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北千住リムジン継続観測





 北千住リムジンの使い勝手が良いことは、一度乗っただけでも重々理解できた。あまりにも便利なので第一選択肢としたい発想がまずあり、加えて営業的に成功しうるかどうかを見極めたい思いもあり、羽田空港を利用する際には、継続的に乗ってみることにした。以下はその観測記録である。



羽田空港→北千住     北千住→羽田空港     総括コメント    




■羽田空港→北千住

便名空港ⅡT乗車空港ⅠT乗車大井料金所浜崎橋JCT江戸橋JCT秋葉原入谷出口三ノ輪千住大橋北千住駅
2130 21:308名21:35+8名計16名21:4021:4421:4821:5021:5221:5421:5622:01
2230(1) 22:305名22:36+19名計24名22:4122:4722:5122:5322:5522:5823:0123:07
2230(2) 22:306名22:35+6名計12名22:3922:4422:4822:4922:5122:5522:5823:02
2230(3) 22:309名22:36+12名計23名22:4122:4622:4922:5122:5322:5622:5923:06
2230(4)22:305名22:35+17名計22名22:4022:4522:4922:5122:5322:5622:5923:04
1925 19:254名19:30+9名計13名19:3519:4019:4419:4519:4719:4919:5319:57


【2130便に対するコメント】
 羽田空港の21時台といえば、各方面を夕刻に出発するフライトが集中する時間帯であり、時によっては着陸するのにだいぶ待たされることもある。特に業務系の利用者にとっては、最繁忙期であろう。第二ターミナルからも第一ターミナルからも、バランスよく 8名ずつの乗車となった。
 ちなみに以降の乗車全てそうだが、一旦墨堤通りに折れる運転経路ではなく、日光街道からじかに右折して北千住駅前に入っていった。最初に乗った東武車の挙動はなんだったのだろうか。

21時30分発京急車
羽田空港第二ターミナル21時30分発の京急車(平成19(2007)年撮影)



【2230便(1)に対するコメント】
 羽田空港の繁忙も22時台になると、21時台の余韻が薄らいでくる。空港から各方面へのバスも、その多くは最終運行となっていく。北千住行もその一つで、22時30分発が最終である。第二ターミナルでは 5名の乗車とややさびしい感じ。ところが第一ターミナルでは一挙19名の乗車があった。身なりはほとんどが業務系である。(主に)日本航空は業務系利用者に強い、ということなのだろうか。雨降りの天候で、所要時間は案外延びた。

22時30分発東武車
羽田空港第二ターミナル22時30分発の東武車(平成19(2007)年撮影)



【2230便(2)に対するコメント】
 二度目の乗車。飛行機の到着がある程度伸びることを織り込んでいたところ、実際にはほぼ定刻で着陸してしまった(苦笑)ため、実に50分待ちとあいなった。しかしながら、自宅到着時刻が大きく変わらないことから、確実に座れる快適性を優先して、敢えて待つことにした。あれこれ用事を済ませると、30分くらいあっという間に経ってしまう。あとは本でも読んでいれば時間潰しは簡単。楽々の帰路とあいなった次第。



【2230便を逃したコメント】
 2230便(2) の経験から、30分待ち程度になるような便を選択した。ところが、実際には到着が遅れに遅れ、降機したのはバス出発のわずか 5分前。しかも最も遠いスポットで、接続は極めてタイトだ。早足で行けば間に合うかと思い、最後はダッシュまでしてみたが、まさにその鼻先をバスは出発してしまった。実に悔しい逃がし方である(苦笑)。しかたなく東京モノレールに乗ったが、バスが北千住に着いているであろう時刻にまだ浜松町、帰宅しているであろう時刻にまだ上野、という状況はなんとも切なかった。



