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━━ 日暮里・舎人ライナー各駅寸描 ━━


Ⅰ.日暮里





■ターミナル

 日暮里は名実ともに日暮里・舎人ライナーのターミナルである。JR・京成と接続し、多数の利用者を受け止めつつ、全列車の起点となる機能は、全線で最も高度なものがある。

日暮里
日暮里駅全景


 日暮里駅前では再開発事業が着々と進んでおり、高層ビルがその偉容を示しつつある。江戸城を普請した道灌公も、汀の寒村にすぎなかった江戸がここまで大きな都市に育つとは、想像もしていなかったに違いない。

日暮里
日暮里駅近景


 うるさい架線などもなく、すっきりした景観のなか、日暮里駅はある。

日暮里
日暮里駅近景






■日暮里の使い勝手

 以上までは外から見た日暮里駅。公共交通機関の駅としてみれば、また別の視点があるはずだ。

 JRから日暮里・舎人ライナーに乗り換える際には、北側の改札口から出なければならない。改札を出て右に折れると、日暮里・舎人ライナーにつながるエスカレーター(左側)と、東口出口につながるエスカレーター・階段(右側)が並んでいる。

日暮里
日暮里駅JRコンコース


 日暮里・舎人ライナーにおける日暮里は頭端駅であるから、ほんらいは上下方向の移動なしで乗り換えできるよう設計すべきである。ところが、JR・京成日暮里駅は東が低地、西が高台となっており、低地と高台を結ぶ道路がJR・京成日暮里駅を巻く格好になっている(※)。JR−日暮里・舎人ライナー間の通路はこの道路をかわさなければならず、ゆえに奇妙な位置にエスカレーターが置かれることになった。

※この道路のJR・京成跨線橋部分とJRコンコースはほぼ同じ高さにあり、上の写真の左側(フレーム外)で平面接続している。

日暮里
日暮里駅日暮里・舎人ライナーコンコース


 エスカレーターを上がると日暮里・舎人ライナーのコンコースに出る。写真で見る限りでも、窮屈な造作であることがわかる。なお、画面左側のエスカレーター、画面中央奥の階段は後にも言及するので、御記憶ありたい。

日暮里
日暮里駅日暮里・舎人ライナー改札口


 改札口はさらに手狭である。平日のラッシュ時には片方向に需要が集中するからむしろ流れるとしても、休日の日中は詰まりやすいのではないか。普通乗車券を求める利用者が券売機の前に滞留しているところに、混雑した列車が到着すると、改札口の前後では相当に混乱しそうだ。せめてもう数m、券売機と改札口の間に「遊び」の空間がほしかった。

日暮里
日暮里駅日暮里・舎人ライナーホーム


 ホームには相応の広さがある。しかしながら、一階層下にはペデストリアン・デッキにつながる改札口がもう一箇所あり、これにつながる階段・エスカレーター・エレベーターがせっかくの面積を削いでしまっているのが惜しい。





■駅前広場の機能としてはどうか

 もう一点気になるのは、駅前広場の動線が寸断されている点である。JRコンコースとペデストリアン・デッキは直結されていない。予備知識なしで素直に動くならば、およそこのような動きを求められることになる。

   JRコンコース(エスカレーター↑)日暮里・舎人ライナーコンコース(階段↓)ペデストリアン・デッキ
   ペデストリアン・デッキ(エスカレーター↑)日暮里・ライナーコンコース(エスカレーター↓)JRコンコース

日暮里
日暮里駅日暮里・舎人ライナーコンコース


 前述したエスカレーターと階段は、ペデストリアン・デッキまで歩き通す際に利用することになる。実際にはエレベーターも利用可能であるが、予備知識なしでエレベーターの場所をすぐ認識するのは難しい。上下移動が多く、(予備知識がない限り)バリアフルで、わかりにくい通路を構成したセンスは如何なものだろうか。贅を尽くせなどと無茶はいわないとしても、いますこし素直な設計にできたはずである。

 日暮里・舎人ライナー開業前日、即ち平成20年 3月29日の日中に挙行された開業式典後、石原都知事は「日暮里・舎人ライナーの整備には 400億円ものコストダウンを実現した」旨の発言をしていた(TVニュースの報道による)。これほど大幅なコストダウンを図るためには、基本性能部分にも皺が寄らざるをえない。その不足分は利用者が永劫に負うのである。かつて運輸政策を司る大臣の座にあり、今は東京都行政の頂点に立つ石原都知事が、この程度の理屈を理解していないはずがないのだが……。





■最後に

 今まで載せてきた写真の一部を拡大してみよう。

日暮里
日暮里・舎人ライナー、 3月30日開業
予定
この事業は、「ガソリン税・自動車重量税等」の道路特定財源をもとに施行しており、
地域の交通利便性の向上に寄与しております。皆様方のご理解とご協力をお願いします。


 ……と記されている。筆者は敢えて火に油を注ぐつもりはないのだが、こうも大々的に宣伝されると、些かの疑問を持たざるをえない。その典型的な断面は 舎人 にて示す予定である。





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