このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
小学校へ入学した直後、いきなり大きな試練が待ちうけていました。
「海は広いな、大きいな」
私が小学校へ入学してピカピカの1年生、つまり7歳の時の話です。
入学してまもない頃、音楽の時間で「海」という唱歌を習います。担任の女の先生がオルガンで伴奏し、子供が順番に立って歌っていきます。
やがて私の番が来て、私もおもむろに歌い始めました。♪う〜みはひろい〜な〜 ♪お〜きい〜な〜 ♪つ〜き〜が〜と歌ったところで、教室内に笑いが起こりました。あちらこちらで誰ともなく私を振り返って笑っています。先生も伴奏を止め、「ちゃんと歌いなさい!“ちゅき”ではなく“つき”でしょ!」と怒られてしまいました。私は(なんでな〜、ちゃんと“つき”いうて、うと〜ちょるじゃないか!)と反発しながらも、もう一度やり直しをさせられる事になりました。
こうして、私はふたたび初めから歌い始めました。不安な気持ちを胸に抱えたままで、♪う〜みはひろい〜な〜 ♪お〜きい〜な〜と、そして ♪つ〜き〜が〜と歌ったところで、ドッと大爆笑となりました。ワッハッハハ〜、ハッハハ〜、ヒィ〜、前にも増して笑い声は大きく教室内に渦巻いていたように思います。私は(なんで笑われるんじゃろう…?)と戸惑い、うろたえてしまいました。そうした私の動揺にもかかわらず、更に先生からはキツ〜イいっぱつが放たれました。「もう一回…」。その声は私の頭の中でうつろに響いていたように思います。(頼むけえ〜、もうこらえてくれ!ワシはええがに、うと〜ちょるど!)と、心の中で必死に叫んでいました。
その後の記憶はありませんが、おそらく絶望的な展開になったものと思われます。本能的に忌まわしい記憶は消し去られてしまいましたが、今から思うと、あの先生は異常に教育熱心な先生だったのかも知れません?この機会に発音を矯正しようとなされていたのでしょうか…?ともあれ、こうして私は記念すべき小学校入学の直後、クラスのみんなの前で笑い者になってしまいました。こうして私は音楽の時間が嫌いになってしまいました。
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