【2230便(3)に対するコメント】
 実際には2130便を狙ったのだが、羽田空港混雑という理由で出発時点から待機となり、到着もそれに連動して必然的に遅れてしまい、接続できなかった。最終を目の前で逃した前回よりましな状況ながら、40分待ちである。ところが、この時間帯から東京モノレールのホームに向かうと、移動と次の列車待ちが時間潰し要因となってしまい、簡単にバスの方が時間優位となってしまうのである。そうなれば迷う余地などないわけで、最終バスの2230便を待った。
 これで利用は三度目。あいかわらず第一ターミナルからの乗車が多く、遅い時間帯では日本航空に搭乗する業務系利用者が強いことがうかがえる。乗車に時間をとったことから、定刻より遅れて出発。とはいえ、途中でだいぶ挽回しており、あまり遅れた感じがしない。なお、最大の遅れ要因は、入谷出口での信号待ちであった。

22時30分発東武車
羽田空港第二ターミナル22時30分発の東武車(平成19(2007)年撮影)



【1930便を見送ったコメント】
 筆者としては珍しく、早い時間帯に到着したため、是非とも乗車しておきたかった便。ところがこの日はちょうど花火大会で、北千住付近での歩行者混雑のため、1〜2時間程度の遅れは覚悟してほしいとの案内があった。長時間の缶詰は厳しいと判断、乗車券を払い戻したうえで、モノレール→JR→日比谷線直通で帰宅することにした。荒川鉄橋を21時すぎに通過したところ、花火はまだ上がっていた。



【1925便に対するコメント】
 捲土重来を期しての乗車(笑)。とはいえ、正月休み中という特異中の特異日なので、日常的な状況が反映されているわけではない点に注意を要する。また、羽田空港発の便はいつの間にか発車が 5分繰り上がっていたようだ(※東武・京急とも公式案内なし。特異日ゆえの臨時変更か、それとも正式なダイヤ改正があったのか)。
 乗車する前にはガラガラに空いていると予想していたところ、案外多くの利用があった。当日は特異日というよりむしろ、需要の空白日に近い暦であるはずだから、根強く利用者が定着してきたということだろうか。

19時25分発東武車
羽田空港第二ターミナル19時25分発の東武車(平成19(2007)年撮影)





■北千住→羽田空港

便名北千住乗車入谷入口秋葉原空港ⅡT降車空港ⅠT降車
0530(1) 5:308名5:425:456:034名6:064名
0600(1) 6:006名6:146:176:344名6:371名
0600(2) 6:0021名6:136:166:337名6:3814名
0530(2) 5:3015名5:425:446:015名6:0510名
0530(3) 5:3115名5:425:466:049名6:086名
0530(4)5:309名5:425:456:042名6:087名
0530(5) 5:3019名5:425:456:027名6:0612名
0600(3) 6:0015名6:126:146:313名6:3512名
0530(6) 5:3010名5:415:436:007名6:033名
0530(7) 5:3015名5:435:466:034名6:072名
0530(8) 5:3014名5:425:446:0210名6:064名
0530(9) 5:3011名5:435:456:025名6:066名
0800 8:0023名8:168:198:3613名8:4210名
0530(10) 5:3212名5:455:486:068名6:104名
1400 14:0012名14:1314:1514:324名14:368名


【0530便(1)に対するコメント】
 羽田空港の 6時台後半といえば、各方面を最初に出発するフライトが集中する時間帯である。全般に空席が目立つ時間帯ではあるものの、先を急ぐ業務系利用者や、時間を有効に活用したい観光系利用者が集まり、ターミナルはそれなりに賑わう。北千住リムジンにも 8名の乗車があり、まずまずの乗り。朝のうちは国道 4号が混んでおり、若干の早着にとどまるのが残念。

5時30分発東武車
北千住駅西口 5時30分発の東武車(平成19(2007)年撮影)



【0600便(1)に対するコメント】
 羽田空港の 7時台といえば、最初の出発でもなく、かといって普段どおりに起きて到着できるわけでもない、中途半端な時間帯である。乗車は 6名とこれまた微妙な数字。

6時発京急車
北千住駅西口 6時発の京急車(平成19(2007)年撮影)



