このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  【古事記考】
【古事記考】#3 <天皇の世代> 神代より人間の世代へ進むにしたがい、全体の帯びる様相が異なってくる。 それまでのハチャメチャさが薄くなり、現実味の濃いものへと変化する。一言でいうなら「権謀 と嫉妬の歴史」である。 とにかく男の天皇は女性に声を掛けまくり、后は嫉妬にその身を焦がす。最後は男が慌てまくる。 例えば、 『ここにその春山の霞壯夫、その弓矢を嬢子の厠に繋けき。ここに伊豆志袁登賣、その花を異しと  思いて、將ち來る時に、その嬢子の後に立ちて、その屋に入る即ち、婚ひしつ』 弓矢に花をつけトイレ(の扉だろうか)に縛り付け、伊豆志袁登賣(いずしおとめ)を待つ。そこ へ「あれは何?」と花に誘われ近付いた彼女の背後に立つや、たちまちその中へ入りコトに及んで しまった、という意味である.....まるっきり犯罪である。 はたまた「屋根の上の飾りが自分(天皇)と一緒だ」と言い掛かりをつけて火を放ったり等の、 計略謀略も枚挙に暇が無い。 一度は耳にされたことがおありだろう、倭建命(やまとたけるのみこと)という男がいる。 ある日、彼は父親である景行天皇から「熊曾建(九州の豪族か)を倒してこい」と命ぜられる。 現地へ乗り込み、女装束で彼等の宴会に忍び込むと、まんまと彼等を倒すことに成功する。 九州からの凱旋途上、彼は出雲の国へ足を向けた。 当時山陰の中心であった出雲の国には、天皇家が煙たがっている豪族がいたからである。 出雲の国で目指す相手を見つけると、彼は「まずはお友達から」作戦に出る。 まずまず仲良くなったところで、友好の証として刀を交換しようと持ちかける。 友達だもん、と相手は快く応じてくれる。そこで、 「よし、ひとつ立ち会ってくれないか」 今度は交換した刀で試合を持ちかける。ところが、ここだけの話、彼が相手に渡したし刀、中身は ただの木刀! 露知らぬ気のいい出雲の豪族は、哀ればっさりやられてしまうのだった。 『やくめさす 出雲建が 佩ける刀 黒葛多纏き さ身無しにあはれ』 出雲建(倒した相手)が使った刀は「刀身」が無くて可哀相だなぁ、という意味だそうだ。 本当に可哀相だ。騙された挙げ句に、そんな歌まで唄われてはねぇ。                               [
続く
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