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「のぞみ」シフトを検証する(経緯編)
■経緯
東海道新幹線は、昭和39(1964)年10月に開業した。「ひかり」の東京−新大阪間所要時間は徐行区間の多さから 240分、翌40(1965)年には徐行区間がほぼ解消され 190分であった。この時の車両は 0系で、最高速度は 210km/hである。在来線時代の旧「こだま」が 390分を要していたことを考えれば、飛躍的な時間短縮が実現したといえる。
極めて革新的であった新幹線であるが、開業後は長い期間に渡って大きな発展が見られなかった。東京−新大阪間所要時間が 188分に短縮(といってもわずか 2分)されたのが昭和60(1985)年、新系列車 100系の数が揃い最高速度が 220km/hに向上されたのは翌61(1986)年と、所要時間短縮・最高速度向上に20年余も要している。
二階建て 100系は性能もなかなか優れており、ATC の改良とあいまり、東京−新大阪間所要時間を 169分まで短縮した。しかし、所詮はマイナーチェンジ車にすぎず、騒音基準をクリアできないこともあって、これ以上の進歩は期しがたかった。
そこに登場したのが 300系である。 300系は最高速度 270km/hと性能が大幅向上されたフルモデルチェンジ車で、試作編成が平成 2(1990)年に就役、翌 3(1991)年に当時の最高速度記録 325.7kmを達成した。さらに長期耐久試験を経た平成 4(1992)年 3月に、JR東海は「のぞみ」の運行を開始した。「のぞみ」は国鉄分割民営化後の大きな画期として予め位置づけられ、JR東海にとっては今後の基幹列車という期待を背負っていたのであろう。東京−新大阪間所要時間は 150分と、 100系「ひかり」と比べても19分、 0系「ひかり」時代から比べれば38分もの、実に劇的な短縮が実現された。
「のぞみ」は平成 5(1993)年は山陽新幹線区間に延伸された。平成 9(1997)年には最高速度 300km/hの 500系(JR西日本保有)も投入されたが、この最高速度が発揮されるのは山陽新幹線区間だけであり、東海道新幹線の大勢には影響を与えていない。
「のぞみ」は平成 8(1996)年 3月に毎時2本運行が確立され、平成11(1999)年 3月にはその枠内でさらに増発された。平成14(2002)年 3月には毎時3本運行が確立され、現在に至っている。
なお、山陽新幹線では平成12(2000)年に「ひかりレールスター」を投入し、別料金の付加なしで「のぞみ」に準ずる高速度サービスを提供している。
新丹那トンネルから顔を出す 100系列車(平成12(2000)年撮影)
■現在の「のぞみ」と「ひかり」
平成15(2003)年初頭現在の「のぞみ」と「ひかり」を以下に比較する。
列車種別 | 東京発時刻 | 所要時間 |
のぞみ | 00新大阪 20新大阪 53博多 | 150分 |
ひかり | 26新大阪※ 30新大阪 | 170分 |
ひかり’ | 03広島 10博多46岡山 | 180分 |
ひかり” | 37新大阪〜博多 | 183分 |
ちなみに、「のぞみ」毎時2本運行末期時点での比較は下記のとおりである。
列車種別 | 東京発時刻 | 所要時間 |
のぞみ | 00新大阪 52博多 | 150分 |
ひかり | 03新大阪 07広島・博多 14新大阪 21新大阪 28新大阪※ | 176分 |
ひかり’ | 45岡山 | 181分 |
ひかり” | 38新大阪・岡山 | 182分 |
多摩川を渡る 300系列車(平成12(2000)年撮影)
新幹線のさらなる発展系、 270km/h運転「のぞみ」のさきがけとなった画期的な車両である。外観デザインも、先頭に収束点があるため、あんがい締まっている。今では「のぞみ」運用からは外れ、「ひかり」「こだま」運用に就いている。近い将来に品川駅が開業し、「のぞみ」シフトが進めば復活する可能性はあるだろうか。
<参考>品川開業ダイヤ(現状ではスロットのみがプレス発表されている)
列車種別 | 行先 | 所要時間 |
のぞみ | 博多 広島 新大阪〜博多 博多 新大阪×3 | 150分台 |
ひかり | 岡山 新大阪 | ? |
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