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ヒコーキとバスでスキーに行ってみる〜〜札幌国際スキー場





■今度は北海道だ!

 筆者の長男は、体格には恵まれているが運動神経はさほどでもない。それゆえにスキーくらいは身につけてほしいと思っている。もっとも、帰路に居眠り運転しかねないという意味においてクルマで行くのは自信がなく、公共交通だけで行けるスキー場ということで、一昨シーズンには ガーラ湯沢に行ってみた 。しかし残念ながら、スキー場としての満足度はきわめて低かった。そこで、どうせ行くならばと、北海道まで足を伸ばしてみることにした。行先は昔から勝手知ったる札幌国際スキー場を選んだ。

 というわけで、年末休みを使って北海道に飛んでみた。なお、長男を引率する片手間に写真を撮ったので、一部は別の機会に撮ったものを使っている。





■まずは札幌乗りこみだ!

 往路はいつもの JALにしてみた。新千歳空港に早着し、コンベアを回ってくる重い荷物を受け取る。羽田の離陸でだいぶ待たされたというのに、思いのほかあっけない到着だ。みどりの窓口で快速「エアポート」の予約状況を調べる。あいにくuシートの隣り合った席は空いていないとの由。ならばと普通車に乗りこんだところ、ちょうど空いている席があった。長男は当然のように窓側席を選んで座った。

JAL 新千歳空港着陸

 札幌まではわずか30分余の道のり。長男は駅を通過するのが楽しみである一方、千歳線ではあいにく駅間距離がたいへん長く、高速度を発揮している割には通過駅数が少ない。長男は物足りなさそうな顔だけれど、首都圏の私鉄ならば特別料金をとれるほどの実力派列車だと気づいているのだろうか。

快速「エアポート」 快速「エアポート」(スーパーホワイトアロー車)

 ススキノの一角にあるビジネスホテルにチェックインし、大通公園のイルミネーションに繰り出してみる。途上の東横インで某お笑い芸人を発見〜! あれほど目立つ「外形」なので、まず見間違いではないだろう。案外といっては失礼ながら、堅実な宿を選ぶものではある。さて、大通公園。筆者は雪まつりよりもイルミネーションが好みである。なにしろ色彩が華やかなので、街中のイベントとしてはこちらの方が趣があると感じている。本日は初日なので敢えて北海道らしさを追求せず、「La PAUSA」で夕食。

大通公園 大通公園夜景





■バスに乗るぞ!

 札幌市内と札幌国際スキー場の間を結ぶバスは 1日 6往復あり、じょうてつバスと第一バスがそれぞれ 3往復ずつ担っている。会社によって札幌市内の経由地を変えているので、利用する際には注意が必要だ。初日はじょうてつバスを選び、東急インから乗車。停留所前で待っていた遠方からの利用者が「座れますかねこのバス」と不安そうに尋ねてくる。終点まで立ったままという事態を恐れている様子だが、ご心配なく、席が埋まれば続車が出ることになっている。乗りこんでみると、途中乗車だというのに、幸いにも親子並んで座ることができた。市内がやや混んだものの、郊外では快調に進み、90分ほどで札幌国際スキー場に到着した。

じょうてつバス 札幌国際
左:札幌国際に到着したじょうてつバス   右:札幌国際の駐車場に並ぶ観光バス





■さぁ滑るぞ!

 北海道の高名なスキー場といえば、ニセコと富良野が双璧であろう。筆者はどちらにも行ったことがあるので、その良さを相応に知っているつもりである。ところが、最も多く通っているのは札幌国際なのである。理由は単純で、幅がたっぷり広いゲレンデは滑っていて心地よく、しかも高速ゴンドラ二基の輸送力が抜群に素晴らしく、どれほどの人出があっても混んだ感じがしないのがよい。ゲレンデ構成はじつに素直で、中年の域に達してコブコブの斜面を攻める気力もない(苦笑)今の筆者にとっては、滑りやすいゲレンデでもある。レンタルスキーの待ち時間が限りなくゼロに近い点も、手際が良く好ましい(逆にいえば貸出まで一時間を要するガーラ湯沢は論外に近い)。

