このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  【オーライ考】
【オーライ考】#1 駅から研究室に至る道の間、私の頭を悩ませていたのは、 「昨日桜井がさぁ "まぐろ" だったんだってさ」 「本当に? 誰でも一度は "まぐろ" に当たるって言うからなぁ」 「俺さぁ来週から青梅なんだよなぁ」 「佐藤さんはいきなりの "まぐろ" だったんだってさ。わけが分からなくなったって。最初  だったから。でも一度はやっとけってさ」 「佐藤先輩? そっかぁ、"まぐろ" やってない人っていないもんなぁ」 「やって一人前なんだよ」 「でもできりゃ避けたいね」 「仕方ないよ」 この会話であった。 電車のなかで耳にしたもの。まだ学生くささの残る青年達の会話である。  ”What's まぐろ?” 悩んだ末に私の思考回路が出した答え...それはあまり口にしたくはないものだった。しかし、 それだけに気になる。確かめてみたくなる。 「ああ、それなら分かりますよ。列車の人身事故ですよ」 研究室で朝一番のコーヒーを啜りながら発したこの疑問に、一文字君がぼそりと答えた。 やはり...予想していた選択肢のなかで最も当たって欲しく無い、しかし最低配当の大本命。 「鉄道関係の言葉でそう言うらしいですね」 業界用語というか隠語というのか。ふぅん、だからって電車のなかで喋るなよ。 そう思いつつ、私は彼にこう問うていた。 「オーライを知っているか?」                               [
続く
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