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九州車両の模型事情

切り継ぎ三昧でキハ200を製作する



キハ200、といえば、九州内の非電化区間のエース形式として、
一時期、増備されていた形式です。で、これを作ってみることにしました。
ネタは、Gマックスの211系1000番台5両セットです。このキットを切断、
ストレッチ(車体延長)をして製作しています。とくとごらんアレ。

★用意したもの★
(主要に使うもの)
211系1000番台キット・DT50台車・AU26-Jクーラー

(部品として使用するもの)
113系キット付属:屋根板・サハ111妻板・113系改造用側板(以上・すべてGM製品)
ボディマウントTNカプラー(密連)

プラ板・0.14、0.3、0.5の各種と塩ビ板

*工具として、マイターボックス、レザーソーがあると切り継ぎ作業が非常に楽です。

屋根板は113系用を切り継いで21m級にするので、3枚必要です。211系用の屋根板は
不要となりますので、4両作って、811系キットにまわす、などで消費しましょう。
そう、種車が211系だからといって20mで誤魔化すつもりはありまぬ。
でもねぇ、動力化が難しいんですよ(GマックスDT22をDT50に履き替える作業が必要)。

★車体の下準備★
211系の先頭車の側板を使いますので、これからビートを削り落とします。窓埋め、
ビート落としともども先の815系のページに詳細を入れましたので、ここでは省略します。
ビートを削り落としたら、窓を埋めまして、扉にステップを取り付けます。
まず、扉の下部にある、本来のステップを削り落とし、平滑に仕上げたあと、ナイフで
ドアの合わせ部分のモールドを延長して一番下まで扉とします。そこにステップを取り付け。

ステップは、0.3ミリのプラ板で、幅0.5ミリの帯板を切り出して製作。
瞬着を裏から塗りつけて固着させますが、扉の部分から外に漏れてくることがありますので、
くれぐれも流し過ぎないようにしてください。もれてしまったら、彫刻刀やカッターを使って
平面を出します。表部分も瞬着を塗ったら、窓埋め、ビート削りも含めて、一気にペーパー掛けを
して、車体を平滑にします。
おそらく、この流れのほうが、速く出来ると思います。自分は、窓埋め、ビート削り落としなどの
各工程ごとにペーパーをかけたんですけどねー。
ここまで終わったらいよいよ車体を切断します。

★車体の切断・切り継ぎ★
ここで車体を切断します。扉間のセンターピラーで一回ずつ、2箇所切断して、
5ミリずつ延長することになりますので、通常1枚で済む側板パーツが、つごう5つの
パーツに分かれるわけです。接合は慎重を極めてください。側板が曲がっていたりすると
あとで非常に苦労しますので。

延長に使うのは、113系のキットに含まれているトイレ用パーツです。こちらが一番
開口部がすくないので、5ミリずつに切り刻んで使用。ただし、開口部が間柱に
きてしまうと、あとで車体強度の確保が非常に面倒になりますので、切断位置を
工夫することで、間柱を含めて一体部品となるようにしましょう。しかしながら、
私が作ったときは、815系を先頭車化改造して作ったので、そのときに出た
廃材(=中間車を乗務員扉付きの部品に交換。本来が211系用の側板だったので、
車体断面が揃う、という長所がある)を使っています。ただし、この部品を窓埋めして
使っており、切り継ぎ部品が腰板・ピラー・幕板の3枚構成(当然瞬着で固着してある)
となりますので、強度がかなり落ちる上、あとで窓セルを入れるときに非常に苦労しました。

また、この部品、2両分合計8つも切り出せなかったので、不足分は今説明したように、
113系の部品を使っています。113系の方が使い勝手はよかったですね。
113系では、車体断面が少し違うので、あとで断面をそろえるために腰板を
削るのが面倒ではありますが、こちらの方がお勧めです。切り出したら、窓セルが
入る部分を金属ヤスリを使って、肉厚を薄くし、211系パーツと同じにします。
113系キットはガラスが成型品となっているので、ボディもやや肉厚ですので、
このような処理をしないといけません。

切り出した部品を定規などを当てて並べてみて、切断面の直線が出ているか、曲がりはないか、
などを見ます。当然、左右で全体の長さが同じかどうかも注意してみてください。
余計な部分は当然削りますが、隙間が開くところはあとで埋めるので気にせずに
タミヤセメントの白キャップで接着していきます。

接着したら、固着する前に、定規などを当てて(このとき、机の上など平面に、
裏返しにして置くと車体の平面も出しやすくなります。)直線が出ていることを
確認します。ステップなどで、裾はデコボコしているし、屋根板は一直線ですので、
雨どい部分を基準にして直線をだしてください。