札幌国際スキー場 札幌国際スキー場全景

 まず滑るのは、札幌国際のなかでも最も易しいメルヘンコースである。長男の技量からすれば、素直かつ滑りやすいコースで経験を積むのが一番と考えたからだ。ただし、四人乗りリフトで(フードがあるとはいえ)寒風にさらされるのが少々辛いのだが。

札幌国際スキー場 札幌国際スキー場メルヘンの鐘

 さて、滑り始めてみると、やはり長男の腕は鈍っていた。年に一度のスキーであるから仕方ないとはいえ、失望は伴う。しかし一滑りして慣れてくると、ようやく格好がついてきた。年を経て運動神経が成長してきたのか、昨シーズンまでの記憶が焼きついていたのか、ともあれ嬉しい状況である(親バカ失礼!)。

初日 初日
左:滑り始め   右:ゲレンデを快走

 実をいうと、昨シーズンも札幌国際で滑っているのだが、特に初日は散々の出来だったのだ。思うように滑れずコースアウトしたり、しかもポールを落として発掘するのに往生したりで、長男はもとよりそれを助ける筆者もヘトヘトになったものだ。今シーズンは昨シーズンと比べはるかに上達しており、転ぶ回数もめっきり少なくなったうえ、転んでもほとんど自力で立てるようになったのも、成長の証といえようか。

昨シーズン 昨シーズン
左:昨シーズンのベストショット   右:お〜い!どこに行く〜!(カメラに近づけない)

 この調子で回数を重ねれば上達も早かろうと、つい期待をかけたものだが、そうは問屋が卸さなかった。長男の滑りはどうにも重く、さらに上達していく気配が感じられない。理由はすぐ見えてくる。ゲレンデ・コンディションが悪すぎるのだ。札幌市内では一昨日大雨が降ったそうで、下半分のバーンでは一旦ザラメ状になった雪が凍りつくという最悪の状態だった。筆者が過去に滑った経験のなかでも最もひどい状態で、これでは生半可な腕では巧く滑れまい。暖冬で全国的な雪不足、という事情に北海道でさえ無縁でなかったのだ。辛抱しながら滑って、少しずつ腕を上げていくしかないところだ。

初日夜 初ナイター

 今日は立ち上がりが遅かったので、日が暮れるのも早い。長男に体力がついてきていることを期待して、初ナイターに挑戦する。ナイターはゲレンデの明暗がはっきりするので、意外に滑りやすいものなのだ。ナイターゲレンデの難易度は、メルヘンコースと比べ凹凸がやや多いくらいで、さほど難しいわけではない。そうはいっても寒いから、よほどガンガンいかなければ長続きはしない。合計12本滑って、今日はおしまい。

 帰りは第一バスに乗って札幌駅まで足を伸ばし、フィルムを買い足しておく。からだがすっかり冷えきっており、温かい食事を求め胡麻蕎麦「八雲」で夕食。温かい食事ならばラーメン、という線が常識だろうが、それは明日のお楽しみ。





■今日も滑るぞ!

 二日目は少し早起きできたので、昨日より一本早い第一バスに乗る。接客設備には大差ないものの、外観塗装が軽快なので筆者はこちらの方が好みである。最寄バス停は南四条東一丁目。ニセコやルスツ方面へのスキーバスが通過していく。札幌国際行は二台続行で到着。既に一台目は満席らしく、二台目に案内される。おかげでゆったり乗車できるのはありがたい。

ニセコ行スキーバス 札幌国際行第一バス
左:ニセコ行のスキーバス   右:札幌国際行の第一バス(二台続行)

 バスは定山渓で利用者の確認に時間をとり、昨日より遅れ 100分ほどで札幌国際に到着。さっそく準備してゲレンデに向かう。冬休み最初の週末のせいかだいぶ混んでいる。まずはメルヘンコースで足慣らし。長男もだいぶ自信がついてきたとみえ、ゴンドラで最上部まで上がるという。挑む気持を持つというのはいい傾向である。

