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解説 (いの一番さん)
広島市の北隣に千代田という町がある。人口は約1万人で工業団地もあり、郡部では活気がある方だ。この町に野球場が完成したのは1999年のこと。当時の新聞によると両翼96m、センター120mということで町長が「立派な球場ができた。将来はウエスタンの試合を誘致したい」とコメントしていたのを記憶している。しかしウエスタンは一向に行われず、ここで何かアマチュアの大きな試合があったという話も聞かない。私はこの球場の存在が気になっていたのだが、2002年6月9日にようやく行くことができた。以下その時の様子をリポートしたい。
この球場は中国自動車道千代田I.Cから車で5分の千代田町運動公園の中にある。ここは陸上競技場や体育館などもある総合スポーツ施設だ。
駐車場に車を停め球場に向かう。球場の周辺は盛り土になっており、少し坂を上ると目の前に球場の全景が広がったのだが、私は見た瞬間唖然としてしまった。なぜならグラウンドが一面土と砂で外野に芝生がなかったからだ。もしかして緑ではなく茶色い芝生でもあるのかと思い、よ〜く見直したのだがそんなわけはなく間違いなく外野は砂だった。
野球場研究家の故沢柳政義氏は大著「野球場大事典」(大空社)で芝生の効用についてこう述べている。
−グラウンドに芝を植えると、土けむりの発生と表土の流出を防ぎ日光の反射がない。しかも清楚で気持ちがよく、気温、湿度を調整し、空気を浄化する。さらにスタンドとの調和がよく風光を引き立てる。−
芝生にはそれなりの意味があるのだが、それを無視した球場を作るのは理解に苦しむ。
それにこの球場を観察するとウエスタンの試合を行うのは無理なことがわかる。なぜならネット裏には場内放送室も関係者控え室もない。スタンドも全くなく周囲は芝生というか草むらだ。ファウルグラウンドもバックネットやベンチ付近は普通の広さだが、ベンチから両翼までが狭い。フェアグラウンドこそ広いが設備は草野球レベル、これでは大きな試合が行われないのも無理はない。
町がウエスタンを本気で誘致したかったのであれば、この球場は完全な失敗作だ。町当局の不勉強と施工業者の力量不足が原因と思われるが、せっかく広い敷地があったのにもったいないことをしたものである。
グラウンドでは地元の中学生がこれから試合をするらしくグラウンド整備をしていた。そのうち何人かは外野をトンボで整備している。これを見るとさすがにその場に居る気がしなくなり私は球場を後にして西隣の豊平町に向かった。
(球場の概要)
完成:1999年
交通:中国自動車道千代田I.Cから車で5分
グラウンド:両翼96m、センター120m、内野土、外野砂
スタンド:なし
スコアボード:得点とカウント、記録表示のみ、手書き式
(2002年6月29日)
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