このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


  【超常現象考】
【超常現象考】#3 3.遺跡と地底人 このところ助手の一文字君が何かと変な質問を持ってくる。 「博士、もしもですよ、古代遺跡が地底人のものだったらどうします?」 余りのアホらしさに流石の私も黙ってしまったのだが、聞けば彼の疑問はこうだ。 「なぜ遺跡は地下から発掘されることが多いのか」 なるほどな。 彼の論理によれば、2000や3000年そこらで自分の住む家が砂に埋もれるとは考えられない。 と言って、あっちでもそっちでも土砂災害や火山噴火が起きて埋没するとも思えない。 ひょっとして遺跡と言えば大抵地下から発掘されるのだが、あれはもともと地下にあったものなん じゃないか。だとしたら、未だ見ぬ地底人の文明の痕跡ではなかろうか、なのだそうだ。 よっぽど「ピラミッドやナスカの地上絵はどうなる?」と反駁したいところだが、もう少し聞こう。 1年に1mmずつ埋もれてゆくとして1000年で1m。3000年で3m。 だが500年で50cm。中世の寺院が50cm地中に埋没している光景と言うのは見たことがない。 1000年前の遺跡でも1mどころか、更に深い土中に姿を消してしまっているものも少なくない。 これはどうしたことか、まさか洪水、土砂災害? とはいえ、あちらこちらの遺跡すべてが大雨のせいにする訳にも行かぬ。 なら地底人か? はたまたノアの箱舟伝説で有名な天変地異は、本当に地球全体を襲ったのか! 彼の誤解は解いておかねばなるまい。 「人は常に新築改築増築移築をくり返して、街を都市を国を作って来たんだ。  確かに天災や自然現象で土砂に埋もれた時もあったろう。それでも強かにその上へ街を再建して  いったのだ。超古代文明や宇宙人に思いを馳せるのも忘れてはならないが、同時に生の人間の様  も見つめなくてはならないぞ。人は思うほど文明的でもなければ、思うほど弱くもないんだ」 遺跡は地下に遺されるのではなく、埋もれてしまったからこそ残され、我々が目にできるんだ。 運良く埋もれなかったものはどうなったのか?「そろそろこれも古くなったしね」と、改築される のは当たり前だろ。当時の人々にとって、それらは歴史的遺産じゃないのだから。                               [
続く
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