ゴンドラ内 ゴンドラで最上部へ

 昨晩たっぷりと降ったようで雪質が見違えるように良くなり、長男の滑りもだいぶましになってきた。スキーの腕前は雪質に依存する、という説に相応の根拠ありというところ。ボーゲン一本槍という状況は変わらないものの、颯々と滑っていく。スピードも速くなり、あまり手加減すると追いつけなくなってきた。いやいや、成長したものではある(重ねて親バカ失礼!)。カメラを構えていると、近づいて手を振ることも一度は出来た。それが今シーズンのベストショットである。

二日目 カメラに向かって手を振りながら滑る余裕も

 それにしても、ゲレンデの冬景色は実に美しい。清冽な空気の透明感、雪をまとった樹の神々しい立姿、粉雪の軽やかな舞い、金剛の切粉の輝き……。勿論、ここよりも美しい眺望は北海道に山ほどあることは知っている。しかしながら、札幌国際のゲレンデくらいの景色でも、充分に美しいと筆者は思うのだ。これこそ北海道の冬景色、銀世界の典型だと、筆者は思う。北海道の至るところに、神々は宿っている。今日は曇天で、眺望が開けない点だけが残念だ。晴れていれば遠く日本海まで見渡せるというのに。また、カメラが「撮りっきりコニカ」なもので、画質がいまひとつだから、あまり説得力はないかもしれないけれど。

最上部林間コース ウッディーコース中間
左:最上部の林間コース   右:ウッディーコースの中間付近

最上部林間コース 最上部林間コース ファミリーコース中間
左・中:最上部の林間コース   右:ファミリーコースの中間付近

 今日は親子とも気合が充実、日が暮れてもなおガンガンと滑りまくり、寒さも気にならないほどだった。筆者は無理しなければ転ばない程度の腕前なのだが、すっかりスピードをつけた長男にカメラ片手で慌てぎみに追随したため、何度も転ぶはめになってしまった。おかげで、フォルダーにボタン留めしていたチケットはすっかりボロボロになりはてた。ここまでやれば、ともあれ満足感は湧いてくる。

チケット ボロボロになったチケット

 終バスを逃すとたいへんだから、まだまだ名残は惜しいけれど、片づけ時間を読みつつゲレンデを引き上げる。昼食前に 6本、昼食後に 9本、あわせて15本は長男の新記録だ。筆者にはまだ多少の余裕があったが、長男は限界に近い様子。真っ暗になった空に浮かぶ温度計は-7℃台だった。長男の帽子の顎紐はすっかり凍りついていた。

二日目 温度計は-7℃台を示す(この後さらに三本滑った)

 じょうてつバスの終バスに乗り、札幌市内に帰る。ススキノ交差点で下車(二ブロックも離れているのになぜか東急イン名義という不思議な扱い)。今日はラーメン横丁で夕食。長男に選ばせてみると、一往復してから「満龍」を選択した。味はまずまず。

ラーメン横丁 ラーメン横丁にて(フィルムが尽きたので翌朝撮影)





■また行くぞ!

 最終日は帰るだけ。もっと滑りたいと後ろ髪を引かれる思いは尽きないものの、長男はまだ無理のきく年頃に達していないから仕方ない。そのかわり、移動することだけを考えれば時間に余裕はあるから、札幌市内観光を考えてみる。行先の第一候補は藻岩山、市電のススキノ電停に向かったところ、ロープウェイの始発は11時までないことがわかった。それでは時間が切迫するので行先を変更、赤レンガを経由し時間調整しつつ、JRタワーの最上階展望台に行くことにした。

札幌市内一望 JRタワー最上階からの展望

 本日の一番乗りとなり、相客が少ない落ち着いた状況で眺望を楽しむ。昨日一昨日から一変して本日は快晴、はるか彼方にある恵庭岳の山容まではっきり見える。こんな好天の許で滑りたかったものだが、めぐりあわせが悪かったと諦めるしかあるまい。

