このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
関門海峡 |
本州と九州の間にある関門海峡。幅わずか1㎞程のこの海峡の底を初めて列車が通ったのは、戦前のことである。現在では、鉄道2路線(JR山陽本線、新幹線)、道路1本(関門トンネル)、橋1本(関門橋)によって結ばれ、毎日多くの人や荷物が行き来している。しかしこの関門海峡を渡るフェリーがあることを知っている人は少ないのではないだろうか。ふぇりい倶楽部としては、是非とも船で九州上陸を果たしたいものである。
また、フェリー、旅客船、鉄道、国道、高速道路、人道と、ありとあらゆる手段で海を渡れるというのもこの海峡の持つ魅力ではないだろうか。日本に島は数多くあれども、これだけ多種多様な方法で渡ることの出来る海は、他に類を見ない。可能な限りの手段を尽くして海峡を往復し、関門海峡に最も似合う横断法を追求するのも、本州〜九州間の旅の醍醐味の一つとして位置づけられるだろう。フェリーを愛する者としてのふぇりい倶楽部の趣旨からはやや外れる気もするが、ここでは番外編として、全ての渡り方を体験し、「比較交通論」としてみた。
さて、皆さんにとって関門海峡の渡り方はどれが一番でしょうか?
関門トンネル(国道2号線) |
人道トンネル |
関門橋(中国自動車道) |
関門汽船 |
鉄道(JR山陽本線) |
新幹線(新下関〜小倉) |
関門海峡フェリー |
車とともに渡る手段としては最も安いルート。
門司港駅前から少し走ると、料金所のゲートが見えてくる。その手前から渋滞が始まる。かなり混雑している様子だ。
百円払ってトンネルへ。ここは自動車専用ながら、他の自動車専用道路と違い、小型二輪車も走ることが出来る。生活に密着している道路ならではの措置だろうか。
トンネルに入ってからしばらく下り、やがて水平になる。海峡の幅そのものは1㎞もないらしいが、トンネルの全長は3㎞以上に及んでいる。しかし、開通してからかなりたつせいか、中は暗いし、全体的に薄汚れた感じがするのは否めない。また、これだけ重要な生活道路でありながら、未だに片側1車線のトンネルが1本だけというのはいかがなものか。第二関門トンネルの計画があってもおかしくはないはずである。年々交通量が増加するなか、いずれは飽和状態になってしまうことは明らかだ。それまでに何らかの手を打たないと、本州と九州の物流・人の流れに重大な影響を与えることになりかねない。それはさておき。
下関側の出口は、市街地からかなり離れている。トンネルから出た車のほとんどが、市街地へ向かって走っている。北九州ナンバーの車が多い。北九州市と下関市というのは、私が思っている以上に結びつきの強い街であることを実感した。
自転車と原付以外の車両は入れないトンネル。今回は時間の都合により、歩いてみることは出来なかった。ずいぶん前になるが、九州旅行の際に一度渡ったことがあるので、その時の様子を思い出して記録する。
下関側の出入り口は、関門橋の真下にある。売店や自販機が並び、駐車場には多くの車が停まっている。国道を挟んだ海峡側には公園が広がっており、多くの市民の憩いの場となっているようだ。
トンネルにはエレベーターで下りる。車両は20円を払うが、人は無料だ。エレベーターの扉が開くと、ひんやりとした空気が流れ込んでくる。
薄暗い感じがするのは国道と変わらないが、排気ガスにさらされていないせいか、薄汚れた感じはしない。比較的きれいな状態が保たれている。
残念ながら私が訪れた時には風が非常に強く、バイクで渡るには危険な状態だったので、渡ってみることは出来なかった。しかし、上からの眺めは素晴らしいだろうな、ということは容易に想像できた。チャンスがあれば一度渡ってみたい橋の一つである。
旅客船も運航されている。門司港は駅のすぐ前にあり、便利な場所であるが、唐戸港は市街地から少し離れており、やや不便な印象を受ける。しかし利用客は多く、休日などは小さな船が一杯になってしまう程である。船からは関門橋がきれいに見える。真正面からのショットは、船からでなければ撮ることはできない。
