このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
【超常現象考】#1 1.予知能力 このところ助手の一文字君が何かと変な質問を持ってくる。 「実は友人がいま悩んでいるんです。彼氏との結婚を検討しているようなんですが、ネックになって いる事があって。なんでも相手の彼に予知能力があると言うんですよ。それをどう両親に説明する べきか悩んでて...こんな話を先生は信じないでしょうけど、どうしたらいいんですかね」 彼氏の超能力? 一体こいつは何を言っているんだ、まったく。 こんな時はさっさとケリをつけるに限る。私は実験の手を休めず答える。 超能力だ? そんなものは無いんだよ、十文字君。 ある事が本当にできるのであれば、それは単に能力と呼ぶんだよ。 世の中には十数か国語をぺらぺらと喋る人間がいる。英語すらまともに話せない私からすれば、まさ に奇跡のごとしだ。しかし誰もそれを超能力だなどと呼ばない。 多少難しくとも話すのなんて誰にもでできるから? この世の中に「未来が見える」という奴、「十数か国語を自在に操れる」奴、どっちが多いと思う? 明らかに前者。難しいんだよ「十数か国語を自在に操れる」なんてのは。 なのに超がつかないのは何故だ。おかしいねぇ。 大体これから所帯もってこうって言うのに、予知能力がどれだけ役に立つやら。 「いやぁ、予知能力持って良かったっすよ。ほんと助かりました」ってのと、「一時はどうなるかと 思いましたが、英語ができて助かりました!」...どっちが本当に幸せそうだい? それとも彼女は、超能力とやらを持っているから彼を好きになったのかい。 壁を通り抜けられようとも、空を飛べようとも、スプーンを曲げられようとも、実際に出来るのなら、 それは能力というんだ。もっとも私はスプーンを曲げるのに、周りに静かにしておいて貰う必要はな いけどな。地面や床に押し付けてやっちゃうから。成功率100%「グイッ」。 [ 続く ] |
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