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日本の蒸気機関車データ集


第1章 各部設計寸法


3.ストラクチュア(構造系)

燃料から作動媒体の蒸気に熱エネルギーを伝え、さらにその熱エネルギーを運動エネルギーに変え、全体の形を保持して乗り物 (Vehicle) としての機能を果たすには、構造系が内力と外力に長期間耐え、動揺や振動、各部変形を抑えるとともに、内部摩擦損失を極力低減し、効率の良いエネルギー変換システムとする努力が必要です。

3-1. ボイラ構造

ClassPtD1D2D3D4L1L2L3L4JRJL
870012.714.313911420----DR
880012.715.9132113531385--DR
885012.715.913721404----DR
862012.714.312451274----DR
676012.714.312451274----DR
960012.715.915241556----DR
410012.715.914731505----DR
411012.714.314221451----DR
B501214121912471265--DR
C50141412451273----DR
C10141413321360--17681753--DR
C11141413321360--17681753--DR, W
C12, C56141211761200--17351753--DW
C581〜3681616130013321364-195519551205-DR
C58383〜1616133213641396-19801980988-SW
890012.712.7139714221448--DR
C5112.714139414221450-201020102010-DR
C54, C551414139414221450-201020102010-DR
C571〜1691616139414261458-201020102010-DR
C57170〜1891616139414261458-197019701970-SR
C57190〜1616142614581490-197019701965-SW
D5012.716156816001632-201020102010-DR
C5212.714.3157516031632--DR
C53,
D511〜954
1416156816001632-201020102010-DR
D511001〜1516156816001632-247024701090-DW
245024301074-SW
C591〜78,
81〜100
1619155015881626-219021902190-DR
C5979, 80161915501588162616642190219010001190DR
C59101〜1619158816261664-198019801980-SW
D52(甲)1619177018081846-223024701501-DW
D52(乙)1619177018081846-210024701450-SW
D52(丙)1619177018081846-198019801980-SW
E101619177018081846-198019801560-SW

P: ボイラ圧力 [kg/cm2]
t: 缶胴板厚 [mm]
D1: 第1缶胴内径 [mm]
D2: 第2缶胴内径 [mm]
D3: 第3缶胴内径 [mm]
D4: 第4缶胴内径 [mm]
L1: 第1缶胴長 [mm]
L2: 第2缶胴長 [mm]
L3: 第3缶胴長 [mm]
L4: 第4缶胴長 [mm]
JR: 缶胴継手リベット、Sは1列、Dは2列を示す
JL: 缶胴長手継手、Rはリベット、Wは溶接を示す

<解説>
缶胴板厚は、応力を許容値以下にするため、ボイラ圧力および缶胴内径に比例して大きくします。同一ボイラ圧力の8620形や6760形に比べて9600形の缶胴板厚が大きかったり、同一缶胴内径のC54形やC55形に比べてC57形の缶胴板厚が大きいのはこのためです。
また、許容応力は最大応力÷安全率ですので、安全率を小さく取れば、ボイラ圧力および缶胴内径が同じでも缶胴板厚は小さくなります。一般的に米国蒸機は耐用年数を20年程度に短く設定しますので、安全率は小さくなり、逆にドイツ蒸機は耐用年数を40年程度に長く設定しますので、安全率は大きくなっています。英国蒸機や日本国鉄蒸機はこの中間ですが、重量低減その他の要素も絡んできます。後年、英米の蒸機が缶胴材質に合金鋼を採用したのは、許容応力を上げることによってボイラ圧力を高めても重量をさほど増やさないためでした。
表中、米国製の8900形やC52形がそれぞれほぼ同大のC51形やD50形に比べて缶胴板厚が小さいのや、ドイツ製の8800形や8850形が同一基本仕様で英国に発注された8700形よりも缶胴板厚が大きいのはこのためです。また、4110形は9600形と同様、火室を動輪群の上に置いた広火室としたためボイラ中心高が上昇し、タンク機であることとあいまって重心低下が迫られ、手本とした4100形よりも缶胴径を縮小、缶胴板厚も小さくすることによって重心高増大を抑えています。

