このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


米国軍艦 機関部データ集

ここでは、1890年代から1940年代までの米国艦艇の機関部(主缶・主機)について、テクニカル・データの精確な分析を行い、発達の系譜を追ってみたいと思います。
典拠は下記文献で、要目や数値は原則的に建造当初のものを示します。
 軍艦機関計画一班 改訂増補3版 海軍機関学会 1918
 蒸気タービン 改訂7版 内丸最一郎 丸善 1916
 艦船 実用機関術 訂正第8版 二瓶壽松 丸善 1922
 米国海軍の真相 有終会 1932
 蒸気タービン 再訂21版 内丸最一郎 丸善 1943
 J. W. M. Sothern, The Marine Steam Turbine. (4th Edition) D. Van Nostrand, USA, 1916
 G. J. Meyers, Steam Turbines. U. S. Naval Institute, USA. 1917
 General Electric Co., Electric Ship Propulsion Machinery, Instruction Book 89022. USA, 1921
 S. M. Robinson, Electric Ship Propulsion. Simmons-Boardman, USA, 1922
 The U. S. Naval Institute, Naval Machinery. (1941 Edition) USA, 1941
 S. Breyer, Battleships and Battlecruisers. MacDonald and Jane, UK, 1973
 Conway's All the World's Fighting Ships 1860-1905. Conway, UK, 1979
 J. C. Reilly Jr. & R. L. Scheina, American Battleships 1886-1923. Naval Institute Press, USA. 1980
 Conway's All the World's Fighting Ships 1906-1921. Conway, UK, 1985
 N. Freidman, U.S. Battleships. Naval Institute Press, USA. 1985
 N. Freidman, U.S. Cruisers. Arms & Armour Press, USA. 1985
 I. Musicant, U.S.Armored Cruisers. Naval Institute Press, USA. 1985
 R. Gardiner (ed.), Warship 1990, 1991. Conway, UK, 1990, 1991
 Jane's Fighting Ships of World War I. S Studio, UK. 2001
 Zeitschrift des Vereines deutscher Ingenieure, Band 52, Nr.1, 3, 4. 1908
 「世界の艦船」各号
 その他
※画像は全て当研究所の所蔵品です。

第1章 基本計画



戦艦ルイジアナUSS Louisiana BB19(コネティカット級)。バブコック&ウィルコックス式水管缶と4気筒直立3段膨張機関を搭載。


1-1.機関部の基本仕様


1-1-1. 戦艦

NameDVdQdBNbFPbENsRdRsds
Texas6,31517.08,600Cd4C10.53VTE2O
Maine6,65017.08,750C8C9.53VTE2O
Indiana (BB1-3)10,28815.09,000Cd4C11.23VTE2O4.57
Iowa (BB4)11,34016.011,000Cd3C11.23VTE2I
C2
Kearsarge (BB5-6)11,54016.010,000Cd3C12.73VTE2
C2
Illinois (BB7)11,56516.010,000C8C12.73VTE2O5.11
Alabama (BB8)4.57
Wisconsin (BB9)4.72
Maine (BB10)12,50818.016,000N24C15.13VTE2O4.88
Missouri (BB11)12,362T124VTE5.18
Ohio (BB12)12,5004.95
Virginia (BB13)14,94819.019,000N24C18.64VTE2I
Georgia (BB15)O
Nebraska (BB14),
New Jersey (BB16),
Rhode Island (BB17)
BW12O
Connecticut (BB18)16,00018.016,500BW12C19.44VTE2O
Louisiana (BB19)I
Vermont (BB20-BB22)16,00018.016,500BW12C19.44VTE2O
New Hampshire
(BB25)
17.6
Mississippi (BB23-24)13,00017.010,000BW8C18.63VTE2O
South Calorina (BB26-27)16,00018.516,500BW12C18.64VTE2O121
Delaware (BB28)20,00021.025,000BW14M18.64VTE2O128
North Dakota (BB29)18.6DT2O245
Florida (BB30-31)21,82520.7528,000BW12M14.1DT4O310
Wyoming (BB32-33)26,00020.528,000BW12M14.1DT4O305
New York (BB34-35)27,00021.028,100BW14M20.74VTE2O125
Nevada (BB36)27,50020.526,500Y12O20.7PGT2O
Oklahoma (BB37)24,800BW4VTE2O
Pennsylvania (BB38)31,40021.031,500BW12OPGT4O220
Arizona (BB39)34,000240
New Mexico(BB40)32,00021.029,000BW9O19.7E4O165
Missisippi (BB41),
Idaho (BB42)
31,00019.7PGT4O
Tennessee (BB43-44)32,30021.026,800BW8O19.7E4O1704.27
Colorado (BB45-48)32,60021.028,900BW8O20.0E4170
(South Dakota) (BB49-54)43,20023.060,000BW12O20.0E4
North Calorina(BB55-56)35,00027.0121,000BW8O40.4AGT4O
South Dakota (BB57),
Massachusetts (BB59)
35,41227.5130,000BW8O40.0AGT4O
Indiana(BB58)
Alabama (BB60)
FW8
Iowa(BB61-66)45,00032.5212,000BW8O42.2AGT4O
(Montana)(BB67-71)60,50028.0172,000BW8O43.2AGT4O

