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十一枚の切符(カード)【ブラジル大会版】





○まで :予選初戦のコートジボワール戦直前に記す
★まで :予選初戦のコートジボワール戦後に記す _
◇まで :コートジボワール戦・ギリシャ戦間に記す
○○まで:予戦第二戦のギリシャ戦直前に記す ___
★△まで:予選第二戦のギリシャ戦後に記す ____
□まで :ギリシャ戦・コロンビア戦間に記す ___
★★まで:予選最終戦のコロンビア戦後に記す ___

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■サッカー・ワールドカップ

 ブラジルのサッカー・ワールドカップがいよいよ開幕した。率直に、期待と不安が半ばしている。予選は突破できるはずという期待、三連敗で良いところなく終わる不安。現実に既に、コロンビアがギリシャに圧勝している。次戦が厳しくなることは必至。なので、初戦がいよいよ大事になる。





■初戦スタメン

 試合直前、スタメンは以下のとおり発表されている。

位置象牙海岸
GK川島
DF吉田
森重
内田
長友
守MF長谷部
山口
攻MF本田
岡崎
香川
FW大迫


 ザッケローニ監督は、期待していたとおりの勝負師だった。フル出場が厳しい遠藤と、不調が伝えられる今野をスタメンからは外した。期待が高かったはずの柿谷でなく、調子が良いとされる大迫を起用したのも良い判断ではないか。

 さらに本田・長谷部をも外したならば、凄味を感じるところだが、さすがにチーム変貌が大きすぎ、踏み切れなかったか。

 ゲームプランもかなり見えてくる。後半(の途中)から、大迫・香川・本田・長谷部のうち機能していない選手を外し、遠藤を投入してくるだろう。これは、岡崎の「逆長友」起用でもあり、岡崎の積極的守備参加のサインでもあるはずだ。切実に得点が求められる状況ならば大久保。あと一枚は状況に応じて。

 ゲームはもうすぐ始まる。頑張れ日本! ──○





■初戦評

 やられた……。無念、完敗だ。

 念のためいえば、日本は最善を尽くしたと思う。スタメンの人選はベストといえるし、本田がみごとな先制点を決めもした。コートジボワールにはだいぶ攻められたが、脅威を感じるほどではなく、前半リードして折り返すことが出来た。後半 7分42秒(NHK放送の時計による。以下同じ)に長谷部を下げ、遠藤を投入したのは、もっと攻勢に出るべしというザッケローニ監督の明確なメッセージだった。

 日本はよく戦った。より正確にいうならば、この試合のメンバーよりよく戦えるような、日本サッカーの現役選手は存在しないと思われる。だから、彼らの失速を責めるのは酷だ。

 そう、「失速」としか形容のしようがない。後半の日本は明らかに動きが鈍っていた。遠藤が入っても、状況が改善されたとはいえない。そこに隙があった。

 先に、コートジボワールの攻めに脅威はなかった、と記した。彼らにしても高温多湿の環境でプレーするのは辛いはずで、全力を出し切らない、所謂グダグダしたプレーに終始しているように見受けられた。しかし、それは彼らの真の姿ではなかった。

 コートジボワールのゲームプランはおそらくこうだ。試合開始から当面は自然体、即ちグダグダしたプレーでどこまで通じるかを確かめてみる。日本の出来次第では、それでも優勢に立てることもありうるからだ。しかし、現実には一点ビハインドで後半に入った。そこで、日本の気力・体力が落ちる時間帯を見計らって、スタミナに不安の残るドログバ出場を合図として、一気に集中力を高め同点・逆転を狙った。

 ドログバ出場は後半16分16秒。同点ゴールは後半18分47秒(2分31秒後)。 逆転ゴールは後半20分27秒(4分11秒後)。 ドログバは自らのゴールこそ記録できなかったものの、味方の攻撃に活を入れ、たった 4分強で本日の仕事を終え、 4年前の怨みを晴らした。

 逆転ゴール後のコートジボワールはグダグダ・プレーに戻り、露骨な時間稼ぎを始める。日本は切歯扼腕しながらも、疲労困憊の色が濃く動けない。日本は翻弄されたまま、何も出来ずに試合を終えた観がある。グダグダした守備をこじ開けられなかった事実は残る。

