このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

今、そしてこれから(バリアフリーについて)


「バリアフリー:
身体障害者が社会生活を営む上で、支障がないように施設を設計すること。また、そのように設計されたもの。(広辞苑 岩波書店版より)」
というのがバリアフリーという単語の正確な意味である。
バリアフリーと言うもの自体が90年代になるまで日本社会にとってはあまりなじみの無いものであり、
最近の福祉社会化を目指す上において注目されてきたように思われる。
既にほとんどの公共施設において身体障害者や老人が不自由をしないようになっている欧米と比べ日本は遅れをとっている。
これも戦後の急激な発展において軽んじられ、今になってツケになってやって来たものの1つであり、解決しなければならない課題であろう。

 

なんだかいきなり結論を言ってしまった格好になったが主体はこれからである。
以降は鉄道関連施設におけるバリアフリーの代表的なものを挙げていきたい。
まず鉄道関連施設において、最もよく見られるモノの1つとして優先座席がある。
こういうのもなんだが、優先座席を設置するのに必要なものといえば表示用のシールぐらいなので(座席の色を変えているものもあるが)、
設置自体はすごく簡単であり、いまやほぼ全ての電車の車両に優先座席は存在している。
ただ優先座席というものは非常にあいまいなもので、結構普通の人が空いていない時でも座っているものである。
あくまで「優先」であり「専用」ではないのだから身体障害者以外の人も座っていいのだが、
いざ身体障害者や老人が来ても譲れないことが多いので(たいていの場合は言い出すことが出来ないのである)、
たとえ空いているときでも優先座席には座らないようにしたいものである。

ところが最近阪急電鉄が「優先座席」を廃し、「全ての座席が優先座席」と言う制度を取り入れた。
これは老人や体の不自由な方がいたら席を譲るというある意味優先座席の根本ともいえるものである。
この制度が成功するかどうかはまだわからないが、
いずれは全ての電車を「優先座席」を必要としない電車にする上における第一歩といえるだろう。

 

次はエレベーター及びエスカレーターについて書きたいと思うが、
駅におけるエレベーターはビルなどに設置されているものとは目的が違う事を理解しといてもらいたい。
ビルに設置されているものが素早い移動を目的としているのに対し、
駅に設置されているものの方は車椅子の利用者をはじめとする、階段を使えないような身体障害者のためのものなのである。
その為駅のエレベーターの速度ははっきり言って遅く(走ったほうが速い)、また手すりが設置されている。

エレベーターは主要な駅にはもともと設置されていたが、
小さな駅においてははじめから設置されていたものが少なく、改装にともない後付けされている。
しかし現在においても普及率はまだ十分とは言い切れず、近鉄やJRなどの田舎の駅には設置されていないものが多い。
それに対し大阪市営地下鉄は、ほぼ全ての駅にエスカレーターとエレベーターが設置されており、この点は評価できるであろう。
エスカレーターは大抵の駅では上りか下りどちらかしか付いていないが
(ちなみに近鉄学園前駅には下り、近鉄高の原駅には上りのものがそれぞれ設置されている)、どちらが効果的かは不明である。
関西には「立っておく人は右により歩く人は左を行く」という、
常に動き続けている特有のスタイルがある点エレベーターよりも便利かもしれない。
しかし大きな荷物や車椅子の人を運べないといったデメリットもあり、一概にどちらの方が有効とは言えないだろう。

 

さて、貴方は駅のトイレといえばいったいどんな印象を受けるであろうか?
臭い、汚い、危険と3Kそのもののイメージを持つ人が多いであろう。
各電鉄会社には是非何とかしてもらいたいものの1つである。
それはさておき、男性の方ならご存知だと思われるが、ほとんどの駅のトイレの小便器のうち1つは手すり付きとなっている。
また手すりと専用洗面台が付き、全体的に広く作られた個室トイレも設置され始めてきている。
トイレへ行くのを手伝ってもらうのは、大抵の人は嫌なはずなのでこれの普及は急ぐべきなのだが、
1つの個室トイレを設置するのに費用が結構かかるため、今のところは主要駅に設置されるにとどまっている。

ここからも解るとおり、バリアフリーは金有ってこその物だというのが現実なのである。
なおトイレ自体を身体障害者用にしても、トイレの入り口においての段差があるところが多く、
電鉄会社がバリアフリー全体を見渡せているのか今ひとつ疑問に思う時がある。

 

最後に動物についてだが、ここでは盲導犬、介助犬、聴導犬を取り上げることにする。
現在法律の上では、盲導犬のみ電車に連れて入ってもいいとされている。
でもやはり、電車の中に動物を持ち込むのは御法度というイメージをなかなか拭いきれないらしく、
めったに盲導犬を伴って乗車している人は見かけない。
また介助犬と聴導犬についてはまだ法律が定められていない。
そのために犬が乗車中大人しくしていることを証明する為に介助犬を伴い乗車したということが新聞に載ったり、
JR西日本などが独自に受け入れたりしている程度である。

 

今現在のバリアフリーの普及率は10年前より遥かに高いが、それでも要求されている基準と比べるとまだまだ低いと思う。
これから先高齢化が進むにつれて、ますます多くの設備に対してバリアフリー化が要求されるであろう。
タイトルにも有るように、バリアフリーはこれからである。
だがバリアフリー以前に、我々が少しでも身体障害者の人たちを手助けし、
より良い環境を作ることが大切だということを忘れてはいけない。
今度電車に乗ったとき困っている人がいれば、たとえ助けを求められなくても勇気を出して手伝ってあげてみて欲しい。
そこに何かを見つけることが出来るはずだから。

 

感想:
1日で書き上げた上に、たいした文才も無いので出来としては今ひとつな気がする。
現在午前4時なのでもういいかげん寝るとしよう。
文章を書く上において資料を送ってくださった各電鉄会社の皆さんには、ここを持ってお礼を言わせて頂きます。
ありがとうございました。


[ 前ページパンフレットTOP ]

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください