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1999.10.3.(日)
文 : 2年9組 藤井 孔明
「ハチロク」、言わずと知れた旧国鉄8620形蒸気機関車の愛称である。旧国鉄C形蒸機(SL)史上最多の687両が製造され、戦前・戦後の国鉄輸送の中心的役割をした車両だが、時代の流れには逆らえず、現在は58654号機のみが日本で唯一阿蘇の地で活躍しているにとどまっている。「ハチロク」自体は中間以北でしか活躍していなかったものの、かつてSLの名撮影地として、またSLの晩年の活躍地として知られた筑豊(その中でも直方、田川が有名)に蒸機が1日だけ「里帰り」を果たすことになり、SLファンの和田先生達と僕達でその勇姿をカメラに納めることになったのだ。そこで、撮影に出かける前に58654号機の事について少し調べてみることにした。
「ハチロク」は「キュウロク(9600形)」と並ぶ大正時代の名機。 写真は昭和48年(1973)、遠賀川駅にて |
「旧国鉄8620形58654号機」、大正11年、日本で435番目の「ハチロク」として誕生し、1976年に国鉄湯前線(JR湯前線、現くま川鉄道湯前線)において最後の運用を終えた。その後、肥薩線矢岳駅に併設のSL展示館にD51170号機(現在もここに展示されている)と共に運ばれ、ここに安住の地を得たものとその当時誰もが思った。しかし、1989年、58654号機はJR九州小倉工場から再び自力で走り出し、「SLあそBOY」として見事に営業線のレールの上に舞い戻ってきたのである。その後は日本最古の動くSLとして人気を博し、JR九州の看板列車として豊肥本線だけでなく肥薩線や鹿児島本線にも進出し、JR設立10周年の時には門司港駅での展示のため、鹿児島本線を自力回送して出張するなど精力的な活動で知られるまでになった。しかし、SLのメッカであった筑豊地区には入線したことがなかった。それが今回実現することになったのだから、人々が騒ぐのもうなずける。
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