【虎の威を借る狐考】#3 3. 作戦決行！ 　「ありがとう、おばちゃん！ さんきゅ〜」 　裁縫好きのおばちゃんキツネのお陰で、ようやく自分のサイズにぴったりの着ぐるみ 　が完成しました。 　「今度こそ、ふっふっふっ」 　キツネ君の体にジャストフィットした「トラの着ぐるみ」は、まるで元からあった 　自分の分身のようです。 　これなら村人も驚いてくれることでしょう。 　思えば長い道程でした。 　山に虎刈りに行ったり、初めての通販で内容も確認しなかったり。生きる厳しさを 　知ったように思います。 　キツネ君は振り返り振り返り、ここ半年を思い出すのでした。 　峠を越えたら、ふもとの村に到着です。 　「（来た来た・・・あれは吾作んトコの娘さきだな）」 　がさ、がさささっ。だりゃ〜！ 　草むらから飛び出したキツネ君（もちろん着ぐるみに入ったキツネ君です）に、さき 　ちゃんは尻餅ついて泣き出しました。 　やった！ 大成功です。 　さきちゃんはとっても恐くなって、泣きながら近所の家に飛び込みます。 　「（待て待て〜）」 　愉快でなりません。キツネ様をなめるなよ。 　キツネ君天下取ったりの気持ちです。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　[
続く
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