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■2005年02月17日(木)
 先日バスを待っていたらごく当たり前のように置いて行かれ、呆気にとられてしまいました。さすがに頭にきて交通局にメールで文句を言ったら丁寧な返事が帰ってきて溜飲が下がりました。いやはや、ホントびっくりしましたよ。

▽地下鉄七隈線
 天神南〜橋本間を結ぶ、福岡市営地下鉄の「3号線」、愛称「七隈線」が開通した。鉄道空白地域であった福岡市の南西部への路線であるため、「交通渋滞解消への切り札」とも言われている。ちなみに私のパソコンでは変換しても出てこないが、「七隈」は「ななくま」である。福岡大学がある辺りの地名がこの七隈だ。当世流行りの鉄輪式リニアモーター地下鉄で、カーブや勾配に強い上建設費が安く上がる、という小型の地下鉄である。
 私が中学生の頃に、通学ルートにあたっていた市道「城南線」でこの地下鉄工事が始まったのである。中央線変移規制が解除され、至るところで開削工事の開口部が口を開け、鉄板を敷いた架設の道路をバスが凄まじい音を立てて走っていたものである。一度「薬院西駅(建設当初の仮称。『薬院大通駅』のこと)」の付近で陥没事故が発生し、夕・朝ラッシュの市道城南線が大混乱したことも思い出の一つである。また、地元紙「西日本新聞」にも掲載されたとおり、私がかつて所属していた某同好会の企画で建設中の「六本松駅」を見学させていただいたことは、かなり印象深い。思えば、あの当時鉄板に覆われていた六本松付近の道路の雰囲気も、この度の開業ですっかり変わってしまっている違いない。
 確かに開業にこぎつけたことは喜ばしいことではあるが、個人的な意見として、私はこの地下鉄の有効性には昔から疑問を抱いていた。確かに、桜坂、六本松、福大前等の駅での通学需要はそこそこの数になるであろう。沿線からの通勤需要もまずまずあるだろう。バスと違って定時性が確保されるから、沿線住民の移動手段の選択肢が増えるという意味も大きい。しかしながらそれ以上の需要がどこから出てくるであろうか。何より、既設路線との接続駅である「天神南」駅は、地下鉄空港線「天神」駅まで600m弱、徒歩で連絡しなければならないのである。天神地区の回遊性が飛躍的に上がることは大いに結構であるが、交通機関としてはウィークポイントと言わざるを得ない。加えて、「薬院」駅では西鉄天神大牟田線と交差しているにも関わらず、積極的なアピールを差し控えているそうである。あくまで天神で乗り換えろということなのだろうか。こういった姿勢も気になるところである。
 西鉄の宣伝をするわけではないが、西鉄バスのきめ細かな路線ネットワークや多様な系統の存在、ターゲットを絞った大幅な割引運賃などは目を見張るものがある。福岡市南西地区はこれまで鉄道がなかったことから、精力的な営業展開が行われてきた。様々な経由地・行先の選択が可能な路線の設定、都市高速の延伸に伴う都市高速系統の拡充、通勤時の快速・急行といった速達タイプのバスの運行、定時性確保のためのバスレーン管理等々。学生の需要を喚起するための「エコルカード」などは、今更ながら私も福岡で学生生活をおくりたかったと悔やまれるほどのもの(福岡都市圏のバス路線全線乗り放題で1ヶ月6000円)である。
 私の中学・高校時代にこの七隈線があったとすれば、薬院〜六本松間で私の「需要」が生じる。しかし、まず同区間のバス運賃が180円なのに対して地下鉄は200円。ところがこれ、学校帰りに天神に寄り道しようとすると、バス運賃180円に対し地下鉄は250円になってしまう。中学・高校時代の私は百道にある福岡市総合図書館にもよく寄り道していた。これはバスでしか行けない。…私は間違いなく、「エコルカード」を買ってバスを使うに違いない。寝坊してどうしようもない朝に、足をもつれさせながら地下鉄駅への階段を駆け下りるくらいではないかと思う。私の例では天神や薬院が起点になっていたが、博多駅から七隈線沿線に通う学生は、まずバスを使うであろう。天神での乗り換えがウィークポイントというのはこういうことで、博多から一旦空港線に乗って、天神で延々歩いて七隈線に乗り換えて…という手間をかけるくらいなら多少時間はかかっても、直行できるバスを利用するに違いない。乗り換え時間を考えれば、博多駅〜六本松間くらいならバスの方が速いのではないか。
 いずれにせよ、バスを向こうに回して、果たして七隈線が健闘できるか、やはり首を傾げざるを得ない。開業当初の「試し乗り」が終わった後、言うなれば新学期以降、需要がどの程度のものになるのか、非常に気になるところである。

