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「のぞみ」シフトを検証する(分析編)
■「のぞみ」と「ひかり」の所要時間差
東京−新大阪間の「ひかり」所要時間は、旧ダイヤではほぼ均一であったが、現ダイヤでは大きく2タイプに分類できる。
速達型「ひかり」の東京−新大阪所要時間は「のぞみ」により近づいており、「のぞみ」大増発は指呼のうちと理解できる。この速達型「ひかり」は位置づけが難しい。枠だけが確保され、基本的には運行されない列車にも見える一方、運行が朝夕に集中していることから、ビジネス層などヘビーユーザーの利用も多いと考えられる。
従って、速達型「ひかり」と通常型「ひかり」は、無理に一本化することを避け、それぞれ個別の列車と扱うことにする。
東京−新大阪間の「のぞみ」「ひかり」所要時間差は、下記のとおりである。
ダイヤ | 列車種別 | 所要時間差 |
現ダイヤ | 速達型「ひかり」 | 20分 |
現ダイヤ | 通常型「ひかり」 | 30分 |
旧ダイヤ | 「ひかり」 | 26分 |
■「のぞみ」と「ひかり」の運賃料金差
東京−新大阪間の運賃料金は、通常期普通指定席で「ひかり」が13,750円、「のぞみ」が14,720円で、その差額は 970円である。
ここで、東海道山陽新幹線の主要区間には「新幹線ビジネスきっぷ」が設定されている。東京−新大阪間では25枚綴りとかなりのヘビーユーザー向けながら、1枚ずつ切り離して利用可能であることから、出張時の現物支給あるいは金券ショップでの個人購入も多いと考えられる。
「新幹線ビジネスきっぷ」の1枚あたり単価は12,160円で、「ひかり」の普通指定席を利用できる。なお、事前に「のぞみ変更券」を求めておくと、「のぞみ」の利用も可能である。利用上の制約が多い回数券タイプの乗車券においては、柔軟な対応といえるだろう。この「のぞみ変更券」の単価は東京−新大阪間で2,350円である。
参考までに記せば、「のぞみ回数券」は 6枚綴りで1枚あたり単価は14,510円である。つまり、「のぞみ変更券」は、「新幹線ビジネスきっぷ」と「のぞみ回数券」の差額全てを求めるものである。
小倉を出発する 500系「のぞみ」(平成10(1998)年撮影)
現時点で世界最高タイ 300km/h運転が可能、駅間表定速度は世界最高、日本の鉄道の誇り、新幹線の究極系である。円形に近い車体断面、細長く尖った先頭形状、優れた高速性能はすぐれて個性的な外観デザインを導いた。ただし、 300km/h運転は山陽新幹線区間のみ、またJR西日本保有の編成しかないマイノリティーでもあり、その点はいかにも惜しい。車内空間が窮屈に感じられるのも、利用者にとっては好ましくないところだ。
■利用者の分類
前述した「のぞみ変更券」の価格設定は、問題を含んでいるといわざるをえない。即ち、「新幹線ビジネスきっぷ」を利用可能か否かにより、「のぞみ」に対する見方が変わってくるのである。
そのため、利用可能な列車と乗車券に応じた、利用者の分類が必要である。ここでは、下記のように分類してみた。
ダイヤ\乗車券 | 「ビジネスきっぷ」利用可能層 | 「ビジネスきっぷ」利用不可能層 |
現ダイヤ速達「ひかり」利用可能層 | A1 | A2 |
現ダイヤ速達「ひかり」利用不可能層 | B1 | B2 |
旧ダイヤ | C1 | C2 |
■「のぞみ」による時間短縮の金額換算
以上までの分類にのっとり、「のぞみ」による東京−新大阪間の短縮所要時間あたり、どれほどの追加投資が必要かを、以下に示す。
A1: 117.5円/分
B1: 78.3円/分
C1: 90.4円/分
A2: 48.5円/分
B2: 32.3円/分
C2: 37.3円/分
これを見ると、「のぞみ変更券」の価格設定がいかに高水準であるかが理解できる。
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