かつては古い、薄汚れた感じのする桟橋から発着していたが、現在は岸壁の整備も進み、近代的な桟橋に生まれ変わっている。わずか2㎞程、時間にして15分にも満たない船旅ではあるが、九州上陸の手段としては鉄道よりも趣のあるルートではないだろうか。本州とは違う「島」に渡った!という実感は、鉄道よりもずっと強いものがあるだろう。
東京から本州を貫く日本の大動脈、東海道・山陽本線。その本州最西端に位置するのが、下関駅である。この駅は、戦前からすでに終着駅ではなかった。開通当時から電化されていたという。まだ蒸気機関車全盛の時代に、海の底をさっそうと電気機関車が走り抜ける様子は、さぞや新鮮に見えたに違いない。
現在では、下関駅と門司駅の間を、6分で電車が結んでいる。そのほとんどが、小倉・博多方面や、徳山・小郡方面から乗り入れて来ているという。山口と福岡の結びつきの強さは、このあたりからも推察出来よう。自分の足を持たずに旅をする人にとっては、このルートは必ず一度は利用するだろう。ありふれたルートではあるが、是非一度は利用してみたい。
余談ではあるが、この一駅間専用の電気機関車がある。何でも本州と九州の鉄道では電気系統が違うことと、海の底を走るために塩害対策でステンレス製の車体にしているのがその理由らしい。だから客車列車で旅行すると、下関駅と門司駅で2回機関車の付け替えをする。鉄道ファンにとっては必見!らしい。
言うまでもないが、値段は一番高い。そして恐らく、この一駅だけを利用する人も少ないのではないだろうか。私も利用したことはないが、ほとんどの人が博多・小倉から、広島や大阪方面へ向かうために使っているようだ。乗ったことのある人に聞いてみると、トンネルの長さも長いが、スピードは格段に早いため、あっという間に通り過ぎてしまうらしい。わざわざ乗るまでもないだろうが、仕事や旅行でチャンスがあれば乗ってみてもいい、と思う。
国道と高速道路で結ばれている関門海峡。鉄道も走り、バスも通っているこの海峡でも、フェリーが活躍している。
下関市の西に位置する彦島からフェリーは出ている。本州を走ってくるルートによっては、橋やトンネルよりもアクセスはいい。港には、思っていたよりもかなり多くの車が停まっていた。
やがてフェリーが入港する。意外と大きい。そして、甲板に満載された車が次々に吐き出されてくる。20数台は積み込まれていただろうか。大型車やトラックも見かけられた。
下関から出航するときも、甲板は車両でいっぱいになる。一番最後にやって来た車は、積み残されてしまっていた。ここまでの人気の秘密は一体何なのだろうか。
やがてフェリーは、九州を目指して走りはじめた。関門海峡を吹く風が、体に心地よく当たってくる。天気も良く、最高のフェリー日和(?)だ。
フェリーの前後を、船が行き交う。形も大きさも様々な船が、時にはぶつからないか心配になるくらいの間隔ですれ違っていく。それらの船の間を縫うようにして、フェリーは海峡を横切っていく。
やがて港が近づいてくる。門司の街から遙かに離れている。いったいどのあたりに着くのか、このあたりは初めての私には見当もつかない。
港から走りはじめる。国道に出ると、どうやら小倉の市街地よりも西に上陸したらしい。博多や長崎方面を目指すならば、トンネルをくぐって門司港に出てくるよりも早く、楽に走れるルートだろう。混雑する北九州市街地のエスケープルートとしての人気が、この航路を支えているのだった。
距離にして数㎞、時間にして10分あまりの短い航路。対岸の街を直接結びつける効果の高い橋に対して、混雑を避けるバイパスとしての役割に活路を見いだしたフェリー。これからも、多くの人に使われ続けるだろう。
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