缶胴は、日本国鉄蒸機はテーパード(斜頂式)でなくストレート(直頂式)で、先にゆくほど缶胴内径が板厚分ずつ細くなるテレスコピック(望遠鏡胴)式の2缶胴式または3缶胴式でした。
C51形を設計するとき、缶胴の平均内径、つまり第2缶胴内径を8900形と同一にしたことや、C52形を米国アルコ社に発注するとき、缶胴の最大内径、つまり第3缶胴内径をD50形と同一にしたことも、表中から読み取れます。
また、ボイラ圧力16kg/cm2のC57形やC59形を設計するとき、C57形では煙室管板を共用とするため、第1缶胴内径をC51形・C54形・C55形と同一にしたことや、C59形では逆に外火室の曲げ半径、つまり第3缶胴外径をD51形と同一とするため、缶胴を板厚の差分ずつ先すぼまりとした結果、煙室管板外径を縮小せざるを得なくなったことも判ります。
なお、C5979, 80の2両は燃焼室付きで、かつ第2缶胴以前を在来機と共通とするため、日本国鉄蒸機では他に例の無い4缶胴式としています。また、C57形 (190〜) ・C58形 (383〜) ・C59形 (101〜) は外火室の曲げ半径をそれ以前のものと共通としながらも、外火室と第3缶胴とを突合せ溶接としたため、各缶胴内径が板厚分ずつ増大しています。

缶胴同士の重ね継手のリベットは、2列千鳥が標準でしたが、第2次大戦中に製造工数の節減を図るため、D52形(乙・丙缶)形とD51形 (1001〜の一部) で缶胴同士の重ね継手のリベットを1列としました。これらはまた、各缶胴長を2m未満とし、材料の節減も図っています。1列リベットは戦後製造分のC57形 (170〜) ・C58形 (383〜) ・C59形 (101〜) にも継承されましたが、缶胴の太い C59形 ・D51形 ・D52形では緩みが多かったと言われています。戦後製造分のC11形 ・C12形では1列とされたのかどうか、されたとすれば各缶胴長は何mmか、調べてみたいものです。


3-2. 台枠・台車

ClassMFMtBSSSPEQLTTT
6700PRP25902U4B1, 2-B-
6760PRP25902U4B1, 2-B-
8700PRP25U3B1〜3-B-
8800PRP25U4B1〜3-B-
8620〜18627PRP25908,
857
U4L, 12, 3-2680-
18628〜PRP25908,
857
U3L, 12, 3-2680-
8850〜8861BRPUB-
8862〜8873BCSUB-
9550PRP25902U-
9600〜9617PRP25883O(1,2),
U(3,4)
3L, 13, 4-1600-
9618〜PRP25883O(1,2),
U(3,4)
3L, 12〜4-1600-
4100BRP83756U61, 234, 5--
4110PRP31.8838U61, 234, 5--
C501〜67BRP90720O(1,2),
U(3)
3L, 12, 3-1800-
C5068〜BRP90720O(1,2),
U(3)
3L, 12, 3-1800-
C10BRP80720O(1,2),
U(3)
3L〜3B-1800B
C11BRP,
CS
80720O(1,2),
U(3)
3L〜3B-1800B
C12BRP80720O(1,2),
U(3)
4L〜23, T-16001600
C56BRP80720O(1,2),
U(3)
3L, 12, 3-1600-
C58BRP,
CS
90690O3L, 12〜T-18001600
8900BRP89724O3B1〜T-B1372
C51, C54PRP25780O4B1〜T-B1780
C55BRP90690O3B1〜T-B1800
C57BRP,
CS
90690O3B1〜T-B1800
C61B90690O3B1〜T-B2465
C52BRP102686O3B1〜T-B1676
C53BRP90720O3B1〜T-B1800
C59BRP,
CS
90690O3B1〜T-B1800
C62B90690O3B1〜T-B2465
D501〜22BRP90680U3L〜23〜T-18401700
D5023〜BRP90680O3L〜23〜T-18401700
D50
(コロ式)
BRP90680O3L〜23〜T-14001700
D60BRP90680O3L〜23〜T-14002465
D51BRP,
CS
90690O3L〜23〜T-16001800
D52BRP,
CS
90690O3L, 12〜T-16001800
D62BRP,
CS
90690O3L, 12〜T-16002465
E10B90690O(1〜4),
U(5)
3L〜5T-1800B