 一旦ホテルに戻って預けていた荷物を引き取り、札幌駅に向かう。ちょうど昼食の時間帯、快速「エアポート」の時間をにらみながら店を選択、駅地下の「五右衛門」にする。ところが、店員は10分で食事を出せると言っていたのに、実際には15分かかってしまった。客に待たせたという感じを持たせたくない配慮は理解するものの、こちらは分単位で先を読んでいるのだから、かえってありがた迷惑だ。そういう客もいるのである。

快速「エアポート」 快速「エアポート」(一般車)

 会計を済ませて早足でホームに向かう。エスカレーターの途中で発車ベルが鳴っているのが聞こえてくる。ちょうど間に合うと思っていたのが、実は時間を30秒ほど読み違えていたようだ。長男を促しつつ、大慌てで列車に向かう。荷物が重い。車内に入って通路に立ったところでドアが閉まる。あとは荷物を置いてゆっくりくつろぐ。座席が予約されているuシートならではの余裕である。長男はいつの間にか窓際席に座っている(苦笑)。しかし残念でした、改造車ゆえの不細工で、視界を窓柱が邪魔しているのであった。

 いつも JALを利用することが多いので、旅費の節約を兼ねて帰りの便はAir DOを選んでみる。驚いたことに、全日空との共同運行であるにもかかわらず、バス搭乗である。年末輸送の繁忙のために皺が寄った形だ。しかもバスは一般路線バスの間合運用で、旅立ちの感動など微塵も感じられない。いくら格安キャリアへの搭乗とはいえ、ここまでチープな対応をとられると、疲れを伴う失望感を禁じえない。

Air DO Air DO
左:Air DOに搭乗するバス   右:Air DOの機体を間近に見る

 Air DOを選んだのは、 SKYMARKでは飲料も提供されないので、こども連れでは如何にも味気ないと思ったゆえの選択であった。とはいえ、実際は五十歩百歩というところ。景品が出てくるうえに、こども向け絵本の準備も豊富な JALの手厚さと比べれば、サービスがあまりにも淡泊というしかなく、長男も違和感を覚えている様子だ。

 (キャリアの違いはなんら関係ないが)そのかわり眺望に恵まれ、特に羽田着陸直前の夕景はみごとなものだった。夕映えの雲海に浮かぶ富士山、白く輝くアクアライン、などなど。筆者は日中に搭乗する機会が少ないので、ありがたい機会だと思う。着陸は待たずにすみ、荷物の受取もすんなりと終わった。予定どおりに帰路に就く。もともと余裕ある行程だから、札幌駅の時とは違い焦る必要はまったくない。王子駅からバスに乗り換え、大荷物が邪魔っけで肩身が狭いところに、さらなる強者が現れた。若い男二人組がなんとソファベッドを持ちこんだのである。立てれば背丈ほどあり、横幅もあるから目立つこと目立つこと。おかげで当方の荷物が埋没することになった。

富士山 アクアライン
左:Air DO機内から見える富士山夕景   右:同アクアラインの海ほたる

 自宅に到着、やはり落ち着く。年越し蕎麦を食べると、疲れがどっと出てきたせいか、すっかり眠くなってしまった。除夜の鐘を聞くこともなく、物議を醸した紅白を見ることもなく、早寝を決めこむことにする。かくして平成18(2006)年は思わぬ形で暮れたのであった。さて、来年はどうしようか。スキーに行くならば、往復に要する交通機関よりもむしろ、ゲレンデの魅力が勝ることは明々白々である。ガーラ湯沢は行きやすいだけで、それ以上の魅力は残念ながら見当たらない。どうせ出費が嵩むならば、滑って楽しく心地よいゲレンデに行くのが正当な選択といえよう。さて、今度はどこに行こうか。なじんだ札幌国際にまた行くか、それとも新しい場所を選ぼうか。ともあれ、また行くぞ!





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