Name: 艦名または級名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
D: 常備排水量 [t]、WW1後の建造艦は基準排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力、タービン機関および電気推進は軸馬力を示す
B: 主缶形式、Cは円缶、Tはソーニクロフト式、BWはバブコック&ウィルコックス式、Nはニクローズ式、Yはヤーロー式、FWはフォスター・ホィーラー式、小文字dは両面焚、無印は片面焚を示す
Nb: 主缶数
F: 使用燃料、Cは石炭専焼、Mは炭油混焼、Oは重油専焼を示す
Pb: 主缶使用圧力 [kg/cm2]、太字は過熱式
E: 主機形式、3VTEは3気筒直立3段膨張、4VTEは4気筒直立3段膨張、DTは直結タービン、PGTはパーシャル・ギヤード・タービン、Eは電気推進(ターボ・エレクトリック)、AGTはオール・ギヤード・タービンを示す
Ns: 推進軸数
Rd: 推進軸回転方向、Iは内方回転、Oは外方回転
Rs: 推進器回転数 [rpm]
ds: 推進器外径 [m]

<解説>
表中、主缶はフロリダ級BB30-31までは石炭専焼缶、ワイオミング級BB32-33とニュー・ヨーク級BB34-35が石炭・重油混焼缶、ネヴァダ級BB36-37以降が重油専焼缶です。
主機はサウス・カロライナ級BB26-27までとニュー・ヨーク級BB34-35が直立3段膨張レシプロ機関、デラウエア級BB28-29が直結タービンまたは3段膨張レシプロ機関、フロリダ級BB30-31からワイオミング級までが直結タービン、ネヴァダ級BB36-37がパーシャル・ギヤード・タービンまたは3段膨張レシプロ機関、ペンシルヴェニア級BB38-39がパーシャル・ギヤード・タービン、ニュー・メキシコ級BB40-42が電気推進またはパーシャル・ギヤード・タービン、テネシー級BB43-44から未成に終わったサウス・ダコタ級BB49-54までが電気推進、ノース・カロライナ級BB55-56以降がオール・ギヤード・タービンです。

1912年起工のネヴァダ級BB36-37からは全缶を重油専焼とし、デラウエア級BB28-29と比較して機関部の長さを約36mから約24mへと約50%短縮し、主缶の重量を約30%削減し、また機関部員を約50%減員しています。燃料庫は舷側の炭庫を全廃し、二重底の内側を重油タンクとしています。
1937年起工のノース・カロライナ級BB55-56からは高温高圧缶を採用し、主缶の占有スペースおよび重量をさらに削減しています。