MF: 主台枠形式、P は板式、B は棒式を示す
Mm: 主台枠材質、RP は圧延鋼板、CS は鋳鋼を示す
t: 主台枠板厚 [mm]
B: 主台枠左右間隔 [mm]
SS: 動軸担バネ、O は上バネ式、U は下バネ式を示す
SP: 支持点数
EQ: イコライジング分割、数字は動軸、L は先台車、T は従台車を示す
LT: 先台車転向半径 [mm]、Bはボギー台車を示す
TT: 従台車転向半径 [mm]、Bはボギー台車を示す

<解説>
主台枠形式には大別して板式と棒式があり、前者は英国および欧州、後者は米国を中心に発達しました。米国は当初国内に製鉄設備が乏しかったため、錬鉄の棒材を鍛接して棒台枠を造りました。米国は一方で鋳造を得意としており、1930年代半ば以降に米国蒸機に採用されたシリンダと一体鋳鋼製の中空断面の主台枠は、得意の鋳造技術を発揮した棒台枠の変形と言うべきものです。また、ドイツでは圧延鋼板から切り抜いた切り抜き式棒台枠を得意としていましたが、第2次大戦中に量産した戦時形貨物機の52では主台枠の設計をゼロベースから見直し、板式と棒式の両方を採用した結果、板式のほうが0.6t軽量化できることが判明したため、戦後のDB(西独)の10や23などの新形式には、全溶接構造、I 形断面の板台枠を採用しています。日本国鉄蒸機も、第2次大戦直前から主台枠の製法に圧延と鋳鋼の両方を採用していますが、主台枠形式そのものを見直すまでには至りませんでした。




C621の主台枠。第2先輪の上方、内外両面に鋳造品特有の肉盗みがあり、鋳鋼製と判ります。
当会会長の確認したものでは、他にC57186、C58383、C59162、C622などが鋳鋼製主台枠でした。


動軸担バネは、板台枠が下バネ式、棒台枠が上バネ式と一概に決めつけられるものではなく、棒台枠のドイツ制式蒸機は全形式が下バネ式ですし、板台枠でも一部のオーストリア蒸機のように上バネ式としているものも有ります。表中でも、ドイツ製の8850形や4100形、およびD50形の初期製造分22両(通説の29両は誤り)のように棒台枠でも全動軸が下バネ式のものや、C10形・C11形・C12形・C56形・E10形のように火室を避けるため最後位動軸のみ下バネ式としたもの、逆に9600形のように板台枠でも第1・第2動軸を上バネ式としたものが有ります。
なお、動軸担バネのバネ吊ナット(ダブルナット)は、基本的に担バネ上面に置かれていますが、動輪の裏側とボイラ胴に挟まれた狭い空間であり、どのようにスパナを掛けるのか疑問です。いっそバネ吊の下端、釣合梁(イコライザ)側に設けた方が、ナット回しが容易であったものと考えられます。ちなみに米国機では、担バネ両端はカンヌキを入れて吊るだけで、1軸ごとに軸重を調整するようなことはしていません。それをしないためのイコライジング(後述)であるというのが、彼らの思想です。

支持点は、日本国鉄蒸機では大正半ば以降、米国式の3点支持を基本としていましたが、これはもともと米国のような植民地における不整な軌道に対応するものです。英国のように重軌道式でスタートしたところは各軸単独支持が基本で、その代わり担バネ自体を十分柔らかくし、バネ吊に防振ゴムをはさむなどして振動を軽減していました。なお、2軸先台車で側受支持(サイドベアラ)式の6700形・6760形・8800形、およびC51形・C54形は4点支持であり、心皿支持式のC55形・C57形などと比較してローリング(後述の走り装置の項参照)はどうであったか、興味有るところです。

イコライジングは、2軸以上の担バネを釣合梁で結んで軸重を平均化することで、1グループ内の軸数が多いほど平均化されます。乗心地改善の見地からはキャブに近いグループの軸数を多くすべきで、9600形の初期製造分18両よりはそれ以降のもの、D50形・D51形よりはD52形のほうが好ましいと言えます。
C12形とC56形は同一基本仕様のタンク機とテンダ機でしたが、先に設計されたC12形が第2・第3動軸間でイコライジングを分割しているのに対し、C56形は第1・第2動軸間での分割となっており、しかも支持点数は前者の4点に対して後者の3点でした。不整な軌道への追従性では後者のようなイコライジングが優ると思われますが、前者はタンク機のため、第2項で触れるような炭水消費に伴う重量減小に配慮し、かつ先・従台車を共通化したことが理由として考えられます。

なお、米国製の8900形、および2軸従台車付きのC60形・C61形・C62形・D60形・D61形・D62形の各形式は、基本的には3点支持ですが、第3動軸左右担バネ後端をパネ中吊(クロス・イコライザ)で結んで左右の動きを部分的に平均化しており、乗心地改善に有効であったと考えられます。乗務員の評価でも、上記の各形式は乗心地が良い部類とされていました。


3-3. 走り装置

ClassDWWrLCSBB/WrC/S
6700〜67151600259125913505228661016700.6453.75
6716〜1600269226923505228661016700.6203.75
67601600269226923505215961017020.6323.54
87001600411541154267301061017020.4144.93
88001600419141914572309961016830.4025.08
86201600419122863581228661016830.7363.75
8850160036583658335320326103.33
95501245457245724470317561017270.3785.20
96001245457230484470317561017530.5755.20
41001245579128964064266761017910.6184.37
41101245579128964064266761018160.6274.37
C501〜671600419041903605230061017000.4063.77
C5068〜1600419041903805250061017000.4064.10
C101520420042003400210061017000.4053.44
C111520410041003400210061017000.4153.44
C12, C561400380038003350210061016500.4343.44
C581520347034703520225061016700.4813.69
89001600335333533962243861017780.5304.00
C51, C54, C551750380038004560310066016900.4454.70
C57, C611750380038004560310066016700.4394.70
C521600368236824470(O),
4386(I)
2845(O)
2591(I)
66017780.4834.31(O),
3.93(I)
C531750398039804630(O),
4600(I)
3100(O),
2700(I)
66017500.4404.70(O),
4.09(I)
C591〜1001750380038004550310066017000.4474.70
C59101〜, C621750380038004560310066017000.4474.70
D50, D601400471031404560310066017400.5544.70
D51, D52, D621400465031004500310066017600.5684.70
E10125058004350420028006604.24

D: 動輪径 [mm]
W: 動軸距 [mm]
Wr: 固定軸距 [mm]
L: シリンダ中心〜主動輪中心距離 [mm]、O は外側、I は内側を示す
C: 主連棒長 [mm]、O は外側、I は内側を示す
S: ピストン行程 [mm]
B: 左右シリンダ中心間隔 [mm]
B/Wr: 左右シリンダ中心間隔/固定軸距 比率
C/S: 主連棒長/ピストン行程 比率

<解説>
表中、乗り物 (Vehicle) としての特性(動揺、乗心地)に影響するのは、左右シリンダ中心間距離/固定軸距比率、および主連棒長/ピストン行程比率です。

左右シリンダ中心間隔/固定軸距比率は、蒸機のヨーイング(重心を通る垂直上下軸の周りの揺動、蛇行動)に影響します。この場合、ピストン推力がシリンダ内の平均有効圧力の、また往復部慣性質量による不釣合力が動輪回転数の関数となりますが、話を簡単にするためこれらを一定と仮定すると、傾向としては左右シリンダ中心間隔が小さく、固定軸距が長いほうがヨーイングの低減に有利となります。
8900形とC52形は、同じ米国アルコ製のためか、左右シリンダ中心間隔も同一です。汽車製の8620形はドイツ製の8800形をベースとしていたので、左右シリンダ中心間隔も同一の1683mmとなっています。同様に、ドイツ製の8850形に倣うところが多かった川崎製の6760形から見て、8850形の左右シリンダ中心間隔は1702mmと推定されます。
C形機は、通常第1〜第3動輪を固定とし、第2動輪にフランジ弱めを施しますが、島式先台車付きの8620形のみは第1動輪に左右各5/8in (16mm) を与えています。島式先台車は曲線上では先輪・第1動輪とも同一方向に偏倚し、転向を円滑にします。
D形機は、9550形と9580形では第2・第3動輪をフランジレスとしていましたが、次の9600形はゲルスドルフ式に倣って第2・第4動輪に左右各5/8in (16mm) の横動を許しているので、固定軸距は第1〜第3動軸間となります。D50形は第2動輪はフランジ弱めとし、第4動輪のみ左右各1/2in (13mm) の横動、D51形・D52形は第4動輪のみ左右各6mmの横動、D60〜D62形は同じく左右各1mmの横動となっています。
Eタンクの4100形と4110形は、両端動輪が左右に1-1/8in (29mm) ずつ横動するゲルスドルフ式遊動輪機構を備えており、左右シリンダ中心間隔が広くなっています。両端動輪には復元力が付与されておらず、前後のオーバーハングが大きいことととあいまって速度30mph (48km/h) を超えるとヨーイングが激しく、運転に危険を伴ったようです。1E2タンクのE10形は、第1動輪に左右各5mmの横動を与え、第2動輪はフランジ弱めとし、第3・第4動輪をフランジレスとしています。

主連棒長/ピストン行程比率は、蒸機のローリング(重心を通る水平前後軸の周りの揺動)に影響します。この場合も上記と同様、、ピストン推力と往復部慣性質量による不釣合力を一定と仮定すると、傾向としては左右主連棒長が長く、ピストン行程(クランク半径の2倍)が小さい、つまり主連棒の傾きが小さく、クロスヘッドがスライドバーを垂直方向に押すベクトルの小さいほうが、ローリングの低減には有利となります。

戦後に紀勢線の準急を牽引するC58形がC50形に比べて動揺が激しく、乗務員が危険を感ずるほどであったという報告が有り、主連棒長が短いのが原因とされましたが、C58形の主連棒長/ピストン行程比率でC50形の2〜10%減であり、同一速度での動輪回転数が約5%増であるのを勘案しても、ローリングで約15%増となる程度と考えられます。
むしろ、C58形の固定軸距が短く、左右シリンダ中心間隔/固定軸距比率で約18%増で、1C軸配置のC50形に比べて1C1軸配置でオーバーハングも大きいため、ヨーイングが著しく、エンジン後端のキャブ上で激しい左右動となったものと考えられます。
戦後製造分のC58形は、テンダをD51形 (1001〜) 用10-20形の石炭積載量を減じた8-20C形としたため、後台枠を200mm短縮していますが、変更ついでに第1動軸中心もD51形なみにシリンダに極力近づけ、あと280mm前に出したら、左右シリンダ中心間距離/固定軸距比率は0.445とC51形・C54形・C55形と同一となり、ヨーイングの低減に有効と考えられます。
なお、C58形をベースに計画されたC63形は、固定軸距はC58形と同一でボイラ缶胴部が420mm延伸され、火床面積も12%増大しているので、前後のオーバーハングがさらに大きく、実現したらC58形以上にヨーイングで悩むことになったものと危惧されます。

その他、蒸機の乗心地に大きく影響するものとして、運動部分の不釣合質量による前後動があります。これは第2項で触れます。


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