▽ヘッドマーク盗難
 3月1日のダイヤ改正で「さくら」と「あさかぜ」が廃止される。前者は東京〜長崎、後者は東京〜下関間を走る寝台特急(ブルートレイン)である。現在「さくら」は東京〜熊本間を走る「はやぶさ」と連結して運転されており、ダイヤ改正後は東京〜大分間の「富士」と「はやぶさ」が連結されて走ることになる。私自身は特に寝台特急に思い出や思い入れがあるわけではないが、やはり長年運転されてきた優等列車が旅客の減少を理由に廃止されてしまうのには一抹の寂しさを覚える。そうでなくても私が物心ついて以来、いわゆる「九州ブルトレ」は衰退の一途をたどっていた。順序は定かではないが、東京〜熊本間「みずほ」の廃止、「あさかぜ」減便と運転区間短縮、「さくら」佐世保行き編成の廃止、「彗星」廃止、「はやぶさ」運転区間短縮、「なは」運転区間短縮…。新幹線や航空機が発達した昨今、速度の遅い寝台特急の需要は減少の一途をたどっているわけである。「速度が遅い」ということで、ある意味ダイヤ作成上の「お荷物」扱いされているきらいもあるくらいだ。
 それはさておき。この寝台特急を牽引する電気機関車には「ヘッドマーク」がつけられ、誇らしげに運転されている。「さくら」「あさかぜ」の廃止が決定されて以降、このヘッドマークを盗む大馬鹿者が多発して、JRが手を焼いているそうである。大馬鹿者である。くどいようだが、大馬鹿者としか言いようがない。鉄道ファンの風上にも置けない大馬鹿者である。無論、収集の趣味を否定するつもりは毛頭ない。正規のルートで手に入れれば「収集」であるが、「欲しいからとってきた」というのはただの犯罪である。つまりは犯罪者である。一般に鉄道ファンと呼ばれるたくさんの人々の中で、極端にマナーの悪い者やこういった大馬鹿者がごくわずかに存在することで、大多数のファンが同列に扱われ、迷惑を被るのである。
 以前、このコーナーで方向幕の盗難事件についてふれたことがあったが、あの時以上の憤りを感じてやまない。低俗で下劣な輩が「鉄道ファン」として、その盗品を自慢していると考えると、吐き気すら催してしまう。…多くの鉄道ファンよ、愛すべき鉄道に、それに関わる全てのものに、常に紳士たれ。

▽寝屋川市の事件
 大阪府寝屋川市の小学校に少年が侵入し、3人を殺傷するという恐るべき事件が発生した。門戸開放と安全確保という背中合わせのスローガンが叫ばれる教育現場で、対応に苦慮する関係者の苦心をあざ笑うかのような事件である。子供に被害がなかったとは言え、卑劣な犯行に怒りを覚える。亡くなられた先生は、さぞかし無念であったことだろう。お悔やみ申し上げたい。何と言うか、どこか「変な」人間が急増しているような、空恐ろしさを感じてやまない。…そう言えば近所の枚方市に友人が住んでいるが、アイツはどうしているだろうか。
 学校の安全確保は、「専門家」に指摘されるまでもなく困難極まりない問題である。いわゆる「総合学習」などの関係もあり、外部の人間も学校に出入りするケースが増えている。私自身も仙台近郊の中学校に出入りする機会が何度かあったほどである。入ってきた人間をどうやって「不審者」と識別するか。極端な言い方をすれば、校内に入って生徒や先生に挨拶を交わすような人物であったとしても、もしかしたら「そいつ」は学校とは何の関係もない、「不審者」かも知れないのである。実に、困難な問題である。
 寝屋川の事件はどうなのかわからないが、これまで起きた事件で、罪もない人間を意味もなく殺傷し、意味不明な供述をする犯人がいくらもいた。そういう犯人に、果たして「更正」が期待できるのだろうか、とも思う。一体、何が悪いのだろうか。100%完全で、犯罪のない社会は夢物語でしかないだろうが、凶悪で卑劣な犯罪を減らす手立てが何かしらないものかと考え込む今日この頃である。

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