主機は、ノース・ダコタBB29より直結タービンを採用したものの、低速域での燃費が著しく増大することが判明したため、直立3段膨張レシプロ機関に戻したり、巡航タービンを歯車減速装置を介して主タービンに結合したパーシャル・ギヤード・タービンを採用したり、電気推進を採用したりしました。これらの努力は、対日渡洋作戦に対応して航続力を伸ばすことが目的でした。ノース・カロライナ級BB55-56からは2段減速式のオール・ギヤード・タービンを採用し、主機の占有スペースおよび重量を削減しています。

表中、ニュー・メキシコBB40の計画出力が29,000shpとなっていますが、これは"Electric Ship Propulsion"に主電動機の出力が1基当り7,250shpと記載されているのに基づいています。別の書物には、同艦の計画出力として27,000shpないし27,500shpが記載されています。


デラウエアBB28の載炭風景。給炭船を接舷して機力で甲板に積み上げるが、マンホールから舷側炭庫に落とし込むのは乗組員総がかりの手作業。3番砲塔上で楽隊が景気付けに演奏しているのは、米海軍ならではと言ったところ。八角形のレンジ・クロック(射距離示数盤)は珍しい。


1-1-2. 装甲巡洋艦/巡洋戦艦/重巡洋艦

NameDVdQdBNbFPbENsRdRsds
New York (ACR2)8,15020.57,500Cd6C11.23VTE24.88
Brooklyn (ACR3)9,21220.016,000Cd5C11.23VTE2O5.03
C2
Pennsylvania (ACR4),
Colorado (ACR7)
14,50022.023,000N32C17.64VTE2O1205.49
West Virginia (ACR5),
California (ACR6),
Maryland (ACR8),
South Dakota (ACR9)
BW16C18.6I5.26
O5.49
I5.26
O5.49
Tennessee (ACR10-13)14,50022.023,000BW16C18.64VTE2
(Lexington) (CC1-6)
<Original>
35,00035.0180,000BW24O20.0E4O
Lexington (CC1-6)
<Revised>
43,50033.2516O20.7
Pensacola (CA24-25)10,00032.5107,000WF8O21.1AGT4O3663.66
Northampton(CA26-31)10,00032.5107,000WF8O21.1AGT4O
Portland(CA33, 35)10,00032.5107,000Y8OAGT4O
New Orleans(CA32, 34, 36-39, 44)11,51532.75107,000BW8OAGT4O
Wichita(CA45)11,58133.6100,000BW6O32.7AGT4O
Alaska(CB1-6)27,50033.0150,000BW8O44.6AGT4O

Name: 艦名または級名、斜体はWW1後の建造、()は未成を示す
D: 常備排水量 [t]、WW1後の建造艦は基準排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力、タービン機関および電気推進は軸馬力を示す
B: 主缶形式、Cは円缶、Nはニクローズ式、BWはバブコック&ウィルコックス式、WFはホワイト・フォスター式、Yはヤーロー式、小文字dは両面焚、無印は片面焚を示す
Nb: 主缶数
F: 使用燃料、Cは石炭専焼、Mは炭油混焼、Oは重油専焼を示す
Pb: 主缶使用圧力 [kg/cm2]、太字は過熱式
E: 主機形式、3VTEは3気筒直立3段膨張、4VTEは4気筒直立3段膨張、Eは電気推進(ターボ・エレクトリック)、AGTはオール・ギヤード・タービンを示す
Ns: 推進軸数
Rd: 推進軸回転方向、Iは内方回転、Oは外方回転
Rs: 推進器回転数 [rpm]
ds: 推進器外径 [m]

<解説>
表中、防護巡洋艦・装甲巡洋艦の各級が石炭専焼缶と直立3段膨張レシプロ機関、巡洋戦艦が重油専焼缶と電気推進、重巡洋艦の各級が重油専焼缶とオール・ギヤード・タービンの組合せです。

推進器回転方向は、ペンシルヴェニア級ACR4-9で内方回転と外方回転が比較され、推進効率では前者が僅かに優ったものの、離岸/接岸時の操縦性で優る後者が以後も引き続き標準となっています。


1-1-3. 偵察巡洋艦/軽巡洋艦

<工事中>


1-1-4. 駆逐艦

<工事中>


次のページ

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください