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【時代劇考 -第1部-】
【時代劇考 -第1部-】#2 ポポンポンポン。ふたつ不埒な悪行三昧。 どこからともなく響く鼓の音。面をとった曲者の顔は目鼻立ちも凛々しく、威風堂々と して手強そうだ。 しかし、勝手に他人の屋敷に忍び込んでおきながら、微塵も罪悪感の感じられない態度は 何だろう。そもそも着物からして理解できないセンスだ。金銀の刺繍に彩られた着物は、 さぞや値も張るだろう。家族が増えたばかりの君には、とても手に入るような代物ではない。 もっともあんなにド派手なもの、着ろと言われたって嫌だろうが。 でや〜!! ウ、ウワーッ・・・ ポポンポンポン。みっつ醜い浮世の醜い鬼よ。 あー! 喜三郎がやられた!! 「来月には2人目が、はい」 照れながら報告してくれた後輩の笑顔が目に浮かぶ。真面目な奴だった。お役目を第一に、 必要とあらば火の中へも飛び込む漢だったのに。見事な最期。 退治てくれよう鬼退治。 でや〜! だー!! うわー・・・また一人やられた。 たぶん怪我じゃすまない。とっても痛そうだ。 それにしても誰なんだコイツは。さっきから一人でわめき放題いい放題。夜中に忍び込んで おいて、何が鬼退治だ! 鬼の面かぶってたのは貴様の方じゃないか!! 理解不能だ。こんな奴が一番危ない。まともじゃないんだ。 しかし君は警護の長を務める男だ。主君の城を守れないようでは、武士とは名ばかりか。 一族の長として、一人の男としてここで逃げ出すわけにはいかない・・・あ! イカン。 こっち向かって来た!! あ、あ、あああ〜、グサッ!! その刹那、君は思うのだ。「明日なら非番だったのに・・・ごめん、おさち」ガクッ、無念。 [ 続く ]
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