 コートジボワールが集中力を高めたままプレーを続ければ、点差はもっと開いた可能性が高い。しかし彼らは、おそらく敢えて消耗を避け、体力を温存した。

 点差以上に、コートジボワールの完勝、日本の完敗である。

 おそらく、ザッケローニ監督も日本代表選手も、何故点を取られたか、何故負けたか、納得し切れてないのではないか。日本代表には勤勉に働く選手が多いものの、高い集中力が90分続くわけはずがない。その隙を巧妙にえぐってきたコートジボワールの作戦勝ちだ。

 ブラジルのロナウド(今では引退)が典型的にそうだが、90分のうち数分しか働かず、しかも勝利に貢献するという選手は、少数ながらも存在し、かつ日本にはこの種の選手が未だかつて存在していない。

 なんというか、むなしい敗北感が濃い。相撲でいえばはたきこみ・突き落としに遭ってまわしも掴めずに負けた、という感じか。「俺たちが本気出せばこんなもんだぜ〜!」と小バカにされた感じが最も近そう。

 ロンドン五輪の時と似ているのかもしれない。ノーマークの予選では快進撃を続けても、勝ち上がって研究されると手も足も出なくなったのが当時の状況だ。もしそうだとすれば、日本代表は新たな苦しみの段階に上がったといえるかもしれない。

 諸々引っくるめて、日本代表にはまだ力が足りないと認めなければならない。かつ予選突破は極めて困難になったことも認めなければならない。そのうえで為すべきは、次戦に全力を出し尽くすこと。悪い結果を怖れて萎縮退嬰しては、何も残らない。 ──★





■インターミッション(1)

 筆者はザッケローニ監督のチャレンジを評価している。前回南ア大会と同じように守備重視の戦術のままでは進歩がない。本大会ではおそらく日本は最弱レベルとわかっていても、穴熊戦術がむしろ妥当だと理解できても、敢えて先に進もうとする試みは立派だ、と心底思う。

 そして、今大会のメンバーは間違いなく過去最強だ。であるのに何故、ほとんど為す術もなく初戦で負けたのか。ヒントはコートジボワールのラムシ監督のコメントにある。


「ザッケローニ監督が日本代表を率いるようになってから、日本は非常に進歩しているということだ。4年間の実績を残しており、今まで非常によく戦ってきているので、明日は難しい戦いになると思う。簡単には勝てないだろう。戦術的にも(レベルが)高く、非常にスピードも速い。規律のいいチームなので、難しい戦いになると思っている。
「日本は実力のある選手がそろっているからだ」
「ザッケローニ監督が代表を率いてから大きく躍進している。非常に効果的にプレーをしている。得点も多く入れている。アジアカップも勝ち取っている。難しいチームではないかと思っている。ギリシャやコロンビアと同じように敬意を表するチームではある」【以上試合前】

「日本は非常にまとまりがあり、ラインの間を狙わなければいけないと話した」
「日本は非常にいいプレーをしていた。そのおかげで問題提起をしてくれた」【以上試合後】



 ラムシ監督コメントからは、日本とザッケローニ監督に対するリスペクトを読み取れる。少なくともラムシ監督は日本を侮っていない。それゆえ日本は苦戦し、かつ苦杯をなめたという現実は、皮肉ととらえるべきなのかどうか。

 前述したとおり、状況はロンドン五輪に近い。優勝候補スペインに勝つなどして予選を勝ち上がり、準決勝、三位決定戦と連敗した日本代表(吉田・清武・W酒井などがその後現代表に成長)を、小澤一郎氏は以下のように総括している。


「躍動感あふれるカウンターサッカーで1次リーグを首位通過した日本をしっかりと分析したメキシコ(引用者注:準決勝の相手国)、韓国(同:三位決定戦の相手国)はしっかりと日本対策を講じてきた。両国に共通していたのは、永井に突かれると怖いスペースを消し、日本の前線からのプレスを警戒して深めの位置から逆サイドや対角線へのロングボールを多用することだった」
  
「4位」という結果から得た収穫と課題 U−23日本代表総括


 強い相手が日本の強さを認め、日本対策を講じてきた時、日本代表がさらに相手の上を行くことが出来るかどうか、が問われているといってよい。おそらく、サッカー日本代表が直面する、最も厳しいミッションなのではないか。これを超えなければ先がない(成長の余地がない)から実に苦しい。