直線が出ていることを確認したら、そのまま瞬着を裏から流し込んで固着します。
これを2両分やりまして、長さが揃っている、あるいは近いもの同士をペアとして、
ナンバー(0番台か1000番台か)を入れておきます。

★窓の削り広げ★

窓の天地寸法は、211系と同じですので、横方向に広げるだけで済みます。

★前面の製作★
ライト
前面は211系1000番台用パーツ(左右で窓の大きさが揃っているもの)を使用しました。
まず、別パーツとなっているライトを削って四角にします。5000番台用と2つずつ
ありますので、予備はあるわけですから気楽にやってください。カッターをねじこんで
荒めに削ったあと、金属やすりで仕上げました。

前面本体
運転席・助士席の両方の窓下の”クマ”の部分を埋めます。まず、手すりのモールドを
削り落とし。そして、0.3ミリのプラ板で、わずかに盛り上がってしまうので、ペーパーの
上で削って薄くしてから取り付けます。窓の下辺は、貫通扉の下部と直線になるように
しましょう。
あとは、方向幕をt0.14のプラペーパーで下半分を埋めます。何を血迷ったのか、自分の
車両は上半分を埋めてしまっています(汗)。

貫通扉周辺
211系は幌枠を前面に埋め込み、扉を含めてステンレスとして、アクセントとしていますので、
やや本体から出っ張っています。一方、キハ200は、幌枠を別として、やや引っ込んでいます。
で、どう誤魔化したか、というと”錯覚”です。
出っ張っている部分の幅・上下いっぱいに0.3ミリプラ板を使用して幌枠を作って、貼り付けます。
0.3ミリというのは、この場合、かなり厚みがありますので、きちんと幅いっぱいにしていれば、
貫通扉が出っ張っている、ということは、たいていの場合気づきません。つまり、幌枠の出っ張りが
目立つので。ごくごく薄くできている市販のエッチング製幌枠パーツは、直接前面に貼り付けて
使用できない、ということになります。

ライトの取り付け
211系のライトはかなり大きい半面、キハ200は切れ長ですので、取り付けた際、ライトの周囲を
埋めて平滑に仕上げたほうが、切れ長のライトが表現できて、よりよくなると思いました。
自分の車両はそのような加工はしていませんが、やる気のある方はどうぞ。

★屋根板の延長★
屋根板の形状が違うので、113系のものを使用してまとめます。別に他の形式でも悪いわけでは
ないようですが、Gマックスの113系キット、屋根板がやたらと余るので。
屋根板は側板と違って、1センチ、一気に延長します。延長したら、プラ板で接合部分を
裏から補強しておきます。

★床板の延長、加工★
ここで床板の延長を説明します。床板も21m級に伸ばさないといけません。
センターピンが入る部分を生かして、オモリや、床下機器が付く部分を交換することで延長します。
置き換える部分は0.5ミリプラ板を2枚接着したものを使いまして、側板内側にある、床板との
接合部分の一部をそれに合わせて削り取ります。
オモリは、床板の一部を現物合わせて削ることで床板下面に接着します。
多少低重心となり、走行性の向上にも一役買うようです(??)。

先頭部はボディマウント式のTNカプラーを取り付けます。取り付けは、ごくごく簡単で、
先頭部の一部をTNカプラーに現物合わせて削りこんで、0.3mプラ板で取り付け爪を
作って床板の上に載せ、下からTNカプラーをはめ込むだけです。こうすると、床板の
厚みの分だけ、下にさがってしまいますが、簡単に安くTNカプラーを取り付けることが
出来ます。この取り付け方法は福岡で教わってきました。

★車体の組み立て★
単純に箱に組み立てます。注意すべきは、屋根板と側板の接合面で、キハ200は張り上げ屋根ですので、
あとで平滑にしやすいようになるべくスムースに仕上がるように接着しましょう。
他の部分は基本に忠実に、つまり直角が出ているかどうか、などに注意するだけで大丈夫です。
なお、先頭部と屋根のRが違いますが、先頭部と側板は、裾を合わせて接着してください。
先頭部品は接着剤が乾燥後、金属やすりなどで、ガリガリ削って屋根とRを合わせます。
隙間を瞬着で埋めて乾燥したあと、削ります。とくに、屋根と側板との接合は、Rを崩さないよう、
慎重にやります。やり方は、815系のページで説明したとおりです。

