このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
【土瓶考】#1 春の昼下がり。今年も研究室の窓から覗く桜は満開である。 「博士〜。今度の土曜日にですねぇ〜、ぐふふ」 なんだ気持ちの悪い。 「彼女が土瓶蒸し作ってくれるって言うんですよ〜。何でも料理学校でですね・・・」 助手の一文字君だ。 一文字君の話を他所に、ワシは思う。わざわざ土瓶使って料理作らんでもいいじゃないか。 土瓶には土瓶様本来の役目というものがおありでしょうし。大体、土瓶ってなあれだろう? あのー、あのー、急須みたいなやつ...はて、土瓶と急須ってどこが違うんだ? 「ふぅ〜ん。土瓶と急須ってどこが違うんだ、一文字君?」 「ええ、きっと美味しいに違い...え、何です?土瓶が急須なんですか?」 何を言っとるんだ。私達は実験の手を休め、土瓶と急須の違いについて調べてみた。 どうやら土瓶は手提げの付いているものを言い、付いていないものを急須と言うようだ。 皆様ご存じだったろうか。 また土瓶は薬草の煎じに元々は使われていたもので、ヤカン(薬缶)がその原型となってい るのだそうだ。つまり土瓶はヤカンの仲間だという事である。確かにヤカンには把手は無い。 しかし土瓶という名称も随分と大雑把だ。これがもしガラスで出来てりゃガラス瓶? それでも花を活けりゃ花瓶になるのか。土で作ってあっても花を挿せば、それも花瓶だ。 「土瓶を料理に使うとは。日本の知恵ですね」 「知恵? 何をのんきなことを言ってるんだ、一文字君。日本の食卓はいま大変な事態に陥っ てるんだぞ」 [ 続く ] |
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