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米国の、他の参加国の立場を無視し、自国の利益を優先した大会運営によって、オリンピックが汚されている。
開会式での米国旗の行進が実現したのには驚いた。 国際平和の象徴たるオリンピックの開会式を「テロとの対決」という血なまぐさい言葉で彩り、参加各国に自国の政策を押し売りするとは何事か。
確かにテロは許されるべき行為ではない。 しかし、あの同時多発テロも、自国がそれまでにおこなってきた対外政策の当然の帰結である。 自国の政策を省みることなく、テロとの全面対決のみを掲げることは、さらなるテロの脅威を生むだけである。
この演出を提案した大会実行委員会も、許可したIOCも、その意味するところをよく考え直し、責任を痛感すべきである。
ブッシュ大統領の、米国選手団の中からの開会宣言にもがっかりさせられた。
自国の選手たちに囲まれての宣言は、オリンピックを国威発揚に利用しているとしか思えない。 ヒトラー率いるナチスドイツによって戦争に利用される結果となった過去(第11回ベルリン大会、1936)を忘れてしまったのであろうか。
競技大会は選手間の競争であって、国家間の競争ではない(
オリンピック憲章・規約9
)ことを再認識してもらいたい。
それから、オリンピックの開催中に核実験を行うとはどういうことか。 それも自国で行われているオリンピックの開催中に。
これは核軍縮に反するだけでなく、オリンピックの精神を踏みにじる行為であり、決して許されるものではない。 にもかかわらず、被爆地での抗議行動も、メディアの扱いも、以前に核実験がおこなわれた際と大して変わらないように思われる。 IOCも特に文句は言っていないようである。 (IOCについてはきちんと確認が取れていないので、間違っていたらごめんなさい)
このようなことで良いのだろうか?
オリンピックは米国のためのものでも、他のどの国のためのものでもない。 選手のためにこそあるべきものである。 我々は、このことを心にしっかりと刻んで、オリンピックという競技会を冷静に見つめ直す必要がある。
応援すべきは各選手であって、国家ではない。 選手間の問題を国家間の問題にしようと企む全ての団体を、そしてそれを容認する全ての団体を、許してはならない。
オリンピックを汚す米国の大会運営に断固抗議する!
© 2002 Chisato Hayahoshi
★ ★
IOCの役割は、オリンピック憲章に従い、率先して『オリンピズム』を普及させることにある。この目的のために、IOCは:
1 オリンピック競技大会は、個人種目もしくは団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない。(以下略)
(オリンピック憲章に関する詳細は、 日本オリンピック委員会ホームページ をご覧下さい)
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