★雨どいの取り付け★
雨どいは場所が違っており製作の初期段階で削ってしまっているので、改めて付け直します。
屋根上に、車体の端から1ミリほど内側の部分に一直線に取り付けます。使用したのは、
2ミリ角棒をあぶった伸ばしランナーです。
角棒を使うと、伸ばしても断面が四角ですのでこれを使いました。

★穴あけ★
屋上にはクーラーがつきますので、これに合わせて穴をあけておきます。
なお、AU26-Jクーラーには、取り付け穴が二つありますが、先頭側のクーラーは前半分しか
使わないので、一つだけ開けます。

★下地仕上げと塗装★
ここまできたら、塗装に入ります。まず、グレー系統の色をごくごく薄く塗って埋め込みや
接合部分などをきちんとうめているかどうかを確認します。
埋まっていなければ、乾燥するのを待って埋めたり削ったりを繰り返します。
これらが終わったら本塗装です。本塗装は、隠ぺい力の弱い赤から塗るので、グレーを更に塗って、
プラ板とキットのプラの色との差がなくなるようにします。

組み立て後、床板と組み合わせたキハ200(広島運転会にて)

差がなくなったら、乾燥させて、赤を塗ります。缶スプレーでグンゼ69、モンザレッドを塗りました。
見た方々、みんな”別におかしくはない、ほとんど本物だ”とのことですので、”JR九州レッド”
として、自信を持ってこの色をお勧めします。

気をつけて欲しいのは、この赤色、上からクリアーを吹くと、色調が変わってしまうので、
キハ200のような全体に赤がかかるばあいは、クリアーをふくのはまずいかなー、というところです。
赤が乾燥したら、扉の部分に銀を塗ります。工作上は、銀を先に吹いて扉をマスキングして赤を
吹いたほうがやりやすいのですが、銀をはじめとしたメタリック塗料というのは、金属粉(銀色の場合、
アルミだそうです)をクリアーで溶いたものですので、上に他の色がのりにくい、つまり
剥げやすいわけで、これを避けるための処置です。

あんまりしつこく吹き付けても隙間から塗料が車体に入り込むだけなので、ほどほどにしてください。
銀が乾いたら、面相筆で扉の把手などを色差しし、はみ出しなどを修整した後、扉の銀の部分だけ、
クリアーを筆塗りして表面保護とします。

★クーラーの加工★
キハ200にはクーラーが1両につき2台搭載されており、1台は近年、標準となった
駆動用エンジン直結式、もう1台は専用エンジンで作動するものとなっています。
専用エンジンのクーラーは、屋上の外観が小型となっており、これを作ります。
GマックスのAU26-Jクーラーは、上部のモールドをよく見るとファンなどが集まっている部分と
そうでない部分が、それぞれ四角い縁取り状のモールドで仕切られているのが分かると思います。
そのファンなどが付いていない部分を使います。だいたい長さとしては、2:1に分かれるわけで、
そこで切断します。切断面をきれいにしたら、切断面の内側をプラ板で塞ぎます。つまり、切断面を
覆うようにプラ板をつけるわけではなく、切断面は露出したままで、開口部を塞ぐわけです。屋根の
Rを出すには、あまっている113系などの屋根板にペーパーを当てて、その上で削るといいでしょう。
これをしたら、車体と同じく、グレーを塗ったあと、赤を塗っておきます。

なお、このクーラーの切断、慎重にやったらあとで良いことがあります。
というのは、2両分、つまりファンの付いている部分が2つ発生しますが、これの間にプラ板を
使うなどして延長すると、JR九州所属のキハ52冷房改造車のクーラーが1台できるわけです。

★窓セルを入れる★
窓セルを入れますが、ここまで見てきてお分かりでしょうが、客室窓のセンターピラーが
考慮されていません。ということは、窓に直接描かないといけない、ということです。
センターピラーは黒ですので、定規を当てて油性マジックで描きました。
これを入れて、側板は完成します。

先頭部分は、透明プラ板を使おうとしましたが、どうも切断面がきれいに仕上がらないので、
塩ビ板を現物合わせて切り出して接着します。


!!重機に解体されるキハ200!!(TRN運転会@福岡県春日市)
なんでこんな写真しかないねん...(-_-;

んでもって、完成したまともなキハ200の写真は現在準備中であります。
ジャングルプロからキハ200の発売も決まっており、店頭にもそろそろ並ぶかと思いますが、
このキット、3カラー分のデカールが入っているそうです。1編成製作したあとの
余剰となったデカールの転用先にいかがでしょうか?とてつもなく手間暇かかりますけど。


自社線連絡

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