつも古の出来事が脳裏をかすめます。
 さんは今、どこに… 

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