【温泉考】#1 両生類は幼少時代を水の中で過ごす。それは少なくない時間を水中生活に費やしているこ とを意味する。 かつて私の高校時代の同級生が口にした言葉。 「睡眠は意識を失っている。だから俺にとっては死んでいるのと一緒だ。 6時間、7時間、8時間? 一日のうち3割近い時間を眠っているのだから、人生80年のうち24年分も、俺は、 死んでいる」 これは価値観次第で正しくもあり、もちろん間違いでもある。 自我を意識できないことに価値を見出せない。心身の休息、記憶の整理なんて睡眠が重要 であることをきちんと知ったうえでそう嘯けるのが、この世代のもつ力強さだろう。 ところで日本人の風呂好きは有名である。 (本当だろうか...でも誰に有名なんだろう? どこまでも疑問は尽きない) では入浴時間を計算してみよう。 5分で上がる烏の行水から、長くは1時間でも何時間でもという強者までを平均し、凡そ 20分間の入浴時間があると仮定する。これは24時間=1440分の1.39%を占め る時間だ。さらにこれを人生80年として生涯入浴時間を計算すると、 80年=80×365= 29200日(閏年含まず) 29200×1440=42048000時間 42048000×1.39%=584467.2分 なんと584467.2分。実に人生の100分の1をはるかに超える時間を入浴に消費 していることになる。80年間もあるうちの100分の1以上というのは、決して少ない 時間ではない。 はたして現代日本人は何故こんなにも入浴するのか。まさか両性類を目指そうとでも言う のか。それが今回のテーマである。 [
続く
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