【0600便(2)に対するコメント】
 ところが、ツボにはまりさえすれば大量動員がかかるのが航空の強みである。この日は初老以上の年輩と見受けられる女性(“おばちゃん”ともいう)の団体がバス前半の座席を占領しており、賑やかなこと賑やかなこと。その一方で若手業務系利用者の姿もあり、一人旅風情のお嬢さんもおり、総勢実に21名。バラエティーに富んだ車中となった。

6時発京急車
北千住駅西口 6時発の京急車(平成19(2007)年撮影)



【0530便(2)に対するコメント】
 利用者は15名とまずまず以上の乗り。うち第二ターミナル降車はわずか 5名。つまり、第一ターミナル降車が10名というわけで、早朝の利用は日本航空が強いと見受けた。

5時30分発東武車
北千住駅西口 5時30分発の東武車(平成19(2007)年撮影)



【0530便(3)に対するコメント】
 始発便の利用は三度目。利用者は前回と同じく15名。うち第二ターミナル降車は 9名で、今回は全日空が強かった。そのせいかどうか、業務系よりも私用・観光系の利用者の姿が多かった。



【0530便(5)に対するコメント】
 筆者としても慣れてきた五度目の始発便である。利用者は19名だが、実はこれに加えて児童幼児が 4名いた。夏休みも既に終盤という、観光や帰省には中途半端な時期に、このような利用があったのには驚いた。



【0600便(3)に対するコメント】
 久々に始発便より遅れた時間帯に乗車。利用者数は充分採算が得られる水準で推移しているようだ。国道 4号がやや滞っていたものの、時計を見る限りでは遅れは出ていない。首都高に乗ってからは快調に飛ばし、第二ターミナルには 4分も早着した。



【0530便(6)に対するコメント】
 キス&バスライドという行動形態の利用者を初めて目撃した。夫の運転する腰高の大型車に送られ、妻が遠出する様子だ。仮に羽田空港まで送るとなると、高速料金がいささか高くなるため、リーズナブルなのはリムジンバス起点ということか。もっとも、帰宅したところで一寝入りするほどの暇もないわけで、送り出す側もたいへんではある。



【0530便(7)に対するコメント】
 夏には明るかった周囲の景色も、冬至に近づいた今は夜明け前の暗さだ。冬場に入って需要がすっかり冷えこんできた。とりわけ、二回続けて日本航空系利用者が低水準で推移しており、気になるところではある。それにしても、観光の季節変動ならば理解できるが、ビジネス利用にも季節変動があるのだろうか。年末・年度末に向け、かえって慌ただしくなりそうなものなのだが。



【0530便(8)に対するコメント】
 先には冬場の需要冷えこみと記したが、どうも日本航空系利用者が一方的に落ちこんでいる様子だ。本日は大半が業務系利用者、さらに全日空系キャリアに搭乗していくわけで、一時期の業務系≒日本航空系というイメージの近似式が覆ってきた印象がある。日本航空系利用者の低水準推移は、一時的なものか、それとも恒常的な現象か、おおいに気になるところだ。なお、本日もキス&バスライドの利用者が 1名いた。

5時30分発東武車
北千住駅西口 5時30分発の東武車(平成19(2007)年撮影)



【0530便(9)に対するコメント】
 如何にも観光という若い女性三人組が、乗り遅れるかもしれないと慌てて乗場に急ぐ姿が見られた。筆者は慣れているから間に合うとわかっているが、不案内な状態では心配になる心情は理解できる。誰でも最初は不安になるものだし、バスは全般に案内がよくない。「余裕で間に合いますよ」と声をかけてみると、表情が途端にやわらいだ。本日は業務系利用者の姿が少なく、日本航空系と全日空系の利用者比もほぼ半々だ。どちらかに偏るというよりむしろ、日変動が激しいのかもしれない。

5時30分発東武車
北千住駅西口 5時30分発の東武車(平成19(2007)年撮影)