 試合後の各選手コメントを見ると、おそらく相応に自覚しているように見受けられる。それだけにザッケローニ監督の動揺が心配だ。大久保はもっと早く交代できたはず。逆転されてからの投入では遅すぎるし、かえって浮足立たせたきらいすらある。大久保投入後のポジション混乱は痛々しく、この時点で敗戦を確信できるほどだった。香川の見切り時が遅すぎたのは更に問題で、大久保in香川out とすべきだったのではないか。

 長友・内田の攻撃参加、岡崎の守備での貢献が効いていただけに、もう一枚有力なコマがほしいところ。それは詰まるところ、岡崎がもう一人欲しいという無い物ねだりであり、香川にしっかり働いてほしいという期待の裏返しに過ぎない。香川の代わりに青山を起用するなどの思い切った手を打たないと、同じ轍の繰り返しになりかねない。

 もう一点は繰り言。かような劣勢におちいると、中村憲剛を招集しなかったのが痛い。中村憲剛の穏やかな強さは、こういう時にこそ真価を発揮したはずだ。ザッケローニ監督は自策が巧く機能する状況だけを想定したメンバーを招集したといえ、現に苦境に立つと苦しさが際立つ。

 ザッケローニ監督はおそらく、楽観的というよりも頑ななのだ。しかもそれは日本代表各選手のマインドに合致しているのだ。それだけに、この苦しさを打開できる期待を持てないのが切ない。

 だからといって応援をやめるわけにはいかない。諦めたらそこで終わり。繰り返しだが敢えて記す。為すべきは、次戦に全力を出し尽くすこと。悪い結果を怖れて萎縮退嬰しては、何も残らない。 ──◇





■第二戦スタメン

 ここまで来たら、当方も悪あがきだ!(苦笑)

 試合直前、スタメンは以下のとおり発表されている。

位置象牙海岸ギリシャ
GK川島川島
DF吉田
森重
内田
長友
吉田
今野
内田
長友
守MF長谷部
山口
長谷部
山口
攻MF本田
岡崎
香川
本田
岡崎
大久保
FW大迫大迫


 香川を外したのは当然の判断。森重を外した点は疑問、吉田とともにイエローカードを切られた点を配慮したのか。遠藤をサブに回し、香川に代え攻守両全の大久保を先発起用した点から、守備重視の布陣といえる。

 この試合は、ザッケローニ監督に動揺が残っていればその時点でアウト、と見ていた。いちおう勝負にはなりそうなので一安心。しかし「結果」はまったく安心できない。TV画面を見て切実にそう思う。ギリシャ側応援席に、日本・ギリシャを一枚にたばねた国旗を掲げる美女がいた。相手国に日本へのリスペクトがある状況は、日本にとって辛い。

 さはさりながら、リスペクトされる国になったことじたい、本来は慶ぶべきことなのだ。こぴっと頑張れし、日本! ──○○





■第二戦評

 通勤車中にワンセグ放送を持ちこみ、ワクワク、否むしろドキドキしながら粗い画面を追った。結果は引き分け。初戦・第二戦を見る限り、コートジボワールがギリシャに勝てないとは到底考えられないので、予選突破はほぼなくなったと考えなければなるまい。

 端的にいって、グループCでギリシャが最弱ということは明確になった。そして、その最弱ギリシャから点を取れなかった以上、日本も似たり寄ったりのレベルでしかないわけだ。

 主将が退場となり、ギリシャはガチガチに守備を固めてきた。似たような状況はアジア予選で何度も経験した場面ではないか。それなのに、打開策が無いに等しかった。これは第一義的には選手の力量といえよう。

 それ以上にまずかったのはザッケローニ監督の采配であろう。短期的にはこれが最大の敗因と断定できる(中期的には別の敗因があると筆者は見る。ただし、これはW杯終了後に総括すべきと考える)。

 念のためいえば、筆者はザッケローニ監督が素晴らしい人物である、と現時点でも高く評価している。W杯で勝利を導ける勝負師である、とも予感していた。しかし、この予感は外れた。それどころか、ジーコ監督をも上回る頑固さを示すとは、まったくの予想外であった。

 23選手のうち、 2試合で15選手しか使わない頑なさを、いったいどのように形容すべきなのか。何故そこまで香川にこだわるのか? 長谷部が信頼できるのはわかるが、試合に勝つことを考えれば先発起用していいのか? 残る 8選手は「塹壕の埋め草」なのか? 選手の好調・不調を見極められないのか?