【0800便に対するコメント】
 筆者としては滅多にない時間帯での乗車。平日の乗車とはいえ、正月休みを控え、航空の予約が終日ほぼ満席だったという意味においても、特異日の乗車となった。
 バスは遅れて到着したが、出発は定時を守った。利用者を見渡すと、業務系は皆無で、帰省や観光(スノーボードを抱えた若い女性もいた)が中心であった。こども連れ家族も3〜4グループほどいて、完全に私用モードだ。そのせいか、アナウンスがいつもより丹念にされている。
 平日朝ラッシュ時間帯にまともにぶつかってしまうため、航空搭乗便に対する接続余裕を充分すぎるほど確保しておいたのだが、都心の道路は拍子抜けするほどに空いていた。首都高に乗るまで多少混みあったものの、あとはまったく滞らず、ダイヤより10分以上も早着したほどである。その意味でも特異日であったか。

8時発東武車
北千住駅西口 8時発の東武車(平成19(2007)年撮影)



【0530便(10)に対するコメント】
 年が改まってから最初の乗車。始発便にしては珍しく、バスは遅れてやってきた。利用者は、業務系と(観光というよりむしろ)私用系が混在しており、まだまだ雰囲気は正月のままである。出発が 2分遅れたとはいえ、道路が混んでいるわけではなく、あとは順調に進んだ。遅れたように見えても、実はほぼ所定ダイヤどおりの運行。ただし、搭乗便との接続がタイトになり、少々焦りを感じたことは確かである。



【1400便に対するコメント】
 筆者としてはかなり珍しい時間帯での利用。北千住駅前はバレンタイン商戦一色という趣で賑やかだが、なにしろ三連休最終日の午後だから、利用者はあまりいないのでは、というのが事前の読み。羽田空港からのバスが到着して、10名強の利用者が降車する。そのまま折返しかと思えば、ロータリーに別のバスが既に待機しており、車両が入れ替わった。乗務員交代と遅延吸収を図る措置と思われる。
 乗りこんだのは12名、この時間帯でこれだけの数がいれば立派なものといえよう。休日の夜まで目的地に乗りこむ需要を身をもって経験できた形で、足立区ほどの人口があれば、それなり太い流動であることがうかがえる。

14時発東武車
チョコ特売で賑わう北千住駅西口を14時に出発する東武車(平成20(2008)年撮影)





■総括コメント(主に空港→北千住)

 羽田空港での接続時間次第ながら、筆者にとって北千住リムジンは、羽田空港アクセスの最速モードである。その速達性に加えて、確実に着席できる快適性(+安心感)が実に大きい。接続する伊勢崎線にしても、準急以上では混雑緩和が進んでおり、不快さはない。

 これに対して、東京モノレールに座れることはあるが、必ずしも確実ではない。山手線・京浜東北線ではまず座れないし、混雑に揉まれることがむしろ多い。日比谷線ではほぼ確実に寿司詰めにされてしまう(常磐線は所要時間が余計にかかるので利用しない)。

 このように比較すれば、羽田空港アクセスに鉄道を利用しようというインセンティブがまったく働かない。速く快適で安心な北千住リムジンに対して、鉄道は大きく劣後する。運賃がやや高いものの、気になる水準ではない。こうなると、よほどのことがなければ、東京モノレールを使うことは金輪際ないのでは、とさえ思えてくる。

 実際のところ、少なくとも深夜時間帯の対北千住に関し、東京モノレールに時間優位性がないことがはっきりしている。最終2230便を目前で逃した時は、なんとも切なかった。自宅到着時刻が30分も違うとなれば、選択の余地などないに等しい。渋滞なき高速道路の高速性には圧倒的なものがある。

 運行開始当初時点では、北千住リムジンの絶大な高速性・快適性がどこまで認知されるか読めなかったため、営業的に成功するとは限らないのでは、という予感もあった。実際のところは、利用者数は相応の水準で推移しており、まずまず安定的に営業が続くものと想定される。





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