 第三戦は僅かながら可能性が残されている以上、先発はまたしても固定メンバーになるだろうし、途中交代の選手も同様に固定的であろう。要するに、ザッケローニ監督と日本代表チームは戦術の選択肢が乏しく、行き詰まったらそこで終わりなのだ。

 ただし一点、日本代表チームを弁護しておく。初戦で勝ち切っていたならば、第二戦はもっと違う戦い方になったはずなのだ。勝利は薬、敗戦は毒。戦う以上、どちらかが勝ち、どちらかは負ける。その残酷さを痛感する。初戦を落とし、いわば毒を仰いだ日本代表は、ギリシャ守備をこじ開ける力をも失った。「強いチームが勝つのではなく勝ったチームが強いのだ」とは至言である。

 日本代表の冒険は事実上終わった。どのみち勝ち目が薄いならば、最終コロンビア戦で先発メンバーを総入替するくらいの「大冒険」をしてほしい。もっとも、筋金入りに頑固なザッケローニ監督は、同じような手を打ち、同じように失敗するのであろう。まったく面白味のかけらもない展開だ。せめて最終戦はスカッとさわやかに勝ってほしいものだが……。 ──★△





■インターミッション(2)

 週末に第二戦の録画を見直してみた。率直にいって、内外メディアが酷評したのが納得できてしまうひどい試合だった。ドイツ大会のクロアチア戦よりは進歩した、という程度の内容で、見どころが無いに等しかった。

 この試合で最も活躍したのは間違いなく内田で、最も輝かなかったのもまた内田だった。右サイドからの攻め上がりは見事。問題は、センタリングがはじかれ続けたことではない。「何故ここでシュートしない?」と疑問に思える場面が少なくとも三回あった。内田が直にゴールを狙えば、たとえ全てはじかれたとしても別の展開がありえたように思う。観戦者にとってはシュートまで行ったほうがはるかに面白く、その手前まででは鬱屈がたまる。

 内田の責任というよりむしろ、「日本選手がおとなしすぎる」一般論に帰着するといえようか。ボールを持っているばかりで攻められなかった凡戦で、酷評されるのはもっとも至極。

 明日はおそらく最終戦。「自分たちのサッカー」が実在するならば、その片鱗なりとも見せてほしいと切実に思う。 ──□





■最終戦評

 朝は 4時から起き出し、朝食をとって観戦に備える。スタメンがすぐわからなかったので、直前評は無し。

 結果は周知のとおりで、完敗だった。直接の敗因は、今野のタックルがPKをとられたこと。試合当初の動きが良かっただけに、先制点を取れていれば展開がだいぶ違ったはずだ。

 今大会は、たいへん残念な結果に終わってしまった。しかしながら、筆者は相応に納得している。初戦・第二戦とは異なり、何も出来ずに終わったわけではないからだ。現在の実力を出し尽くしてもなお、まったく及ばなかった冷厳な結果は、受け容れなければならないものだからだ。客観的には評価に値する点がなかったとしても、全力を出し切ったという一点にかけて、筆者は「日本代表よくやった!」と賞賛する。

 それぞれの選手は「もっとやれるはず」と思っていた様子だ。我々にもその期待は当然あった。実力は間違いなくついていた。それでも届かなかったからには、何かが足りない。「負けに不思議の負けなし」というからには、何らか必然の要素があったのだろう。

 この踊り場で苦しみ悩む過程を経なければ、おそらく次の階梯には上がれないのだろう。日本が初めてW杯に出場してからまだ16年しか経っていない。簡単に勝ち上がれるという期待は、虫の好い願望にすぎなかったようだ。

 それにしても、最終戦の敢闘を初戦から出来れば、と惜しまれてならない。ギリシャにもいえるが、立ち上がりが遅すぎた。ギリシャとの共通点から、日本代表には苦手の伏兵が存在したと類推できる。それは降雨と多湿だ。日本は天候にまとわりつかれ、己を克服できなかった。

 次の大会はロシア。メンバーはだいぶ入れ替わっていくはずだ。たとえ今大会の結果が悪くとも、明日はやってくるし、それぞれの選手には次のミッションが待っている。その前の反省は、次の記事に簡単にまとめておこう。 ──★★





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